骰子の眼

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東京都 中央区

2014-08-25 16:37


銀座で中東の家庭料理が味わえる!レストラン「MishMish」に行って見た!

東京における美味しくて楽しい中東文化の入り口を目指す
銀座で中東の家庭料理が味わえる!レストラン「MishMish」に行って見た!
銀座にオープンした中東キッチン&バー「MishMish」のMishMishコース(3,500円)

中東料理のお店自体が少ない上、お店をみつけてもかなり高価….という東京ですが、このたび中東の家庭料理が東京で気軽に味わえるレストラン「MishMish(ミシュミシュ)」がオープン!さっそく行ってきました。

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銀座6丁目の飲食街に位置する「MishMish」、ビルの入口から階段を上った2階にお店がある。
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「MishMish」の看板。

中東の家庭料理を
東京で再現

これがびっくり。意外にも、とっつきにくさはありません。お肉も野菜も、ヘルシーかつ素材の味を活かした料理の数々が美味。『セックス・アンド・ザ・シティ』でサマンサがアンチエイジングのために食べ続けて一躍有名になった、ひよこ豆のペースト“フムス”やビタミンたっぷりのパセリのサラダ“タブーリ”などの前菜から、ケバブにモロヘイヤのスープなど、7~10品が味わえるコース料理は、飲み放題で3,500円(税別)とかなりお手頃価格。

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フムス(一晩かけて戻した乾燥ひよこ豆とゴマのペースト。ピタパンに付けていただくアラブ人のソウルフード)
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タッブーリ(パセリのサラダ)
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ビーフケバブ

「本当の中東料理は素材の味を活かした素朴な家庭料理で、家族や客人を招いて大勢でワイワイといただくもの。僕が中東で味わった雰囲気を少しでも東京で再現したかったので、値段を抑えるためにコース料理+飲み放題制にしました」と話すのはオーナーシェフの草野サトルさん。「飲み物は、セルフサービスでお願いしています。その方がお客さんも楽しいし、テーブルに隣り合わせたお客さん同士の間でも会話が生まれやすいんじゃないかと思って」。

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ワイン発祥の地、中東のワインをおいしくいただける料理を揃えている。こちらはレバノンのワイン、シャトー・クサラ。
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こちらもレバノンのワイン、カーヴ・クルーム。

きっかけは1本の映画でした

草野さんが中東に興味を持ったのは、1本の映画との出会いがきっかけ。それは、イスラエルとパエスチナの子供たちを数年間追いかけたドキュメンタリー映画『プロミス』でした。 「僕はそれまで中東問題に関して何も知らなかったけど、衝撃を受けましたね。自分の住む町が突然紛争地になる恐ろしさはもちろん、10歳程度の子どもたちがしっかりと自分の考えを持って語っていて。でもそこには、大人やメディアの影響による偏見も混じっていて複雑な気持ちでした。でも映画は暗い終り方じゃなく、希望も見せてくれた」。
最後には、パレスチナとイスラエルの双子の男の子が、偶然にも同じサッカーチームが好きだとわかった監督が、彼らを引き合わせる場面がある。「初めは躊躇していた子どもたちが、しだいに仲良くなって、最後にはお互いに別れを惜しむほど。戦争って、お互いのことをよく知らないからできるものなのかもしれないと思いました」。「中東問題は世界だけでなく日本にも直接影響する問題。なんとなく知ってる気になってるのが、一番良くないな、と。とにかく何か始めてみよう」ーー。そんな気持ちで、都内のNGOでボランティア活動を開始。それだけでは飽きたらず、勤めていた会社を退職。 アラビア語を学びながら、都内の中東料理店に勤務。 そのお店は、あの、カルロス・ゴーン夫人が経営していた「マイレバノン」だったとか。そして、将来中東料理店をオープンさせる夢を持って、準備のため、2007年にパレスチナへ渡ったそうです。

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オーナーシェフの草野サトルさん。

いざ中東に行ってみたら……

現地で確信したのは、中東は思っていたほど怖い場所じゃない、ということです」と草野さん。「それなりに前知識はあったと思いますが、言葉が不十分な上、仏教徒だとわかったら、嫌がらせにあったりするんじゃないかと不安もあって(笑)。それが現地に着いた瞬間から、地元のアラブ人にとてもよくしてもらって感動しました。タクシーに乗ったら「遠い国から来てくれて、ありがとう」と料金を受け取ってもらえなかったり、レストランでは知らない人から肩を叩かれて、「お前のぶん、払っといたから」って。イスラムには客人をもてなす文化があるのですが、ここまで下心がない100%の善意をくれたアラブ人の人柄に触れて、感動しましたね」。
そして帰国後「まだ多くの日本人が知らない中東やアラブ人の素顔を、みんなに知ってもらいたい」とレストラン開店の夢はますます大きくなって、苦節数年、ようやく2014年8月4日、東京・銀座に『ミシュミシュ』がオープン。

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カウンターには草野さんが現地で購入してきたというチュニジアのタイル(右)そしてUAEの水タバコのパイプ(左)が。
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チュニジアのタイル。
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中東・中米を撮るカメラマン高橋美香さんの作品(右)は草野さんのお気に入り。

もっと気軽に国際貢献できる場をつくりたい

「現在は店を軌道に乗せることが目標ですが、将来は映画上映や多目的スペースも備えた、世界の文化を発信出来る複合施設を作るのが目標」と話す草野さん。「お店でお客様に楽しんでいただくこと自体が、直接、中東を支えたり、国際貢献になれる場所になったら嬉しい。中東には、音楽や踊りなど楽しい文化がたくさんありますが、例えば音楽に興味がない人でも、「食」に興味がない人はいませんよね。料理を入り口に、まずは、中東や諸外国の文化を伝え、関心を持っていただくきっかけになれば。そして、世界をまた別の角度から見られるようなきっかけ作りが出来たら嬉しいです」。
今後レストランではイベントの開催も考えているそうで、東京における、美味しくて楽しい中東文化の入り口になりそうです。

(取材・文:鈴木沓子)
 
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MishMishコース(3,500円)、ちょい飲みコース(2,500円)、中東ワイン&百種カクテルコース(4,500円)の3つのコースをメインにしている。



MishMish(ミシュミシュ)

住所:〒104-0061 東京都中央区銀座6丁目3-15 長谷第2ビル2階 [地図を表示]
TEL:03-6274-6660
Open:月曜~土曜日 ※日祝は、予約ある時のみ営業
Dinner Time:17:00-24:00
Food L.O. 23:00、Drink L.O. 23:30
公式サイト: http://www.mishmish-tokyo.com/




映画『プロミス』
DVD発売中

監督:ジャスティン・シャピロ、B.Z.ゴールドバーグ、カルロス・ボラード
2003年/104分
販売元:アップリンク
http://www.amazon.co.jp/dp/B00007LAFX/webdice-22

1997~2000年の3年間、パレスチナとイスラエルに住む7人の子供たちの日常を撮ったドキュメンタリー映画。すぐ近くに住んでいながら、お互いのことをまったく知らないパレスチナとイスラエルの子供たち。 監督の提案で彼らは一日だけ一緒に過ごすことになる。国境を越えた子どもたちの交流を通じて「人はなぜ憎みあわなければならないか」を問い、第74回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門ノミネート、2001年ロッテルダム国際映画祭観客賞、2001年サンフランシスコ国際映画祭観客賞、ベストドキュメンタリー賞ほか受賞。

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