5月18日(日)に映画『おいしいコーヒーの真実』の公開に先がけプレイベントを開催。先行上映、各国のフェアトレードコーヒーの大試飲会&コーヒーにまつわるトークショー、そしてシンガーAilieのライブと盛り沢山の内容で、たくさんのお客さんが会場に詰めかけた。
今回のイベントの目玉は、日本のフェアトレード団体5団体が扱う9種類のフェアトレードコーヒーの大試飲会。普段から各団体で試飲会を行っているそうだが、複数の団体が集い9種類ものフェアトレードコーヒーを提供するのは今回が始めてだそうだ。いくらフェアトレードコーヒーが生産者の支援になったとしても、美味しくなければ消費者は買わないだろう。だが、美味しければ話は別だ。産地や農法が違えばそれぞれ風味、苦味、香りなども異なる。9種類を飲み比べ、自分の好みに合ったコーヒーを見つける良い機会となった。
映画上映
映画上映後、お客さんからたくさんの感想が寄せられた。
・どのシーンも衝撃的だった。
・生産者と消費者の隔たりを強く感じた。
・自分の生活についてもう一度考えていきたいと思った。
・一人でも多くの人に観てもらい、知ってほしい。
・映像と音楽が巧みだった。
・映画の中のどの瞬間のことも、全て知らない人達に伝えたいと思った。
トーク+試飲会
『1杯のフェアトレードコーヒー、その中にこめられる思い』をテーマにフェアトレードコーヒーを提供していただいた団体や映画を応援している方々のトークショーを開催した。
司会:池ヶ谷二美子氏(フェアトレードスタイル)
ナビゲーター:北澤肯氏(フェアトレードリソースセンター)
スピーカー:小澤陽祐氏(スロー)、井上礼子氏(パルシック)、上田誠氏(オルター・トレード・ジャパン)、ダニエル・ペレイラ氏(東ティモールのATJパートナー団体スタッフ)、鈴木広光氏(ピース・ウィンズ・ジャパン)
── この映画はフェアトレードリソースセンター北澤肯氏の「日本で上映したい」との想いから始まった。日本での上映に至るまでの経緯、映画上映への想いとは?
北澤肯氏(フェアトレードリソースセンター):「フェアトレードや交易の問題というのはなかなか説明するのが難しくて、(フェアトレードを扱った)映画があったらいいなと前から感じていました。インターネットでこの映画の存在を知って、イギリスの製作会社に問い合わせたところ、日本では公開の予定がないからあなたが何とかしてくれませんか、というむちゃな返事が来て(笑)。そこで映画会社を探しましたが、映画として劇場公開するのならお客さんが入らなければいけない。ですので、フェアトレードの団体に呼びかけてたくさんチケットを買っていただき、公開が実現しました」
──日本でフェアトレードを広めようと頑張っている団体の方は、この映画をどのように感じたのだろうか。
上田誠氏(オルター・トレード・ジャパン):「この映画ではまさに、「選択」できる人とできない人が描いている。コーヒーを飲む側(消費者)はどんなコーヒーを飲むか選ぶことができる(=自分たちで生活を選択できる)が、映画の中に出てくるコーヒーを作る人たち(生産者)はコーヒーに生活を依存しなければならず、自分のそして家族の将来すら不確かな人たちです。しかも、そのコーヒーは「フェア」な取引がされていない!一杯のコーヒーをめぐるその不公平さ(アンフェア)をこの映画は明らかにしています」
──また、東ティモールでコーヒー生産者の支援をしており、今後オルター・トレード・ジャパンと一緒に働く予定のダニエル・ペレイラ氏も感想を述べた。
ダニエル・ペレイラ氏:「映画を観た印象では、エチオピアと東ティモールの現状は似ていると感じました。東ティモールにエルメラ県というコーヒーのプランテーションがある地域があるのですが、そこの生産者はコーヒーで生計を立てているものの、収入はとても少ないという状況です。私はNGOのスタッフとしてコーヒー生産者に会いますが、コーヒーがいくらで売られているのか訊ねられても彼らに答えることができません。ですから、ATJはじめ日本のフェアトレード団体と繋がっていくことが大切だと感じています」
──最近は大手の企業も含めて「フェアトレード」が注目されているなか、ピース・ウィンズ・ジャパンでは企業との連携も行なっている。
鈴木広光氏(ピース・ウィンズ・ジャパン):「昨年より株式会社ゼンショー(牛丼のすき屋、ファミリーレストランココスなどを展開する外食チェーンを経営)が東ティモールのドリップバッグコーヒーを販売してくれることになりました。牛丼屋でコーヒーというとイメージが湧かないかもしれませんが、スーパーなどで意識してフェアトレードコーヒーを買っている人だけではなく、フェアトレードという言葉に馴染みのない一般の方にも広まっていく良いチャンスだと思っています」
──パルシックのカフェ・ティモールは有機JAS認証を取得したという。
井上礼子氏(パルシック):「有機JAS認証を取るには、書類作成、研修など大変だし、経費もかかるのですが、昨年認証を取りました。東ティモールは元々農薬も化学肥料も使っていないのでわざわざ認証してもらう必要はないのですが、あえて認証を取ったのは、国内の自然食品店や環境意識の高い方々に広くきちんと伝えるために認証が必要だと考えました。多くの方にコーヒーと共に東ティモールの人々の暮らしやメッセージを一緒に伝えていきたいと思っています」
──少しずつフェアトレードやフェアトレードコーヒーの輪が広がってきている。これからのフェアトレードに期待していることとは?
小澤陽祐氏(スロー):「フェアトレードコーヒーが当たり前になることです。フェアトレードと言わなければいけないのは、そもそも現状がアンフェアだから。フェアトレードコーヒーが当たり前になっていけば、フェアトレードという言葉自体の必要がなくなるのではと思いますし、そうなることを期待しています」
フェアトレードコーヒーは途上国の生産者の支援になるという動機でお客様が買ってくれても、美味しくなかったら一度きりになってしまう。小澤氏はよくお客様に「コーヒーに恋をしてください、ファンになってください」と話すという。
最後に小澤氏が素敵な詩を朗読してくれた。コーヒーをハンドドリップできるようになる詩「Drip on Love」
(下記より詩をお読みいただけます)
http://slowcoffee2.blog92.fc2.com/blog-entry-27.html
試飲会で用意したフェアトレードコーヒーは下記9種類
◎ネパリ・バザーロ
「ヒマラヤンワールド」(ネパール)
◎パルシック
「カフェ・ティモール」(東ティモール)
◎スロー
「インタグコーヒー」(エクアドル)
「太陽と森の楽園コーヒー」(メキシコ)
◎ピース・ウィンズ・ジャパン
「ピース・コーヒー」(グァテマラ)
「ピース・コーヒー」(東ティモール)
◎オルター・トレード・ジャパン
「ナチュラレッサ」(エクアドル)
「ペルーストレート」(ペルー)
「カフェ・ド・ラフォレ」(ラオス)
ライブ
シンガーAilieの透き通るような歌声に包まれた。
もし、あなたが、今この瞬間も
お腹を空かせて泣いている子供達のため、
何かをしたいと思うなら、
まずこの映画を観るという選択肢がある。
あなたの優しさのカケラが世界を救う
…One Love!!
- Ailie(シンガー)
イベント企画:ぐらするーつ/アップリンク
映画『おいしいコーヒーの真実』
5月31日(土)より渋谷アップリンクXにて、ほか全国順次公開
★初日は素敵なプレゼントをご用意しております(数量限定、先着順)
公式サイト
http://www.uplink.co.jp/oishiicoffee/