骰子の眼

cinema

2014-05-21 14:00


パレスチナ初のヒップホップ・グループDAM来日招聘クラウドファンティング実施中

「あらゆるステレオタイプを打ち砕く」映画『自由と壁とヒップホップ』出演アーティストのツアーを実現させる企画
パレスチナ初のヒップホップ・グループDAM来日招聘クラウドファンティング実施中
分離壁の前に立つDAMのメンバー(左よりマフムード・ジュレイリ、ターメル・ナッファール、スヘール・ナッファール)

クラウドファンディングサイトMotionGalleryとwebDICEとの連動連載第三弾は、映画『自由と壁とヒップホップ』に出演している、史上初のパレスチナ人ヒップホップ・グループ DAMの来日ツアーを実現するプロジェクトを紹介する。

今回のクラウドファンディングのスタートにあたり、DAMのライヴ・シーンをメインにした『自由と壁とヒップホップ』のダイジェスト版の公開も予定。彼らの楽曲、パフォーマンスの魅力だけでなく、そこに込められた彼らのリアルな声、等身大の姿を伝える。

今回のプロジェクトでは2,000,000円を目標に、2014年9月1日00:00までクラウドファンディングを行なう。応援にあたっては1,500円から300,000円までチケットを選ぶことが可能。価格に応じて映画のパンフレットやDVD、来日ライヴ優待はもちろん、30,000円以上でDAMのミニライヴとトークセッションが設けられたコレクター限定イベント参加権や、50,000円以上のファンドで映画の撮影秘話や現在のことなどをDAMや監督から直接聞くことのできるコレクター限定「交流会」招待など、アーティストやスタッフと繋がることのできる特典が用意されている。

またコレクター(支援者)の方限定で、『自由と壁とヒップホップ』本編の試聴が可能。劇場公開が叶わなかった地域の方にも作品を見てほしいとの思いから、今回の全編公開が決まった。「占領、貧困、差別が常態化し、閉塞感漂うパレスチナで、過酷な状況に苦しむ仲間たちのために紡ぎ出したDAMのメッセージが一人でも多くの日本人に届くことを期待している。また、本作の公開と今回のDAMジャパンツアーを通して、日本国内でパレスチナ問題への関心が高まれば」と主催者は語っている。詳細はMotionGalleryのプロジェクト・ページまで。

DAMからのメッセージ
新しい文化を訪ね、新しい世界を探る、絶好の機会を頂き感謝します。
僕たちは音楽を通して、自分たちの文化を表現することに最善を尽くします。
なぜなら自分たちのパフォーマンスこそが、あらゆるステレオタイプを打ち砕くことができるからです。今回のジャパンツアーによる文化の交流を通して、それぞれの場所が持つ、美しい側面に気づいて欲しいと思います。その場所を知るいちばんの方法は、その土地に根づいたローカルアートを通してであって、決してハリウッド映画からではないのです。これまで出会った全ての人たちと同様に、日本の皆さんには僕たちのパフォーマンスと世界共通の言語である“音楽”を思いっきり楽しんで欲しいです。


アートを通じて、民族紛争やテロなど、
アラブ人へのステレオタイプに挑戦する

『自由と壁とヒップホップ』は、パレスチナのヒップホップ・ムーブメントを取り上げた、初めてのドキュメンタリー映画として、2009年に渋谷アップリンクなどで『スリングショット・ヒップホップ』というタイトルで自主上映され話題を呼んだ後、2013年12月、ロードショー公開された。自身もパレスチナにルーツを持つ女性監督ジャッキー・リーム・サッロームが若者たちの音楽による非暴力の抵抗を描いた本作は、中東の若者たちに芽生えた新しいカルチャーの動きを最先端で捉え、彼らが抱える社会的問題や歴史的背景の複雑さを映し出している。監督は、製作の動機について以下のように語っている。

「私はこの映画に一つだけのメッセージを込めたわけではなく、いろんな捉え方をしてほしいと思っています。私の父はシリア出身、母はパレスチナ出身です。米国でのアラブ人のイメージはとてもネガティブなもので、若いころはアラブ人であることを隠したかったし、母親がRを巻き舌で発音するのが嫌だったこともあります。両親はアラブ人の歴史や文化に誇りを持つよう教育したのですが、私はアラブ人でいることが嫌いでした。成長するにつれて考えは変わり、メディアにおけるアラブ人の描かれ方に関心をもつようになりました。アートを通じて、民族紛争やテロなど、アラブ人へのステレオタイプに挑戦するということに興味をもつようになり、それがこの映画につながっています」(ジャッキー・リーム・サッローム監督)。

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映画『自由と壁とヒップホップ』より

この作品に出演し、ジャパン・ツアーを予定しているDAMは、パレスチナ最初のヒップホップ・グループであり、アラビア語ラップの先駆者。2パックなどアメリカのHIPHOPアーティストに憧れ、1990年代の後半からグループを結成し、歌い始める。2000年に占領地で勃発した第2次インティファーダ(イスラエルの支配に抵抗する民衆蜂起)に触発されて制作した「誰がテロリスト?(Who's the terrorist?)」をネット公開したところ、たちまち100万回以上のダウンロードを記録し、DAMの名前はまたたく間に中東の若者のあいだに浸透した。彼らは世界各地で公演を行う傍ら、故郷のリッダで、近郊の集落もふくめたアラブ系の若者たちや、イスラエルのパレスチナ人に閉ざされているチャンスや教育を与えるため活動。地域社会におけるリーダーの役割も引き受けている。

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映画『自由と壁とヒップホップ』より



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DAM プロフィール

フランスの高級紙「ル・モンド」が「新世代のスポークスマン」と呼んで紹介したDAMは、パレスチナ最初のヒップホップ・グループであり、アラビア語ラップの先駆者でもある。1990年代の後半からグループを結成し、歌い始める。2000年に占領地で勃発した第2次インティファーダ(イスラエルの支配に抵抗する民衆蜂起)に触発されて制作した「Who's the terrorist?」を2001年にネット公開したところ、たちまち100万以上のダウンロードを記録し、DAMの名前は中東の若者のあいだに浸透した。ローリング・ストーン誌がフランスで無償配布するなど、この曲は様々な出版物でも取り上げられている。
DAM公式サイト:http://www.damrap.com




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アラブ人といえば民族紛争というステレオタイプに挑戦、パレスチナのヒップホップ誕生の瞬間を活写する
『自由と壁とヒップホップ』のジャッキー・リーム・サッローム監督インタビュー
http://www.webdice.jp/dice/detail/4059/




▼DAM「WHO'S THE TERRORIST?!」

▼DAM「Born Here」

▼映画『自由と壁とヒップホップ』予告編

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