骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2014-04-03 12:00


見るドラッグ、それは映画以上のものである

『ホドロフスキーのDUNE』柳下毅一郎氏による映画評
見るドラッグ、それは映画以上のものである

2014年6月14日(土)にドキュメンタリー『ホドロフスキーのDUNE』、2014年7月12日(土)に23年ぶりの新作『リアリティのダンス』が連続公開となる、アレハンドロ・ホドロフスキー監督。現在、配布中のフリーマガジンホドロフスキー新聞vol.2は『ホドロフスキーのDUNE』特集号。その中から、映画評論家・特殊翻訳家の柳下毅一郎さんによる解説をお届けします。更に、ホドロフスキー来日を記念し、webDICEをご覧のユーザー様を「ホドロフスキーと100人坐禅大会」に抽選にてご招待!ふるってご応募ください。

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不可能への挑戦、この世に存在し得ないものを生み出そうとする試み

『ホドロフスキーのDUNE』は一本の映画をめぐる物語である。一人の映画監督が一本の映画を作ろうとして、それが失敗に終わる顛末記だ。だがもし本当にそれだけなら単なるDVDのおまけ程度のものにしかなるまい。もちろんそれは単なる一本の映画ではなく、もちろんホドロフスキーの挑戦は単なる映画作りではない。それは不可能への挑戦、この世に存在し得ないものを生み出そうとする試みなのだ。

DUNEストーリーボード
DUNEストーリーボード

ホドロフスキーは自分自身にどんどん高いハードルを課していった

もしもホドロフスキーが映画を作りたかっただけなら、別にダリを銀河皇帝にキャスティングする必要などなかった。オーソン・ウェルズにハルコンネン男爵を演じさせ、そのために専属シェフを雇う必要などなかったろう。別にウェルズでなくとも、ウェルズに匹敵するぐらいの演技をできて、その半分も手間がかからない俳優は何人もいたはずだ。だが、ホドロフスキーはあえてウェルズと共に苦労することを選んだ。なぜなら……。 なぜの理由はいくつもあるだろう。だが煎じ詰めれば、それは「どう考えてもあり得ない選択だから」である。ホドロフスキーは自分自身にどんどん高いハードルを課していった。もともと「映画化不可能」と言われた長大な原作を選び、よりによって一番扱いの面倒そうな役者をキャスティングし、映画未経験のスタッフを集め、未曾有の規模の予算を要求し……まるで最初から失敗を望んでいるかのように難しいほうへ難しいほうへと向かっていき、当然のように映画は空中分解を遂げてしまう。

H・R・ギーガーによる悪役・ハルコンネン男爵の城デザイン画
H・R・ギーガーによる悪役・ハルコンネン男爵の城デザイン画
『ホドロフスキーのDUNE』 オーソン・ウェルズ
悪役・ハルコンネン男爵の絵コンテとオーソン・ウェルズ

不可能を可能にする魔法こそがホドロフスキーの求めたもの

ホドロフスキーにとって『DUNE』は不可能への挑戦だった。不可能を可能にする魔法こそがホドロフスキーの求めたものであり、そのためには『DUNE』はただの映画であってはならない。ホドロフスキーが書いた『DUNE』のストーリーでは、レトは生まれないはずの子供を作り、ポールは奇跡によって宇宙に命を授ける。その映画によって、ホドロフスキーは人々の意識を変容させようとした。見るドラッグ、それは映画以上のものである。ただの映画では奇跡はおこせないのだ。だからホドロフスキーはあえて自分で映画の中の行為をなぞり(そのさまは『ホドロフスキーのDUNE』であますところなく語られている)、映画と現実を混同させて奇跡を起こそうとする。はるかな先に見える蜃気楼をつかもうと手を伸ばすのだ。ホドロフスキーの聖杯探求は結局失敗に終わる。だが、誰もが知っているように、アーサー王の騎士たちは永遠に歌いつがれる詩を残したのである。


柳下毅一郎(映画評論家・特殊翻訳家)



ホドロフスキー新聞
THIS IS ALEXANDRO JODOROWSKY

多くのクリエイターに衝撃と影響を与えた映画監督、アレハンドロ・ホドロフスキーの魅力に迫るフリーペーパー、通称"ホドロフスキー新聞"は、全3号発行予定。PDFでもダウンロードすることができます。
http://www.uplink.co.jp/jodorowsky/

VOL.2 『ホドロフスキーのDUNE』の世界



ホドロフスキー来日イベント決定!!!

ホドロフスキー監督と一緒にお寺で坐禅を組もう!
"ホドロフスキーと100人坐禅大会"に抽選でご招待!!

かつてメキシコで日本の禅僧の弟子となり、本格的に禅の修行を積んだホドロフスキー監督とともに、100人のファンが坐禅を組む、"ホドロフスキーと100人坐禅大会"を開催!この坐禅会イベントに抽選で10名様をご招待します。参加ご希望の方は応 募要領をご確認のうえ、ご応募ください。

アレハンドロ・ホドロフスキー監督
アレハンドロ・ホドロフスキー監督

<ホドロフスキーと100人坐禅大会 概要>
■日時:2014年4月26日(土)
13:30開場/14:00スタート/15:00終了予定
■会場:世田谷区のお寺
■内容:坐禅、ホドロフスキーによる説法(テーマは「金と欲望」を予定)

☆当選者数:10名様

【応募方法】

下記の必要事項を明記のうえ、Eメールにてご応募ください。

■応募宛先

film(a)uplink.co.jp
(a)を@に変えてご使用ください

■件名を「ホドロフスキー坐禅会/webDICE」としてください

■下記の項目を明記してください

(1)お名前 (2)お電話番号 (3)ご職業 (4)性別 (5)希望理由

■応募締め切り

2014年4月16日(水)10:00
※当選の発表は、厳選なる抽選のうえ、当選者のみメールにて4/18(金)18:00までに通知させていただきます。

■注意事項

※本イベントでは、マスコミ各社の取材による撮影や、スタッフによる記録撮影が行われ、各メディアにて放映・掲載される場合がございます。あらかじめご了承のうえ、ご応募ください。
※映画の上映はございません。




ホドロフスキー監督講演&『リアリティのダンス』プレミア上映会
チケット4/7(月)より第二次販売開始!!!

『リアリティのダンス』の上映後に、ホドロフスキー監督による講演と、会場のお客様を対象にしたタロット・リーディングを行うプレミア上映会を開催いたします。

※予約者多数のため第一次チケット販売を終了しておりましたが、4月7日(月)12:00より、若干数ではありますが第二次販売を開始いたします。

■日時:2014年4月22日(火)18:00開場/18:30開演
■会場:ヤクルトホール(港区東新橋1-1-19)
■上映作品:『リアリティのダンス』
■前売料金:2,500円/当日料金:2,800円

☆前売券はe+(イープラス)にてお買い求めください。4月7日(月)12:00より第二次販売を開始いたします。

※『リアリティのダンス』劇中に、一部、過激な表現が含まれます。劇場上映バージョンとは若干異なりますことをあらかじめご了承ください。
※公開タロット・リーディングは、当日、会場のお客様の中から希望者を募り、数名に行います。




『ホドロフスキーのDUNE』
2014年6月14日(土)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほか、全国順次公開

監督:フランク・パヴィッチ
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ミシェル・セドゥー、H.R.ギーガー、クリス・フォス、ニコラス・ウィンディング・レフン
(2013年/アメリカ/90分/英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語/カラー/16:9/DCP)
配給:アップリンク/パルコ
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/dune/

『ホドロフスキーのDUNE』メイン
『ホドロフスキーのDUNE』より



『リアリティのダンス』
2014年7月12日(土)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほか、全国順次公開

監督・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー
出演:ブロンティス・ホドロフスキー(『エル・トポ』)、パメラ・フローレス、クリストバル・ホドロフスキー、アダン・ホドロフスキー
音楽:アダン・ホドロフスキー
原作:アレハンドロ・ホドロフスキー『リアリティのダンス』(文遊社)
原題:La Danza de la Realidad(The Dance Of Reality)
(2013年/チリ・フランス/130分/スペイン語/カラー/1:1.85/DCP)
配給:アップリンク/パルコ
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/dance/

リアリティのダンス
『リアリティのダンス』より

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