上野遼平監督『瘡蓋譚』より
大阪府大阪市を中心にしたインディペンデント映画祭「シネドライブ2014」が3月21日(金・祝)より十三シアターセブン、中崎町プラネット+1、天劇キネマトロン、イロリムラで開催される。シネドライブは、1999年にプラネット+1の代表・富岡邦彦さんと山下敦弘監督、そして熊切和嘉監督らが中心となり行われていた自主映画作家を応援するプロジェクト「シネトライブ」を引き継ぐかたちで、これまで不定期で開催されてきた。今回実行委員の代表となったのは、自ら監督として『キレる』(2012年)などの作品を発表してきた岡田真樹さん(26歳)。岡田さん自身も2012年に出品する側としてこの映画祭に参加。長編製作の経験もなく、短編作品をどのように観客に観せていけばいいか悩んでいた岡田さんは、「こんないい映画祭を絶やすのはもったいない、やるしかないだろう!」と音頭を取ることを決めたという。
シネドライブ2014実行委員代表の岡田真樹さん
今年は公募により集まった全36作の短編・長編を4会場で3日間にわたり上映する。公募のテーマは〈いま作り手が観客に観てほしい自分の映画〉。「観てほしいという、その熱を持っている人だけ応募してほしい、と呼びかけたところ、関東からも全体の半分近く応募が来て、反応は良かったです」と岡田さんは手応えを感じているようだ。
「自主映画だけ続けている監督もいれば、商業映画をやっている監督もいて、その多様性と、それぞれの監督の自主映画についての考え方は、今後自主映画を作ろうとしている人たち、そしてこれから続けようとしている人のきっかけのひとつになるのではないかと思います」。
津田翔志朗監督『涅槃大衆行進曲』より
全36作品は「ファンタスティック映画の誘惑」「出会いと別れ、青春!恋愛偏愛のオムニバス」「驚愕 カメラに映った嘘と真実」の3つのカテゴリーと14のプログラムに分けて上映。下は高校生から、上は50代までの自主映画作家から集まった作品のクオリティについては、岡田さんは次のように解説する。
「作品単体で主張するときになったときは、正直分からない部分もあります。でも、監督ひとりでは抱えきれないことも、一緒にプログラムを組んでいる監督同士が集まることで補うことができる可能性は感じています」。
舟木健児監督『新近未来』より
藤岡晋介監督『むらかみはるきの恋人』より
毎回の上映後に監督と観客による対話の時間を設けているのは、「作り手が自己満足的に映画を消費してインディペンデント映画そのものがモラトリアムの受け皿になっているのではないか」という切実な問題意識も理由にある。
「実は以前、自主映画に関わりがない映写を普段している方からそう言われて、確かなそうだなと。自分も作品を撮るときに、製作資金の面などで、友人たちと持ちつ持たれつで作ってしまう危機感を感じて、自腹で撮ることは大学(大阪芸術大学)卒業後はやめようと思っていたんです。でも、どうしてもそうした環境のなかで作っていかなければしょうがない。それを改善するためにどうしたらいいか、みんな集まって、シネドライブで話そうよ、というところに賭けているんです」。
神田隆監督『LITTLE ADVENTURE - NO NAME –』より
衣笠竜屯監督『ドラキュラ・アンドロイドの休日』より
現在シネドライブはすべて運営側の持ち出しで運営しているが、来年以降を見据えて、助成金をもらえるよう運営面も構築している最中だという。大阪地区のみならず、東京での開催など、自主映画制作者たちの熱い思いをそのまま汲み取るために、プロジェクトの構想は広がっている。
「常に開かれた映画祭であるというところを崩さずにすることが、シネドライブの色だと感じています。そして、賞を見せる映画祭ではなく、人に見せるための映画祭。そこを強みにこれから続けていきたいと思っています」。
(取材・文:駒井憲嗣)
シネドライブ2014
2014年3月21日(金・祝)~23日(日)
会場:十三シアターセブン、中崎町プラネット+1、天劇キネマトロン、イロリムラ
公式HP:http://cinedrive2014.businesscatalyst.com/
公式Facebook:https://www.facebook.com/CineDrive2014
公式Twitter:https://twitter.com/CineDrive2014