骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2014-03-14 10:20


僅か3年の活動期間、“早すぎた”パンクバンドTEENGENERATEを捉えたドキュメンタリー

映画『GET ACTION!!』近藤順也監督語る「何も記録しなかったら忘れ去られてしまう」
僅か3年の活動期間、“早すぎた”パンクバンドTEENGENERATEを捉えたドキュメンタリー
映画『GET ACTION!!』より Photo by Masao Nakagami(TARGET EARTH)

90年代前半、3年に満たない活動期間だったものの、ソリッドなパンクサウンドを武器に、単身海外に乗り込んでの欧米ツアーや、海外のレコードレーベルからのリリースなど、現在では当たり前となったインディペンデントなバンドのあり方を体現したバンド、TEENGENERATE。彼らの2013年8月に行った活動20周年を記念する再結成ライヴまでの軌跡を追ったドキュメンタリー『GET ACTION!!』が3月15日(土)より公開される。当時からTEENGENERATEの熱狂的なファンであったことが高じて監督を務めることになった元シアターN渋谷の支配人・近藤順也さんに話を聞いた。

彼らが海外だけで認知度が高いということに納得いかなかった

「あるバンドを聴いて、自分の人生は変わった。あるバンドの影響で、今はこの舞台で、日本語で、話してる。人生はまだ変わる。それが、THIS IS FUCKIN' TEENGENERATE」

映画のオープニング・シーン、TEENGENERATE再結成ライブ。前説として登場したロックバンドCOZYのヴォーカル、スティーブ(中学生の時にTEENGENERATEに衝撃を受けて、日本語を学ぶために日本へ留学している!)は、静かにしかし熱く興奮し、つたない日本語ではあるが、逆にそれがエモーショナルな響きとなり、会場全体を異様な熱気に高めていった。

1993年。パンクシーンに現れたTEENGENERATE。活動期間はわずか3年。そのあまりにも短い活動期間にも関わらず、彼らは世界10カ国からレコードをリリースするなど、様々な場所や人たちに爪痕や遺伝子を残した。かつてホラー、パンク映画の聖地としてカルト的人気を確立し、惜しまれつつも2012年に閉館した映画館シアターN渋谷。その支配人だった近藤順也さんもまたTEENGENERATEに大きく心を奪われてしまったひとりだ。その愛情が実を結び彼らのドキュメンタリー映画を監督、完成させた。

「みなさんそうだと思うのですが、音楽や映画で自分の人生を変える作品やアーティストがいて、自分にとってはTEENGENERATEがそのなかのひとつのバンドだったんです。ずっと好きなバンドでした。先駆者的で、今でこそメジャーレーベルが売り出し方として海外ツアーやらせたりすることはいっぱいあるけれど、彼らは自分たちで全部道を切り拓いていった。だけど自分がすごく影響を受けたバンドなのに、日本の人はほとんど知らない。要はそこですよ。海外で認知度が高い、ということが納得いってない部分があったんです」

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映画『GET ACTION!!』の近藤順也監督

そう言って制作の過程を語り始めた近藤さんは以前にもいくつか音楽ドキュメンタリーを制作している。

「シアターN渋谷でもたくさん音楽ドキュメンタリー映画を上映してきましたが、日本のアーティストの劇場公開されるドキュメンタリーは圧倒的に少なかったんです。ないなら作ろうと。それで、最初に手がけたのが日本のパンクバンド「アナーキー」のドキュメンタリー『アナーキー』なんです。プロデュースしてキングレコードでDVDを出してもらって。某大物監督にやってもらおうと思っていたんですが、そこが断られてしまって、それでどうしようかというときに、川口潤の『77 BOADRUM』が素晴らしかったので、彼に頼んだらどうだろう、というので川口にやってもらうことになった。それが僕と川口潤とキングレコードの長谷川英行さん3人の最初の共同作業でした。その後、bloodthirsty butchersのドキュメンタリー『kocorono』も長谷川さんと僕がプロデューサーで川口が監督、というかたちでやりました」

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映画『GET ACTION!!』より © 2014 NIPPAN, KING RECORDS All Rights Reserved.

なぜTEENGENERATEだったのか。答えはシンプルにTEENGENERATE愛と呼んでいいだろう。さらに出演交渉も愛ゆえのストロングスタイルで驚くべき提案をする。

「次になに撮ろうというときに、自分が好きなTEENGENERATEを記録したいと。ただシアターN渋谷をやっている間もTEENGENERATEのドキュメンタリーを作れないかなと思っていたんですけれど、杉山兄弟(FifiとFink)が現役でバンドをやっているので、なかなか物語を頭の中で想像しても締まらないんです。そうこうしているうちにシアターN渋谷が閉館になった。本腰を入れてやらねばと思っていたところにちょうど結成から20周年で、メンバーと面識があったので「映画を作りたい、ついては再結成ライヴをやってくれないか」と頼んだんです。再結成ライヴがあれば、ひとつ核ができるから締まるんじゃないかと。それをOKしてくれたので、動き出したんです」

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映画『GET ACTION!!』より © 2014 NIPPAN, KING RECORDS All Rights Reserved.

きったない音だけど、すごいエネルギーがあった

そこまで彼を突き動かしたTEENGENERATEの魅力はいったいどこにあるのだろうか。

「あの頃、日本のパンクの専門誌はDOLLしかなかった。携帯もないし、当然インターネットもないし、フライヤーかレコ屋じゃないと情報が手に入らない。だから当時はDOLLの隅から隅まで、それこそメンボ(メンバー募集)のところまで穴があくまで読んでましたよ。そんなとき、93年にSUPERSNAZZがSUB POPと契約したというニュースがカラーで紹介されたんです。それまで少年ナイフぐらいしか知らなかったので、日本でもこんなに海外でやってるバンドいるんだと、聴いてみたらめちゃカッコ良かったんですよ。こういうバンド男でやってるのいないの?ということで、調べたらTEENGENERATEに出会ったんですよ。今まで聴いたことのない音色で、きったない音だけど、すごいエネルギーがあった」

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映画『GET ACTION!!』より © 2014 NIPPAN, KING RECORDS All Rights Reserved.

近藤さんにとってTEENGENERATEの存在は当時全盛を極めたグランジに対するアンチテーゼとして、痛快かつ爆音で頭の中で鳴り響いた。

「マッドハニーとかパール・ジャムとかニルヴァーナとかぜんぶ買って聴いてみたものの、どれもこれもいやでした。とにかくすぐに歌い出さない。それがいやで、曲の長さが4分とか間奏がやたら長いとか。その当時、パンクをやり続けてくれたのってラモーンズしかいなかった。ハードコアもかたちを変えて音がどんどん変化している時代でクロスオーバーとかミクスチャーも出てきて、レッチリが出てきてマッチョな要素が出てきたりしたときに、シンプルなロックンロールをやって、早いロックンロールがパンクなんだ、ということをTEENGENERATEが再認識させてくれたんだと思うんです」

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映画『GET ACTION!!』より © 2014 NIPPAN, KING RECORDS All Rights Reserved.

「結局シアターN渋谷もデジタル化の波に乗れないというところで閉館したんですけれど、確かにシネコンのほうがいいし、安いし、という部分があると思うんですけれど、シアターN渋谷のことを支えてくれたファンの方々がいて、2012年に閉館したのに、いまだに好きだったんです、と言ってくれる人がいるんです。TEENGENERATEも同じで、何も記録しなかったら、古いロックバンドがいました、というだけで忘れ去られてしまいます。それはいやだな」

綺麗で洗練されているものがいいとされる価値観がある。でも汚くて妖しいものに惹かれてしまう価値観があったっていいじゃないか。表舞台にはたつことはなくても、ひっそりアンダーグラウンドで妖しい光を放つものに。好きだから、つくる。このシンプルでピュアな気持ちこそが世の中であらゆるものを動かす最も強い原動力なのだとしたら、この作品にはそれがギュウギュウに詰まっている。

(インタビュー:石井雅之 構成:駒井憲嗣)



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映画『GET ACTION!!』より Photo by Masao Nakagami(TARGET EARTH)

映画『GET ACTION!!』
2014年3月15日(土)より、新宿シネマカリテにて限定レイトショー!!

監督:近藤順也
撮影・編集:川口潤
出演:TEENGENERATE(Fink、Fifi、Sammy、Suck、Shoe、Greg)、蕨祥裕、関口弘、Daddy-O-Nov、那須太一、セイジ(GUITAR WOLF)、TOMOKO(SUPERSNAZZ)、Ronnie Yoshiko Fujiyama(the 5.6.7.8's)、平野実生、Rockin'Jelly Bean(Jackie & The Cedrics)、Enocky(Jackie & The Cedrics)、四宮桂、オノチン(JET BOYS)、大槻洋(smallspeaker/ex.REGISTRATORS)、IWATA(The STRUMMERS)、TAYLOW(the原爆オナニーズ)、中上マサオ、飯嶋俊男、水沢そら(The Gimmies)、HIROYASU(P.C.2 aka PAYCHANNNEL)、笠井裕文(Bossmen)、Ken Stringfellow(The Posies)、Norman Blake(Teenage Fanclub)、Jack Tieleman、Bruce Milne、Andy Gortler(DEVIL DOGS)、Eric Davidson(NEW BOMB TURKS)、Tim Warren、Deniz Tek(RADIO BIRDMAN)、Mike Lucas(THE PHANTOM SURFERS)、Greg Lowery(THE RIP OFFS)、Steve Borchardt(COZY) 他
製作:日本出版販売+キングレコード
制作:アイランドフィルムズ
制作協力:TARGET EARTH、MANGROVE LABEL
2014年/カラー/ビスタ/99分
© 2014 NIPPAN、KING RECORDS. All Rights Reserved.

公式サイト:http://www.get-action.net
公式Facebook:https://www.facebook.com/Teengenerate20th

▼映画『GET ACTION!!』予告編


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