骰子の眼

art

東京都 目黒区

2014-02-07 02:25


今年はこれを観る!第6回恵比寿映像祭ディレクターとプログラマーによるレコメンド

デイヴィッド・ホックニーの日本初公開作や、ラヴ・ディアス、真利子哲也らの作品で、映像の可能性を探る
今年はこれを観る!第6回恵比寿映像祭ディレクターとプログラマーによるレコメンド
アンリ・サラ《ギヴ・ミー・ザ・カラーズ》 2003 Courtesy Galerie Chantal Crousel, Paris, Marian Goodman, New York; Hauser & Wirth; London, Zurich; Johnen/Schöttle, Berlin, Cologne, Munich.

展示、上映、ライヴ・イヴェント、講演、トーク・セッションなどで複合的に構成する、映像とアートの祭典第6回恵比寿映像祭が2月7日(金)より2月23日(日)まで開催される。2014年のテーマは「トゥルー・カラーズ」、現代社会の多様性に生み出されたものやその波に呑み込まれることなく守られてきたものについて考察する。今回はディレクターの北澤ひろみさんと上映プログラマーの碓井千鶴さんに注目すべき作品をレコメンドしてもらった。




ディレクター北澤ひろみさんによるレコメンド作品

デイヴィッド・ホックニー《ジャグラーズ、2012年6月24日》

レンズというテクノロジーを通した視点への考察

"THE JUGGLERS, JUNE 24TH 2012"STILL FROM 18 CAMERA DIGITAL VIDEO PRESENTED ON 18 SCREENSゥ DAVID HOCKNEY
デイヴィッド・ホックニー《ジャグラーズ、2012年6月24日》2012 ©David Hockney Courtesy of Hockney Pictures and Pace Gallery

ペインティングや写真作品で広く知られる、デイヴィッド・ホックニー。その映像作品、《ジャグラーズ、2012年6月24日》を日本で初めて公開します。ポラロイド・コラージュのコンセプトを映像表現へと発展させた本作は、18台のカメラで撮影した異なる人種のジャグラー(奇術師)達のってパフォーマンスの様子を、18台のモニターに映し出しひとつの作品を構成しています。各々の画面からは生じる視点のずれは、実世界における我々の複眼による視点へと近づけ、表現しようとする試みです。映画や絵画の歴史にも注意を傾けながら、レンズというテクノロジーを通した視点への考察を試み、ムービング・イメージへの新たな経験をもたらしています。

2014年2月7日(金)~2014年2月23日(日)
会場:B1F展示室
http://www.yebizo.com/#pg_ex22




ジョウシン・アーサー・リュウ《コラ》

秘境の地を5mを超える大型スクリーンで

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ジョウシン・アーサー・リュウ《コラ》 2011-2012

チベット、カイラス山は、現在もなお、秘境の地であり、かつ祈りの場として重要な意味を持つ場所であり続けています。そこでのコラ(巡礼)へと向かう道中を収めたジョウシン・アーサー・リュウの《コラ》は、そのカメラワークによって、見る者はあたかもその道行きを歩んでいるかのような身体的感覚を覚えさます。5mを超える大型スクリーンに映し出される迫力ある色鮮やかな3Kの高解像度画像と澄み切った響きを奏でる音楽が、日々の喧噪から、静謐な世界へと導いていきます。

2014年2月7日(金)~2014年2月23日(日)
会場:3F展示室
http://www.yebizo.com/#pg_ex3




アンリ・サラ

最初期の作品から近年の作品まで多角的に紹介

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アンリ・サラ《インテルヴィスタ》1998/26分/アルバニア語(日本語字幕付)

昨年のヴェネツィア・ビエンナーレのフランス館代表となるなど、近年は完成度の高い映像インスタレーションで評価での高まるアンリ・サラ。恵比寿映像祭では、その最初期の作品から近年の作品へとつながっていく流れのなかで、その制作の核心へと迫っていきます。共産主義時代の自らの母親のインタビューがベースとなっている初期の卒業制作《インテルヴィスタ》から故郷アルバニア共和国の首都ティラナを描いた《ギヴ・ミー・ザ・カラーズ》や、言語や音をテーマとする《片言》、《長い悲しみ》などの作品を、展示空間におけるインスタレーションと映像ホールでの上映プログラムで多角的に紹介します。

[上映] 2014年2月8日(土)18:30
2014年2年13日(木)15:00
会場:1F上映ホール
[展示] 2014年2月7日(金)~2014年2月23日(日)
会場:2F展示室
http://www.yebizo.com/#ar_10




プログラマー碓井千鶴さんによるレコメンド作品

マティアス・ピニェイロ『盗まれた男』

アルゼンチンの新進気鋭監督による 物 語 ( ラビリンス )

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マティアス・ピニェイロ『盗まれた男』2007

ブエノスアイレスの美術館で働き、そこから展示品を盗んで売りさばく女。19世紀アルゼンチンの大統領であり、作家でもあったD・F・サルミエントのテクストと符合しながら、女は親友や恋人たちの人間関係をこんがらからせていく…。随所に織り込まれるテクストや逸話、映し出される建造物など、アルゼンチンの歴史にも眼差しを向けながら、物語と街はいつしかラビリンスへと様相を変えていきます。現代アルゼンチンを代表する新進気鋭の監督マティアス・ピニェイロは、長編デビュー作である本作で全州映画祭グランプリを受賞しました。白黒16ミリフィルムで撮影された、荒々しさを持つ画面の美しさも見どころです。

2007年/91分/監督:マティアス・ピニェイロ
2014年2月11日(火)18:30
2014年2月13日(木)18:30
2014年2月23日(日)11:30
会場:1F上映ホール
http://www.yebizo.com/#pg_screen9




ラヴ・ディアス『北(ノルテ)―歴史の終わり』

静謐なロングショットで語る、フィリピンの怪物的監督

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ラヴ・ディアス《北( ノルテ)―歴史の終わり》 2013 ©Wacky O Productions

ドストエフスキーの『罪と罰』を題材に、無罪で投獄される貧しい男とその家族、真犯人の青年の人生をロングショットで描く4時間以上に及ぶ超大作。商業的な時間枠に合わせることなく、作品に必要な尺で制作を続けている…と語るラヴ・ディアスの言葉の意味を実感できるはずです。タイトルの “ノルテ(=北)”は、20年にもわたって権力を握ったフィリピンの第10代大統領マルコスの出身地を暗示しており、その姿は犯人である青年に重ねられているでしょう。昨年の山形国際ドキュメンタリー映画祭、東京国際映画祭で上映され大喝采を浴びた本作を見逃してしまったのなら、ぜひこの機会にご覧ください。

2013年/250分/監督:ラヴ・ディアス
2014年2月8日(土)11:30
会場:1F上映ホール
http://www.yebizo.com/#pg_screen5




真利子哲也『あすなろ参上!』

地元への愛着に目を向ける、新たなアイドル映画

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真利子哲也《あすなろ参上!》2013 ©マッドマガジンレコード 徳間ジャパンコミュニケーションズ

愛媛県松山市で活動しているご当時アイドル「ひめキュンフルーツ缶」が架空のグループ “アスナロA”を演じており、実際の活動を反映したリアル×ファンタジーで彼女たちの成長を描きます。ゆるキャラのタルト人を助けたりしまぼうと共演したりする中、解散の危機が訪れますが、音楽への情熱は捨てられません。試練を経てもなお彼女たちが一番大切にしたいのは、自分たちの笑顔でみんなを笑顔にすること! 仲間を探して走り回る商店街や、小さな駅、ライヴハウス…。『NINIFUNI』の真利子哲也監督が描く新たなアイドル映画は、ノスタルジーに陥ることなく現代のリアルな松山で、私たちを魅了します。

2013年/82分/監督:真利子哲也
2014年2月15日(土)18:30
2014年2月18日(火)18:30
会場:1F上映ホール
http://www.yebizo.com/#pg_screen12




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第6回恵比寿映像祭 トゥルー・カラーズ
2014年2月7日(金)~2月23日(日)

会場:東京都写真美術館全フロア及び恵比寿ガーデンプレイス センター広場、ザ・ガーデンルーム、恵比寿周辺文化施設及びギャラリーほか
休館:2月10日(月)、2月17日(月)
時間:10:00~20:00 *最終日2月23日(日)のみ18:00まで
料金:入場無料 *ただし、定員のある上映、イヴェントなどは有料
主催:東京都/東京都写真美術館・東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)/日本経済新聞社
共催:サッポロ不動産開発株式会社
後援:J-WAVE 81.3FM/オーストラリア大使館/駐日韓国大使館 韓国文化院
助成:公益信託タカシマヤ文化基金
協賛:ケベック州政府在日事務所/台北駐日経済文化代表処 台北文化センター/サッポロビール株式会社/東京都写真美術館支援会員
協力:イスラエル大使館/NECディスプレイソリューションズ株式会社/東芝ライテック株式会社/東芝エルティーエンジニアリング株式会社/マックレイ株式会社/KyotoDU/ぴあ株式会社/株式会社北山創造研究所/株式会社トリプルセブン インタラクティブ/株式会社ロボット
公式サイト:www.yebizo.com/


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