骰子の眼

stage

東京都 新宿区

2013-09-27 13:38


真夜中の新宿に巨大な見世物小屋が出現「サディスティックサーカス2013」

世界中から身体パフォーマーを集めた「大人にトラウマを与える」イベントレポート
真夜中の新宿に巨大な見世物小屋が出現「サディスティックサーカス2013」
京都BARBARAの龍崎飛鳥

今年で11回目を迎える、オールナイトで開催される真夜中の見世物小屋「サディスティックサーカス」が新宿Faceにて開催。20歳以下は入場不可、「大人にトラウマを与える」をテーマに世界から集められた肉体表現のパフォーマーが一堂に会した当日の模様をレポートする。

去る9月15日(日)、年に一度のイベント「サディスティックサーカス」が新宿Faceにて開催されました。台風迫る閑散とした街の空気とは異なり、会場内は満員御礼、一年に一度のこのサーカスを待ちわびた人々の熱気が渦巻いておりました。

会場は舞台が360度どこからも見渡せるプロレスリングがステージとなり、壁面には見世物看板が並び、まるで真夜中の見世物小屋に迷い込んでしまったよう!
ざわつきが残る会場内にいきなり登場したのは5人の戦隊ヒーロー。The TUBESの曲に合わせてド派手にオープニングがスタートすると、当代一の弁士 山田広野が高らかにサディスティックサーカス2013の開催を宣言します。火蛇サラマンドラの妖しく色気溢れる群舞、くるくるシルクの巨大足長男の登場で、会場は一気に真夏の夜の夢のようなサーカスの世界へと誘われました。


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戦隊ヒーロー
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火蛇サラマンドラ
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くるくるシルク

ここで登場したのは伝説の踊り子、浅草駒太夫。17歳のデビュー以来、今年で御年72歳、今回はなんと生歌とサックスの生演奏!その魂の踊りに全観客が息を飲む、天下一品の舞台、まさにレジェンドストリップ!

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浅草駒太夫

POPHEADS!は客席から現れ、凄まじい痙攣と共に肉体を舞台に叩き付ける圧巻のダンス!
ぱいまちょ歌劇団の学園恋愛ものダンスミュージカルは、一本の映画を見ているかのよう、凄まじい身体能力を持つメンバーの、刃のように切れ上がったチームダンスは観客からの大声援を浴びておりました。

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POPHEADS!
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ぱいまちょ歌劇団

The NOBEBOは70年代~80年代にかけ、各地の温泉旅館やキャバレーなどで行われていた金粉ショーを舞踏集団元「白虎社」の佐東範一、水野立子の稽古を受け復刻された金粉ショーチーム。薄明りの中、メンバーが登場すると、金粉を塗られた肌が艶めかしく輝き、涅槃の中で何か危ない儀式を見ているようです。肉体の美しさ、その迫力で多くの観客を魅了しました。

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The NOBEBO

肉体の美しさで双璧をなしていたのは、空中ショー浅葱アゲハ。鍛え上げられた完璧な肉体が軽やかに空中で舞う度に、感嘆の声が!

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浅葱アゲハ

身体パフォーマンスの極北、忘れてはならないのが首くくり栲象。今年はオペラの生歌を女性歌手のKOTOが歌うその傍らで、鍛え上げられた肉体を晒しながら、死への階段を進み、禁断の「行為」を目の当たりにし、観客の度肝を抜きました。

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首くくり栲象

首くくり氏と対極のもう一つの「首吊り」で観客を沸かせたのは、ラスベガスからの参戦!日本初上陸の「Swing Shift Side Show」アンドリューとケルヴィクタの夫婦。悲鳴すらあがるような、人間離れしたアブない秘技の数々を、コミカルかつしなやかに、時には大爆笑の渦を巻き起こしながら披露する一大エンターテイメントショーは、会場内を大いに盛り上げました!

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Swing Shift Side Show
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Swing Shift Side Show

今年のサディスティックサーカスは、音楽表現も多彩なアーティストが登場しました。

ルドルフ・エバーはサディスティックサーカスの常連でもありますが、今年は氏の作り上げたパフォーマンスの中でも最も過激で独創的なショー「嘔吐オーケストラ」での参戦です。3人の黒髪の美少女と共に登場!彼はこの美少女を楽器にして、この最も美しいハーモニーを奏でるのです。色とりどりの液体を飲ませ、彼の指揮で一斉に放出!メロディー(嘔吐音!)を自在に操り、演奏をする姿に、会場は拍手喝さいでクライマックスを迎えました。

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ルドルフ・エバー「嘔吐オーケストラ」

ドイツからチームを引き連れて登場したのはルイス・フライシャー。氏のパフォーマンスは自らの肉体にフックを突き刺し、そのフックを楽器に見立てて演奏を行う肉のオーケストラ!今年もさながら公開儀式のような、視覚的痛みを伴うパフォーマンスで、会場をあっという間に異次元へと導きました。

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ルイス・フライシャー
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ルイス・フライシャー

そしてサディスティックサーカス常連の大御所、日本のSMショーを牽引してきた2人のパフォーマーも登場!4回目のサディスティックサーカスの出演となる京都BARBARAの龍崎飛鳥。厳かな重低音の神楽が流れる中、二人の着物の女性がゆっくりとたおやかに、尼の格好をした女性を連れて登場、着物を脱がされた尼の女性の全身に般若心経を写していきます。ここで神楽にノイズが入り、一気にトランスに変化したかと思うと、花道には武将姿の龍崎飛鳥が!そう、テーマは「耳なし芳一」!ここから芳一が武将の亡霊に一気に縛り上げられていくのです。武将の狂気に縄と共に捉えられていく芳一の、痙攣する瞳と身体。最後は頭部まで縛り上げられ、耳を奪われ倒れる芳一。あまりの縄のスピードと迫力のある吊り、エロティックで極上のエンターテイメントがそこにはありました。

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京都BARBARAの龍崎飛鳥

もう一人は早乙女宏美、待っていました「切腹ショー」です!琵琶の生演奏と共に語られる「雪女」の哀しき物語。腹を切り、天高く飛翔する「雪女」。白く舞う雪の中に真紅の血を残して消えていく姿、正に渾身のパフォーマンスに会場内は割れんばかりの拍手喝さい。

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早乙女宏美
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早乙女宏美
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早乙女宏美

ゴキブリコンビナートの過激な歌劇からの串刺し団子3兄弟も、今年は団子「親子」串刺しに会場からは声援が!

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ゴキブリコンビナート
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串刺し団子3兄弟

トリは処刑台に括り付けられた女性に花を活けていく公開花刑。

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公開花刑

明け方まで息つく暇もなく繰り広げられた祭典、一夜の悪夢のようなサーカスは、今年も幕を閉じました。
全出演者と観客が織りなす会場の一体感は、まさしく真夜中の巨大な見世物小屋。このイベントならではの醍醐味です。
百聞は一見にしかず、まだご覧になっていない方のご参加を、次回こそお待ちしています。来年もまたこの禁断のサーカスをお楽しみに!

(文:田口葉子[ヴァニラ画廊])



来年まで待ちきれない方の為に朗報です!この度サディスティックサーカスのDVDボックスが発売されました。2002年から2012年の10年間の貴重な映像を収録した稀有なDVDボックスです。

これがサディスティックサーカスの全貌だ!
サディスティックサーカスを知って以来、夏が訪れるたびに、その到来を心待ちにするようになった。
文字通りそれはある晩に突然出現し、夥しい芸人や踊り子、パフォーマーたちが百鬼夜行を繰り広げたかと思うと、翌日にはもう何ごともなかったかのように雲散してしまうのである。
―四方田犬彦(DVD‐BOXブックレットより)


サーカスDVD リリース用

サディスティックサーカス
DVD-BOXセット


定価5,800円(税込)
2002~2012年の10年間の貴重な映像を収録!
豪華限定DVD-BOXセット・50Pブックレット・サディスティックサーカス2013ポストカード封入!
限定販売の為残部僅少!ヴァニラ画廊では店頭販売のみ・
サディスティックサーカス公式サイトから通販ページがございます。
http://www.sadistic-circus.com/

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