骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2013-09-24 13:57


原発問題描く映画に山本太郎が出演「同じことを繰り返してはいけないという共通の認識に」

9/28(土)より渋谷アップリンクで公開、映画『朝日のあたる家』を観る意義について語る
原発問題描く映画に山本太郎が出演「同じことを繰り返してはいけないという共通の認識に」
©「朝日のあたる家」

静岡県湖西市を舞台に原発問題を通して家族の絆を描いた映画『朝日のあたる家』が9月28日(土)より渋谷アップリンク他全国順次ロードショー公開される。2013年3月に撮影された今作に、原発事故に遭った平田家の心配をして沖縄から駆けつける光太郎伯父さん役で山本太郎が出演している。自身も原発問題には精通している立場から、どのように映画に関わったのか、出演までの経緯や撮影について聞いた。

一刻も早く観ていただきたい

──最初に出演に至る経緯、そして脚本を読んで感じられたことを教えてください。

それは太田監督の熱烈なラブ・コールですよ(笑)。脚本を読んで、テレビ、新聞などのマスコミ、メディアのスポンサーへの気遣い偏向報道で事実を知ることが出来ていない人たちも、もしかしたらこの作品を通して原発事故の悲惨さが疑似体験できるのではないか、と思いました。実生活で原発へのアクションをしているので、作品などで表現する必要はないと出演を決めるまでは思っていたのですが、監督と話し合い、脚本を読んで自分の考え方が変わりましたね。

──光太郎という人物を、どのように演じてみようと思われたのでしょうか。

自分と重なる部分もあったので、脚本のまま素直に光太郎に入っていくことだけでしたね。

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©「朝日のあたる家」

──監督とのコミュニケーションは?

太田監督は、役者が納得できるまで現場で話し合ってくれるんで、芝居に入るまでの時間で僕らの「気持ち」や「感情」が現場で構築できるまで絶対本番にはいかないんですよ。役者の生理をよく理解されている監督だと思ったので、僕から特に何かをお願いすることはなかったですね。

──橋本わかなさん演じる娘の舞との病院でのシーンは涙を誘うものでした。

あそこは台本をしっかりと頭に入れ、監督の指示に従い、橋本さんのピュアな芝居に触れればいいだけだったので、僕が特に芝居をリードしたわけでもないですよ。

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©「朝日のあたる家」

──福島原発以降、原発をテーマにした作品はいくつか公開されてきましたが、今この『朝日のあたる家』を観る意義について、どのように感じられますか。

一刻も早く皆さんに観ていただいて、同じことを繰り返してはいけないよという共通の認識になればいいなと思います。この国に住む者にとって、全ての人々に起こり得ることです。原発がなくてもエネルギーは足りているわけで、ガス火力中心でこの国はすでに「脱原発」に成功している。99%の人を犠牲にしても、1%の人が地震の活動期でも金儲けを諦められないから、原発をまだまだ続けよう、というのがこの国の原発政策。事故が起こっても、電力会社や国は「事故隠し」以外何もしてくれないんです。東日本一帯にブチまけた毒物は、「無主物」として司法から責任を問われることはない加害者。電力会社の上層部は億単位の退職金を持って天下りする。一方で「放射線管理区域」の何倍もの線量数値の場所は、安全・復興という言葉にすり替えられ、「放射性廃棄物」と同等の食べ物を食べても安全だと切り捨てられることが東電事故でハッキリした。チェルノブイリ事故から27年経った今も「健康被害」は拡がり続けている。大人が今、本気を出して止めさせなければ、次の苛酷な事故は時間の問題。皆で一歩踏み出す勇気を持って、この窮地を乗り切りましょう。

(インタビュー・構成 永田よしのり 『朝日のあたる家』オフィシャル・インタビューより転載)



山本太郎 プロフィール

兵庫県宝塚出身。高校在学中にテレビ界デビュー。テレビドラマ「ふたりっ子」「新選組!」映画『バトルロワイアル』『GO』など数々のヒットドラマ、映画に出演。2011年度より反原発運動を開始。「ひとり舞台 脱原発 -闘う役者の真実-」(集英社刊)も上梓している。2013年7月の参院選で、無所属の新人で唯一当選を果たした。




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©「朝日のあたる家」

映画『朝日のあたる家』
9月28日(土)より渋谷アップリンク他全国順次ロードショー

静岡県、湖西市。自然に囲まれた美しい町。そんな町に住む平田一家。お父さん(並樹史朗)は農業。お母さん(斉藤とも子)は主婦。長女(平沢いずみ)は大学生。妹(橋本わかな)は中学生。日本中どこにでもいる平凡な家族。ただ、長女のあかねだけは、この町が好きではなかった。大きなショッピングセンター、映画館やコンサートホールがない。就職後は都会で一人暮らしを夢見ていた。そんなとき起こった大きな地震。原子力発電所が爆発。避難勧告。1日で帰れると思っていたら、何ヶ月も帰れない。父は仕事を失い、母はノイローゼ、妹は病気になる。ようやく許可された一時帰宅も1時間の制限付き。荷物を取ってくることしか許可されない。福島と同じ事態だ。あかねたちの家族もまた、大きな悲しみの渦に巻き込まれて行く。

出演:並樹史朗、斉藤とも子、平沢いずみ、橋本わかな、いしだ壱成、藤波心、山本太郎
監督・脚本:太田隆文(『ストロベリーフィールズ』『青い青い空』)
2013年/118分/日本/1.33:1/カラー
配給・宣伝:渋谷プロダクション
公式サイト:http://asahinoataruie.jp
公式Twitter:https://twitter.com/asahinoataru_ie

▼映画『朝日のあたる家』予告編

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