骰子の眼

cinema

東京都 品川区

2013-09-19 20:06


シリア内戦の様子や現場の声─難民たちの現実をドキュメンタリーで知る

9/28より開催、第8回UNHCR難民映画祭から注目の10作をピックアップ
シリア内戦の様子や現場の声─難民たちの現実をドキュメンタリーで知る
第8回UNHCR難民映画祭で上映される『シリア、踏みにじられた人々と希望』より

第8回UNHCR難民映画祭が9月28日(土)より開催される。
現在、世界中で4500万人以上が国内外に逃れて暮らしており、2012年だけでも新たに760万人が難民または国内避難民として避難生活を余儀なくされている。これは、4秒に1人が家を追われたことを意味する。
難民問題の解決を図る唯一の国連機関・国連難民高等弁務官(UNHCR)の駐日事務所主催により行われるこの映画祭は、難民一人ひとりの物語を伝え、彼らの直面する困難をより深く理解することを目的としている。シリアで起きている紛争をはじめ、世界各地で止まない人道危機により、多くの人々が難民そして国内避難民として避難生活を余儀なくされているなか、この問題を映画を通して知ることができる映画祭となっている。
今回は映画祭で上映される作品のなかから注目すべき10作品を紹介。恐怖や喪失感、トラウマのみではなく、勇気、希望、達成も伝える物語を通して、自分たちにできることを考えるきっかけとなるだろう。




日本初上映

『シリア、踏みにじられた人々と希望』

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今年の映画祭のオープニング作品、シリア内戦と難民たちを追ったドキュメンタリー『シリア、踏みにじられた人々と希望』です。
2011年3月勃発した内戦は、一般市民を巻き込んだ未曾有の人道危機をもたらし、周辺国に逃れたシリア難民の数は2013年9月には200万人を超え、425万人がシリア国内で避難を余儀なくされています。
本作はトルコの難民キャンプで数々のインタビューを収録。凄惨な内戦の様子や平和を望む国民の悲痛な声を浮き彫りにしています。また、暴力と非暴力の狭間で揺れ動く人々の声を捉え、映画を見る私たちに平和のあり方についても疑問を投げかけます。
日本でも連日のように報道されているシリア難民のニュース、ぜひ映像で彼らの現実を感じてください。

監督:イアラ・リー
アメリカ/2012年/52分/ドキュメンタリー
上映詳細についてはこちら
http://unhcr.refugeefilm.org/2013/title/2013/08/post-52.php




『いてはいけない人』

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©The Invisible Men

難民の数だけ、故郷を離れた理由があります。本作「いてはいけない人」では、パレスチナ人のゲイの青年たちが幾重にも絡まりあう差別の中で葛藤する様を描き出します。主人公のルイは32歳。イスラエルのテルアビブ市内に身を潜めて8年。アブドゥはラマラ出身の24歳。パレスチナ当局にスパイ容疑で拷問を受けます。西岸地区出身のファリスは23歳。親に殺されかけ、家を出てテルアビブに。イスラエルとパレスチナ-自分らしく生きることが出来る場所を求めて二つの世界を行き来する彼らが、自分の居場所を見つけ出すことは出来るのでしょうか。

監督:ヤリーヴ・モゼール
イスラエル、オランダ、パレスチナ/2012年/68分/ドキュメンタリー
協力:関西クィア映画祭2013
上映詳細についてはこちら
http://unhcr.refugeefilm.org/2013/title/2013/08/post-53.php




日本初上映

『新たな壁の裏側で ― 東ヨーロッパに逃れた女性たち ―』

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©Palacios Films

この作品には、保護を求めて東ヨーロッパへやって来た出身国の異なる6人の難民の女性たちが登場します。背景には、急激なEU圏の拡大が東ヨーロッパ諸国との境界に新たな壁を生み出し、その結果ベラルーシやモルドバ、ウクライナといった小国は大量の難民を受け入れる事態に陥ったことがあげられます。母国、家族、アイデンティティー・・。生きるうえで大事なものを奪われたそれぞれの女性の人生を静かに、力強く描き出します。 この作品を撮るにあたり、難民の女性と長い時間を共にしたパウラ・パラシオス監督は、難民の中でも特に女性が置かれた困難な状況を伝えたかったと語っています。

監督:パウラ・パラシオス
スペイン/2012年/81分/ドキュメンタリー
ナレーション:バーバラ・ヘンドリックスUNHCR親善大使
上映詳細についてはこちら
http://unhcr.refugeefilm.org/2013/title/2013/08/post-54.php




日本初上映

『脱出』

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日本初上映の『脱出』の主人公は、祖国を逃れオランダへたどり着き、当局の保護を受けながら難民認定を待ち続けるアマドゥ。学校に通い、青年へと成長したアマドゥに、ある日強制送還の通告が届きます。飛行機へと向かう特別車の中で仲間たちと立てこもるアマドゥ。果たして、その結末は……?上映開始後すぐに始まる「強制送還」という一連の出来事が、アマドゥの目を通して激しく、力強く展開され、観る人の心を揺さぶります。

監督:ボリス・パヴァル・コネン
オランダ/2013年/90分/ドラマ
上映詳細についてはこちら
http://unhcr.refugeefilm.org/2013/title/2013/08/post-55.php




日本初上映

『ダブリンの罠 ― もう一つのギリシャ危機 ―』

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ダブリンIIという条約をご存知ですか?ダブリンIIとは欧州諸国間で難民の庇護申請を一ヶ国に限定することを定めた条約で、最初に到着したすべての庇護希望者の扱いをその国に義務付けるものです。この規則のために多くの庇護申請者がヨーロッパ中からギリシャに送り返され、ギリシャはその負担を一手に引き受けることを余儀なくされています。これはそんな不条理なダブリンIIに異議を唱えた一人のアフガニスタン出身の庇護申請者を追ったドキュメンタリーです。

監督:ブライアン・カーター
ベルギー/2012年/51分/ドキュメンタリー
上映詳細についてはこちら
http://unhcr.refugeefilm.org/2013/title/2013/08/post-56.php




日本初上映

『トンブクトゥのウッドストック』

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©Britta Mangold

本作品はマリで2011年に開催された音楽祭「砂漠のフェスティバル」の様子を、出演者やスタッフ、観客の目を通じて詩情豊かに描いた作品です。 トゥアレグの人々は、差別を受け、土地を追われ、サハラ砂漠で散り散りになり暮らしています。そんな彼らにとって毎年マリで開催されているこの「砂漠のフェスティバル」はトゥアレグの文化的アイデンティティの拠り所になっています。出演者の一人、ボンビーノは戦争と差別反対を訴えるため舞台に立ちトゥアレグの誇りを歌います。「ギターが残された最後の武器なんだ。」そう語る彼らは平和への願いを音楽に託しました。

監督:デズィレ・フォン・トロタ
ドイツ/2013年/90分/ドキュメンタリー
上映詳細についてはこちら
http://unhcr.refugeefilm.org/2013/title/2013/08/post-57.php




日本初上映

『旅立ち ― 母と子の6,954キロ―』

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©Jarkko Virtanen

ルワンダの難民キャンプで子ども3人を育てるコンゴ出身のシングル・マザー、ムカムソニ。「こんな場所に子どもたちの未来はない 」 でも、第三国定住ってなに?フィンランドってどこ?6,954キロも遠いの?でも家族はお互いに思うのです。子どもたちと一緒なら、絶対に大丈夫。お母さんと一緒なら、どんなとこでも きっと楽しい。
本作品では、ルワンダの難民キャンプからフィンランドに定住することになったコンゴ難民の家族が様々な困難を乗り越えながらも新しい人生を切り開いていく姿を描いています。

監督:ファン・レイナ
フィンランド/2012年/56分/ドキュメンタリー
上映詳細についてはこちら
http://unhcr.refugeefilm.org/2013/title/2013/08/post-61.php




日本初上映

『流されて ―ミンダナオ、無国籍者の子どもたち ―』

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©GMA Network Inc.

本作『流されて―ミンダナオ、無国籍者の子どもたち―』】で映し出すのは内戦による暴力と極度の貧困を逃れ、フィリピンからマレーシアに漂着するミンダナオの人々 ―その子どもたちは、いわゆる「無国籍者」として生を受け、教育や保健などの一切の権利を享受できない「流人」として世界から見放された存在です。子ど もたちの声なき声は私たちに「国籍」とは何かを問いかけます。

監督:エリザール・L・デル・ロザリオ
フィリピン/2012年/59分/ドキュメンタリー
上映詳細についてはこちら
http://unhcr.refugeefilm.org/2013/title/2013/08/post-63.php




日本初上映

『ウィラーヤ』

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©ÓSCAR DURÁN

西サハラ難民キャンプで生まれ、スペインに里子へ出された一人のサハラウィ人女性、ファティメトゥが実母の死の知らせを聞き16年ぶりに帰ってきました。髪を なびかせ、車を乗り回す彼女を不快に思う兄。そんな彼女を慕う足の不自由な姉。ちょっと風変わりな彼女に惹かれていく若いサハラウィ人の青年。やがて地元に馴染むものの、スペインでの幸せな日々が頭をよぎります。当事者であると同時に部外者でもあるファティメトゥの目にサハラウィ文化はどう映るのか、そこに彼女の未来はあるのか―。

監督:ペドロ・ペレス・ロサード
スペイン/2011年/88分/ドラマ
上映詳細についてはこちら
http://unhcr.refugeefilm.org/2013/title/2013/08/post-64.php




『異国に生きる』

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©Masaya NODA

民主化改革で近年注目を集めるミャンマー。本作は、難民として東京に暮らすミャンマー人青年の14年間の記録をまとめたドキュメンタリーです。 1991年にミャンマー軍事政権の弾圧を逃れ日本に渡ったビルマ人青年。妻との再開、念願のレストラン開店、20年以上にわたる日本での暮らしに訪れた安定。しかしその間、彼は祖国の民主化運動を諦めることはありませんでした。異国と祖国の狭間で揺れ動く一人の人間を追い続けた感動作です。 監督は「沈黙を破る」(2009年度キネマ旬報文化映画ベスト・テン第1位)、「"私"を生きる」(2012年度キネマ旬報文化映画ベスト・テン第2位)の土井敏邦監督。 10月3日は、目や耳の不自由な方々にも映画をお楽しみ頂けるようバリアフリー上映も行います。(詳しくは公式サイトをご確認ください。)

監督:土井敏邦
日本/2012年/100分/ドキュメンタリー
上映詳細についてはこちら
http://unhcr.refugeefilm.org/2013/title/2013/08/post-66.php




第8回UNHCR難民映画祭
2013年9月28日(土)~10月6日(日)

会場:イタリア文化会館、セルバンテス文化センター東京、明治大学和泉キャンパス 図書館/ホール、明治大学中野キャンパス低層棟5Fホール、青山学院アスタジオ、早稲田大学 小野記念講堂 (27号館)、グローバルフェスタ JAPAN 2013
主催:国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所
パートナー:特定非営利活動法人 国連UNHCR協会
公式サイト:http://unhcr.refugeefilm.org

<入場について>
* 入場料はいただいておりませんが、各会場にてご寄付を募っております。
* ご入場は先着順となります。(予約不可)
* 各回1時間前より会場にて入場整理券の配布を開始いたします。
* 各回20分前の開場となります。(前のプログラムが終了していない場合を除く)
* 各回完全入替制です。
※グローバルフェスタJAPAN 2013は野外会場での上映のため、ご入場に関する制限はございません。

▼第8回UNHCR難民映画祭予告編


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