骰子の眼

cinema

東京都 港区

2013-09-09 01:23


イスラエルとパレスチナの家族の子どもが取り違えられ、18歳まで気づかずにいたとしたら

昨年の東京国際映画祭でグランプリとなったロレーヌ・レヴィ監督作『もうひとりの息子』レビュアー募集
イスラエルとパレスチナの家族の子どもが取り違えられ、18歳まで気づかずにいたとしたら
映画『もうひとりの息子』より ©Rapsodie Production/ Cite Films/ France 3 Cinema/ Madeleine Films/ SoLo Films

テルアビブに暮らすフランス系イスラエル人の家族。ある日、18歳になった息子が兵役検査を受ける。そして残酷にも、その結果が証明したのは、息子が実の子ではないという信じ難い事実。18年前、湾岸戦争の混乱の中、出生時の病院で別の赤ん坊と取り違えられていたのだ。やがてその事実は相手側の家族に伝えられ、2つの家族は、それが“壁”で隔てられたイスラエルの子とパレスチナの子の取り違えだったと知る……。アイデンティティを揺さぶられ、家族とは何か、愛情とは何か、という問いに直面する2つの家族。はたして、彼らは最後にどんな選択をするのだろう。

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映画『もうひとりの息子』より ©Rapsodie Production/ Cite Films/ France 3 Cinema/ Madeleine Films/ SoLo Films

分離壁と呼ばれる高い壁に隔てられた、イスラエル人家族とヨルダン西岸地区パレスチナ人家族の取り違え子。ある意味、リスクのある題材を、繊細でリアルなディテールで誰の心にも届く感動的な家族の物語に完成させたのは、フランスの女性監督ロレーヌ・レヴィ。準備段階だけでなく、撮影中にも、イスラエル人、パレスチナ人、それぞれのスタッフの意見を日々取り入れ、フィクションとはいえ、実際におこりうるリアリティにこだわった。2012年東京国際映画祭コンペティション部門に出品された本作は、解決の糸口の見えない現実にあって、対立を乗り越え希望を見いだそうとする人間の強さを描いて感銘を与え、見事、審査員全員一致のグランプリ、さらには最優秀監督賞もダブル受賞した。

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映画『もうひとりの息子』より ©Rapsodie Production/ Cite Films/ France 3 Cinema/ Madeleine Films/ SoLo Films

出演は、2人の母に、『リード・マイ・リップス』『キングス&クイーン』などで知られ、現在フランスで最も尊敬を集める女優のひとりであるエマニュエル・ドゥヴォスと、パレスチナの巨匠マシャラーウィ監督の夫人でもある大女優アリーン・ウマリ。2人の息子には、『ぼくセザール10歳半1m39cm』など子役時代から活躍するジュール・シトリュクと最新作でフィリップ・シーモア・ホフマンと共演を果たした注目の美しき新進俳優マハディ・ザハビ。2人の父には、ルーツをユダヤ系アルジェリア人に持つ実力派俳優パスカル・エルベと、イスラエルの舞台、映画で活躍するハリファ・ナトゥール。フランス、パレスチナ、イスラエル…異なる背景を持つ俳優たちの、このうえなく繊細で献身的な演技は、誰の心にも深い感動を与える。

本作の最大の魅力は、イスラエル/パレスチナ問題にさまざまな問いを投げかけながらも、世界中のすべての人々が共感しうる感動作である点だ。わけても、その胸に抱くことができなかった息子への想いが溢れながらも、育てた子への愛情から、感情をおさえ理性的に振る舞おうとする2人の母の姿は、国も民族も宗教も関係なく、多くの人の心を揺さぶるだろう。2人の母は、育てた息子は息子であり続けること、そして自分たちの人生にはもうひとりの息子がいることを理解し、互いに手をさしのべあう。レヴィ監督は、グランプリ受賞会見で「異なる立場にいる両者が、互いに手をさしのべることを描いた希望の映画です」と語った。物語だけでなく、ひとつの国籍や民族、宗教的立場にかたよらない、あえて多国籍のスタッフ、キャストで作り上げた本作は、たとえどんなに現実が困難でも、私たちの未来に可能性を感じさせずにはいられない。(以上、プレスより引用)




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映画『もうひとりの息子』
10月19日(土)より、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開

原題:Le fils de l'Autre
英語題:The Other Son
監督・脚本:ロレーヌ・レヴィ
製作:ヴィルジニー・ラコンブ、ラファエル・ベルドゥゴ
原案:ノアム・フィトゥッシ
キャスト:エマニュエル・ドゥヴォス、パスカル・エルベ、ジュール・シトリュク、マハディ・ザハビ、アリーン・ウマリ
2012年/フランス映画/101分/フランス語、ヘブライ語、アラビア語、英語/Scope 2.35
字幕:松浦美奈
協力:ユニフランス・フィルムズ
配給:ムヴィオラ
©Rapsodie Production/ Cite Films/ France 3 Cinema/ Madeleine Films/ SoLo Films

公式サイト:http://www.moviola.jp/son/




試写会に5名様をご招待

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映画『もうひとりの息子』試写会
日時:2013年9月28日(土)15:30開場/16:00開映(上映時間105分)

場所:赤坂区民センターホール(港区赤坂4-18-13 赤坂コミュニティプラザ3階) [地図を表示]
(本試写会は、第26回東京国際映画祭プレイベント上映会の一貫として行われます)
主催:KISS ポート財団・東京国際映画祭


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▼映画『もうひとりの息子』予告編


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