骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2013-07-04 22:58


「クラブNOONの摘発に対し、なにかしなきゃいけないという使命感に駆られたんです」

7/5風営法を考えるイベント開催、『SAVE THE CLUB NOON』宮本杜朗監督と写真家の佐伯慎亮氏インタビュー
「クラブNOONの摘発に対し、なにかしなきゃいけないという使命感に駆られたんです」
映画『SAVE THE CLUB NOON』の宮本杜朗監督(右)と写真家の佐伯慎亮氏(左)

六本木のクラブ摘発や、Let's DANCE署名推進委員会による法改正に向けての活動など、「風営法」を巡る議論が高まっている現在。風営法が取り締まろうとしているのは、いったい何なのか?その問題点とはなにかを考えるイベントが、映画『SAVE THE CLUB NOON』の企画により、7月5日渋谷アップリンクで開催される。風営法問題に精通する齋藤貴弘弁護士、そしてAFRA氏、太華氏のミュージシャンをゲストに迎え、風営法について一緒に考える。クラブのみならず、すべての音楽好きのための"一夜漬け"勉強会といえる今回のイベント開催にあたり、映画『SAVE THE CLUB NOON』の宮本杜朗監督と、今作の企画者である写真家の佐伯慎亮氏にスカイプで話を聞いた。

映画『SAVE THE CLUB NOON』は、大阪の老舗クラブ「NOON」が2012年4月に風営法違反により摘発された事を受けて起こったイベント『SAVE THE NOON』のライブと出演ミュージシャンらへのインタビューを記録し、表現者の視点から風営法について語ったドキュメンタリー。渋谷アップリンクでの劇場公開が決定しており、現在、7月14日まで、作品内の楽曲に対する著作権使用料、出版権使用料の支払いを含む資金をクラウドファンディングで募集している。




分かりやすく伝えることに徹した

──今回は、ドキュメンタリー映画『SAVE THE CLUB NOON』制作のきっかけを教えてください。

佐伯:カメラマンという職業柄、雑誌でクラブ取材の仕事をレギュラーでやっていたのもあって、2010年頃から関西でクラブの摘発がたくさん起こっていることを、よく聞いていたんです。NOONが摘発されたときに、それまでどこかまだ他人事だったのが、初めて「大変だな」と身に迫ったきた。僕はどっちかというとライヴハウス側の人間で、最近はクラブにはそんなに行けてはなかったのですが、初めて行ったクラブがNOONの前身であるDAWNというのもあったし、僕もライブで出たことあるし、友人もよく出演していたので、定期的に行っていた場所だったんです。カジカジというファッション誌の若い子が、摘発後のNOONのオーナーの方にインタビューする企画をやりたいということで、そのカメラマンにたまたま呼ばれたんです。その現場でオーナーの金光さんのインタビューを聞いていて、風営法でダンスさせる営業が規制されてこういうことになってるということを知ったんです。そして、来月行うイベントを映像作品として撮ってくれる映像作家はいないだろうか、と金光さんが言われた。その時はカメラマンとして何か手伝いができたらいいなと思って、映像作家を探したんです。なかなか見つからなかったところ、いちばん近しい監督、宮本くんがわざわざ予定をずらしてくれて、実現に至りました。

映画『SAVE THE CLUB NOON』宮本杜朗監督と写真家の佐伯慎亮氏が語る
映画『SAVE THE CLUB NOON』より

──記録として残さなくてはいけないという気持ちがあった?

佐伯:そうですね、僕は以前『あがた森魚ややデラックス』であがたさんに4ヵ月間密着してカメラを回していたんです。それこそ死ぬような思いをして、怒られながらやらしてもらって、その経験があったので「例えばドキュメンタリー映画作品もできると思うねん」と金光さんが言ったときに、経験者としてまずドキッとした。なにかしなきゃいけないという使命感に駆られたんですよ。でも僕だけじゃどうしようもできないし、どうしようと思ったんです。そこで、『ややデラックス』のときもめちゃくちゃ相談していた宮本くんに話をしたんです。

映画『SAVE THE CLUB NOON』宮本杜朗監督と写真家の佐伯慎亮氏が語る
映画『SAVE THE CLUB NOON』より

── これまでの宮本さんの作品も音楽というのは欠かせない要素でしたが、今回は純粋な音楽映像作品として、とてもクオリティの高いと感じました。ライヴの現場、クラブの現場を体験したくなる、音楽の楽しさをあらためて噛み締めることができる内容でした。

宮本:そう言ってもらえると嬉しいです。クラブやライブハウスなど、音楽の現場に行かない人に行ってみたい気持ちになってもらえたらええな、とも思っていましたから。音楽の使い方としては、音楽のあるところに音楽があって、インタビューのところは声だけ、ほんま映っている音だけでいいと思っていたので、すごいストレートやと思います。いじくって提出しようというのがまったくなかったので、あるものをスッと出すことだけ気をつけていました。

映画『SAVE THE CLUB NOON』宮本杜朗監督と写真家の佐伯慎亮氏が語る
映画『SAVE THE CLUB NOON』より

──自分で物語を紡いでいくのとは違いますか?

宮本:映画の場合は脚本を書いてそういう状況をセッティングしてって、そこまでに時間もお金もかかります。でも『SAVE THE CLUB NOON』の場合はライブもインタビューさせてもらう出演者の方々も、会場のオンジェムに集まっているので、それをカメラで撮って出すだけというか。といっても膨大なインタビューになって、そこをどうチョイスするかでいかようにもできると思うんですけれど、できるだけありのままを作品にしようと思いました。

佐伯:インタビューで撮られた内容を、順序だててより分かりやすく整理するという作業でした。100パーセントドキュメンタリー映画って、不可能だと思うんですけど、それでも、分かりやすく伝えることに徹したことを宮本監督はやってくれました。

映画『SAVE THE CLUB NOON』宮本杜朗監督と写真家の佐伯慎亮氏が語る
映画『SAVE THE CLUB NOON』より

──ドキュメンタリーでも事前に構成を考えたうえで撮る方と、そうでない方がいらっしゃると思うのですが、今回に関しては?

宮本:インタビューで構成するというのはこの映画を撮ることになってすぐ決めました。そういう外枠的な構成はありましたけど、内容的な構成は全くありませんでした。落とし所も決めてませんでしたし。僕自身が別の作品『太秦ヤコペッティ』で忙しかったというのは関係なく、今作に関しては、僕の意見というのはいらなかった。だから、最終的にこういう落とし所に持って行こうとか、そういうことありきで撮ったんじゃないんです。ブルーハーブのボスさんの話に、前にどんな話があっても最後に持って来れる一節があって、それを聞いた時は「最後はこれや!」となりました。その一節はこの映画のハイライトの一つになっていると思います。

映画『SAVE THE CLUB NOON』宮本杜朗監督と写真家の佐伯慎亮氏が語る
映画『SAVE THE CLUB NOON』より
(取材・文:駒井憲嗣)



宮本杜朗 プロフィール

1981年生まれ。独学で映画を作り始め、05年に初長編『吉村佳雄WALKING、SLEEPING』が中之島映画祭グランプリ受賞、07年『フリフリ坊主』が第3回CO2企画制作総合プロデューサー賞を受賞し、OSKARIADA、ハンブルグ日本映画祭などで上映される。09年に『尻舟』を発表。高崎映画祭で上映され、劇場公開を果たす。13年春より、シマフィルムの京都連続第3弾作品『太秦ヤコペッティ』が劇場公開中。同作品は国外最大の日本映画祭Nippon Connectionでの上映も決定している。 オシリペンペンズ、DODDODO、似非浪漫、オニ、YDESTROYDE、トンチ、WATER FAIのPVも制作。

佐伯慎亮 プロフィール

1979年生まれ。写真家。2001年キヤノン写真新世紀優秀賞。被写体を特には限定せず、日常のあらゆる場面で生と死と笑いを収集する写真作家として活動。韓国やリトアニアなど、国内外での展覧会多数。大阪を拠点に雑誌、広告等で活躍している。2009年、初写真集「挨拶」(赤々舎)刊行。映画『あがた森魚ややデラックス』(2009年 トランスフォーマー)では撮影を担当した。その他、音楽活動なども行っている。2013年には2冊目の写真集を計画中。




映画『SAVE THE CLUB NOON』

インタビュー・ライブ出演者
(#はライブ映像のみ /編集により変更の可能性あり) 赤犬/ANI & ロボ宙(DONUTS DISCO DELUX)/ALTZ #/いとうせいこう ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB) /OORUTAICHI 沖野修也 & 沖野好洋(Kyoto JAZZ Massive)/オシリペンペンズ#/KA4U(MIDI_sai)/Calm KIHIRA NAOKI(SOCIAL INFECTION)/久保田コージ#/THE CREAMS サイトウ"JxJx"ジュン(YOUR SONG IS GOOD)/須永辰緒/太華&浦友和 CHIEKO BEAUTY/中納良恵(EGO-WRAPPIN')/中村一元(PUBLIC CAFE)/七尾旅人 ハナレグミ/PIKA☆(ex.あふりらんぽ)/HIDADDY(韻踏合組合) BIKKE(TOKYO No.1 SOUL SET)/BLIZ AND SQUASH BRASS BAND# 山本アキヲ & 高山純(AUTORA) 金光正年(NOON代表) 山本陽平(NOONマネージャー) and more!!

監督・編集:宮本杜朗
企画:佐伯慎亮 / 山本陽平
撮影:宮本杜朗 / 佐伯慎亮 / 東井剛生 / 高木風太 / 高木陽春 /倉科直弘 / 平賀敬人 / 松本平太 / 牧野裕也
録音・整音:松野泉
インタビュー:佐伯慎亮
スチール:名越啓介
ラッシュ編集:鈴木大志
ロゴデザイン:境隆太
WEB制作:有佐祐樹

http://savetheclubnoon.com/
http://motion-gallery.net/projects/savetheclubnoon




緊急開催!映画『SAVE THE CLUB NOON』presents「齋藤弁護士に聞く!風営法って何だろう?」(出演:齋藤貴弘、AFRA、太華)

2013年7月5日(金)
19:00開場/19:30開演料金¥1,000(1ドリンク付き)
会場:渋谷UPLINK FACTORY
トークゲスト:齋藤貴弘(弁護士)、AFRA、太華
聞き手:宮本杜朗(映画監督/『太秦ヤコペッティ』・『SAVE THE CLUB NOON』など)
佐伯慎亮(写真家/『SAVE THE CLUB NOON』企画)

ご予約は下記より
http://www.uplink.co.jp/event/2013/13683

キーワード:

SAVETHECLUBNOON / 宮本杜朗 / 佐伯慎亮


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