骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2013-06-03 19:31


どういう未来を選ぶか、持続可能な生活でひとりひとりが少しでも行動に起こすことが必要

核エネルギーと遺伝子組み換えの共通点を考えるドキュメンタリー『世界が食べられなくなる日』クロスレビュー
どういう未来を選ぶか、持続可能な生活でひとりひとりが少しでも行動に起こすことが必要
映画『世界が食べられなくなる日』より

『未来の食卓』でフランスの村のオーガニック化への取り組みを捉えジャン=ポール・ジョー監督は、前作『セヴァンの地球のなおし方』制作の際、ジル=エリック・セラリーニ教授による画期的な実験の情報を入手する。アメリカのアグロバイオ企業・モンサント社による農薬を散布して栽培した遺伝子組み換えトウモロコシを2年間に渡り与えたこの実験を主題にする予定だったものの、2011年3月11日の東日本大震災により、否応なく原子力の問題を作品に組み込むことになった。遺伝子組み換え技術と核エネルギーの共通点を解説しながら、カメラは311後の福島、そして自然と未来の世代を尊重し行われる持続可能な農業システム・アグロエコロジーを実践するセネガルへと向かう。

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映画『世界が食べられなくなる日』より

被害を受けた福島の人々の言葉の重さや、フランスの港湾労働者たちに広がる遺伝子組も変え作物や原発により汚染された資材によるものとみられるガン被害の深刻さなどに、隠れてしまいがちだが、安全な世界を未来の世代に残すための策として、セネガルのカイダラ・アグロエコロジー農業学校を中心に、現地で取り組まれいる農業を紹介していることに注目してほしい。レタスとタマネギを一緒に畑に植えることで、タマネギが自然の防虫剤になって虫がつかない、など、小規模でありながら自然や環境と調和したやり方こそが、世界に拡大し続けている遺伝子組み換え作物を使わず、食の権利を守ったうえで、飢餓と貧困を解決するための食べものを生み出すことができることを示唆している。TPP参加により食の安全が脅かされることが問題となっている今こそ、観てもらいたい作品だ。

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映画『世界が食べられなくなる日』より



映画『世界が食べられなくなる日』
6月8日(土)より渋谷アップリンクほかにて公開

監督:ジャン=ポール・ジョー
プロデューサー:ベアトリス・カミュラ・ジョー
ナレーション:フィリップ・トレトン
パーカッション:ドゥドゥ・ニジャエ・ローズ
原題:Tous Cobayes?
2012年/フランス/118分
配給:アップリンク
協力:福島農民連、農民運動全国連合会、大地を守る会、生活クラブ生協、ビオ・マルシェの宅配、食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク、パルシステム生活協同組合連合会、ナチュラル・ハーモニー

公式サイト:http://www.uplink.co.jp/sekatabe/
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『世界が食べられなくなる日』公開記念「食べもの映画祭」
6月8日(土)~6月28日(金)
渋谷アップリンク

『モンサントの不自然な食べもの』(2008年/フランス、カナダ、ドイツ/108分)
『パーシー・シュマイザー モンサントとたたかう』(2009年/ドイツ/65分)
『Life running out of Control 暴走する生命』(2004年/ドイツ/60分)
『セヴァンの地球のなおし方』(2010年/フランス/115分)
『未来の食卓』(2008年/フランス/112分)
『ブルー・ゴールド 狙われた水の真実』(2008年/アメリカ/90分)
『フード・インク』(2009年/アメリカ/94分)
『ありあまるごちそう』(2005年/オーストラリア/96分)
『PLANEAT』(2010/イギリス/72分)
『よみがえりのレシピ』(2011年/日本/95分)
『ファン・デグォンのLife is Peace』(2013年/日本/75分)

http://www.uplink.co.jp/movie/2013/12323

▼『世界が食べられなくなる日』予告編



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