骰子の眼

cinema

2012-10-01 21:06


ロウ・イエ監督新作、中国公開目前に検閲で大揺れ

中国版ツイッター上で監督クレジットを外すと宣言
ロウ・イエ監督新作、中国公開目前に検閲で大揺れ
ロウ・イエ監督『Mystery(原題)』より

2006年に『天安門、恋人たち』で中国当局から5年間の表現活動禁止処分を受けた後、2011年に中国に戻り、新作『Mystery(原題)』を完成させたロウ・イエ監督。中国大手BBSサイトに投稿された夫の浮気に苦しむ女性の話をヒントに脚本が作られた本作は、『天安門、恋人たち』のハオ・レイと、『スプリング・フィーバー』(2010年)のチン・ハオが主演で、今年5月のカンヌ国際映画祭“ある視点部門” オープニング作品としても上映された。 10月19日から中国本土で劇場公開される予定だが、ロウ・イエ監督は中国当局の検閲を不服として、自らの名前を監督クレジットから外して公開すると宣言している。

Director02
中国大手ポータルサイト新浪(SINA.COM)で、この件についてインタビューを受けるロウ・イエ監督 ©新浪公司(http://ent.sina.com.cn/s/2012-09-26/ba3752543.shtml)

『Mystery』は『天安門、恋人たち』のような政治的な含みはないが、レイティングシステムのない中国では、表向きには“子供を有害映像から守る”という理由で、公開される映画すべてに検閲が入る。

ロウ・イエ監督はカンヌ映画祭出品許可を得るために、SARFT(中国国家広播電影電視総局)の指示に応じ、セックスシーンとホームレスの殺害シーンを減らした。だが、劇場公開目前の9月になり、さらに暴力シーンの削除命令が出たことを受け、9月8日から9月26日にかけて中国版ツイッター“シナウェイボー(新浪微博)”上で、当局側との交渉過程を逐一明らかにしながら、「不当な検閲は、われわれ全員の責任でもある」「私は当局との対話を望む。対話は対立ではない。対話には敵はなく、勝者も敗者もない」などとツイートした。

sub02
『Mystery』より

そして9月25日に当局との間で折り合いがつき、予定どおり公開する運びとなったが、この劇場公開版では自分の名前をクレジットから外すことを決めた。一連のツイートに大きな注目が集まり、多くの映画監督やアーティストをはじめ、一般ユーザからもロウ・イエ監督支持の声が上がっている。

◆9月27日付けニュースサイト「The Leaf Nation」の記事より
http://tealeafnation.com/2012/09/director-reveals-mystery-of-chinas-film-censorship-system-on-weibo/

なお、『Mystery』はアップリンク配給で2013年日本公開予定。

sub01
『Mystery』より



▼『Mystery』中国語版予告編


レビュー(0)


コメント(0)