映画『ソハの地下水道』より
第二次世界大戦中のナチスによるホロコーストの悲劇は、後世に警鐘を鳴らす戦争犯罪として数多くの映画のモチーフになってきた。第84回アカデミー賞で最優秀外国語映画賞にノミネートされた『ソハの地下水道』は、すでに描き尽くされたと思われたこの題材に新しい視点にもたらし、その痛ましい時代を生きた人々の恐怖、葛藤、忍耐、良心を、驚くべき迫力で追求したポーランド映画である。
とはいえ主人公は迫害の標的にされたユダヤ人ではなく、スティーヴン・スピルバーグ監督作品『シンドラーのリスト』で広く認知されたオスカー・シンドラーや、“ 日本のシンドラー”杉原千畝といったユダヤ人救済の歴史的英雄でもない。この映画が光をあてるレオポルド・ソハという実在の人物は、下水修理に携わる貧しい労働者であり、コソ泥で詐欺師でもあった平凡な中年男だ。
ずる賢いうえに風貌も冴えず、およそ映画の主人公には似つかわしくないこの男は、ホロコーストの嵐が吹き荒れるナチス占領下のポーランドで、いったい何を“しでかした”のか。そんな意外な着眼点から生まれた本作は、圧倒的な緊迫感で観る者を釘づけにし、幾多の衝撃の果ての奇跡的な感動へと誘う戦争実話なのだ。
映画『ソハの地下水道』より
新人脚本家のデヴィッド・F・シャムーンがカナダの新聞記事に目を留めたことから企画がスタートした『ソハの地下水道』は、8年に及ぶ製作期間を経て完成に至った。主人公のソハは妻子思いのカトリック教徒だが、過酷な戦時下を生き抜くためなら犯罪にも手を染める人物である。当初はユダヤ人をただの金づると見なしていた男が、なぜ処刑されかねない危険を冒してまで多くの人命をナチスの魔手から救ったのか。
ソハとユダヤ人グループの神様の悪戯のような出会いから始まる物語は、さまざまな矛盾や欠陥を抱えた主人公の数奇な心の旅を映し出す。そこには卑しくて不道徳な振る舞いも犯す人間が、死と背中合わせの悪夢の中でぎこちなくも勇気を奮い起こし、成長を遂げることができるという真実の可能性が力強く刻み込まれている。
映画『ソハの地下水道』より
監督は現代のポーランドを代表する実力派で、レオナルド・ディカプリオ主演の『太陽と月に背いて』(95)や『敬愛なるベートーヴェン』(06)などの世界的反響を呼んだ秀作で知られるアグニェシュカ・ホランド。地下水道の暗闇のシーンが多くを占めるこの困難なプロジェクトに挑み、極限状況下の家族の情愛、恋愛、出産、強制収容所への潜入、死といったドラマティックな要素の尽きない物語を、迫真のサスペンスをこめて描ききった。(以上、プレスより引用)
映画『ソハの地下水道』
9月22日(土)、TOHOシネマズ シャンテ他にて全国順次ロードショー
1943年、ポーランドの街ルヴフ(現在のウクライナ領リヴィウ)。下水修理と空き巣稼業で妻子を養っているソハが、強制収容所行きを逃れようと地下水道に繋がる穴を掘っているユダヤ人グループを発見した。ドイツ軍に売り渡せば報奨金を得られるが、狡猾なソハはユダヤ人たちを地下の隠れ場所に匿ってやり、その見返りの金を日々の生活の糧にしようと思いつく。ソハは複雑怪奇な迷路のごとき地下水道の構造を、この街で最も知り尽くした男なのだ。
脚本:デヴィッド・F・シャムーン
原作:ロバート・マーシャル 『ソハの地下水道』(集英社文庫)
プロデューサー:シュテファン・ロイター、パトリック・ニッペル、マルク=ダニエル・ディシャン、レアンダー・カレル、ユリウシュ・マフルスキ、エリック・ヨーダン、ポール・シュテファン
撮影:ヨランタ・ディレフスカ
美術:アーウィン・プリブ
編集:ミハウ・チャルネツキ
音楽:アントニ・コマサ=ワザルキェヴィチ
出演:ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ、ベンノ・フユルマン、アグニェシュカ・グロホフスカ、マリア・シュラーダー、ヘルバート・クナウプ、キンガ・プライス
後援:ポーランド広報文化センター
配給:アルバトロス・フィルム、クロックワークス
2011年/ドイツ・ポーランド合作/ポーランド、ウクライナ、イディッシュ、ドイツ語/ビスタサイズ/デジタル5.1ch/145分
公式サイト:http://www.sohachika.com
試写会に5名様をご招待
公開に先立ち、本作品の試写会を観て400~600字程度のレビューを書いて頂ける方、5名様をご招待します。応募方法は下記から。ご応募の際、webDICEのアカウントをお持ちでない方は新規登録が必要です。(※当選された場合に必ず試写会に参加でき、レビューを書いてくださる方の応募をお待ちしています)
『ソハの地下水道』5名様ご招待
日時:2012年8月7日(火)12:00開場/12:30開演
会場:京橋テアトル試写室(中央区京橋1-6-13 アサコ京橋ビルB1F)[銀座線京橋駅下車6番出口][地図を表示]
【応募方法】
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■応募締切:2012年7月31日(火)23:00
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▼『ソハの地下水道』予告編