「大友克洋GENGA展」より (c) MASHROOM 2012 (c) Kosuke Kawamura 2012
あなたは特殊デザイナー河村康輔をご存知だろうか?名前を知らなくても「大友克洋GENGA展」メインビジュアルや根本敬と実験アート漫画「ソレイユ・ディシプリン」の共作、大谷能生「JAZZ ABSTRACTIONS」のCDジャケットなどで彼の作品を見たことがある人も多いはず。
このデジタル時代に手切りのコラージュを駆使する超アナログな方法で作品を制作する河村康輔の展覧会が5月23日(水)より、渋谷アップリンク・ギャラリーにて開催される。本展覧会では3月に発売された河村の作品集『2ND』からの作品をはじめ、「大友克洋GENGA展」のメインビジュアルに使われたコラージュ作品など彼の代表作がお目見え。さらに展覧会初日に行われる記念イベント『河村康輔の時代Vol.1』では、デザイナーの伊藤桂司とコラージュバトルが実現!完成したコラージュ作品は、他の作品とともにギャラリーに展示されるのでこちらも要注目!
あのセンスはどこから来るのか? 作品はどうやって作っているのか?web DICE編集部では展覧会開始直前の河村康輔インタビューを行った。
アナログなコラージュの即興性に惹かれる
──今回の展覧会に発表する作品はどのように作られましたか?
素材を雑誌や原画からコピーし、全てカッターと糊だけ使い、アナログな手法で作っています。
河村康輔
──アナログな手法でコラージュされていますが、現在のような手法を編み出した経緯を教えて下さい。
デジタルだととにかく細かく綺麗に、ある程度何でも作れるというとこに魅力を感じ、元々(今もですが)パソコンを使ってのデザインやコラージュ作品を作っていたのですが、何年もそれをやっていると、今度は綺麗なものを(整ったもの)に飽きが出て来て、自然とアナログで作る方に移行していき、デジタルでやったくらい複雑で細かい作業をあえてアナログでやってみたらどうだろう?って所から始まりました。後、デジタルはいくらでも修正が出来る便利さがあるのですが、それとは逆に緊張感が全く無い状態で物を作っていて、アナログだと一発勝負的なところがあるので常に緊張感を持って作業出来るところ、それとデジタルより機械的なタイムラグが無くダイレクトに作品に落とし込めるのと、ライブでやっているようにその場で出来る即興性に惹かれてアナログにシフトしました。
「大友克洋GENGA展」より (c) MASHROOM 2012 (c) Kosuke Kawamura 2012
──大友克洋さん、根本敬さんの作品など、自分以外の作家の作品をコラージュされていますが、コラージュする際に心がけている事はありますか?
もちろん、元々ファンだったり凄く大きなリスペクトはあるのですが、逆にあまり深く掘らない方にしています。あまり掘り過ぎて、情報を詰め込み過ぎると、好きという感情が入り過ぎ、そこに近いところに行き過ぎて自分の場合は距離が置けなくなり、素材として使わせてもらうベースの作家さんの色の方に引っ張られてしまうので、あえて、作る時はその作品に極力触れないようにしてます。
「大友克洋GENGA展」より (c) MASHROOM 2012 (c) Kosuke Kawamura 2012
印刷だけではすべての魅力を伝えきれない河村康輔のコラージュ作品。ぜひ、この機会に肉眼で観てほしい。作品からにじみ出る試行錯誤、その過程があなたの胸を打つだろう。
(取材・文:吉田アミ)
河村康輔の「時代」Vol.1
2012年5月23日(水)
渋谷アップリンク・ファクトリー
19:00開場/19:30開演
出演:河村康輔(グラフィック・ド・ザイナー)
ゲスト:伊藤桂司(アートディレクター、UFG Inc.代表)
生徒:吉田アミ(前衛家)
料金:予約/当日1,800円、UPLINK会員1,500円(ともに1ドリンク別)
ご予約は下記より
http://www.uplink.co.jp/factory/log/004441.php
河村康輔『2ND』展
5月23日(水)~6月6日(水)
渋谷アップリンク・ギャラリー
12:00~22:00
入場無料
http://www.uplink.co.jp/gallery/log/004446.php
河村康輔作品集『2ND(ツー・エヌ・ディー)』
発売中
ISBN:978-4990610821
価格:2,625円(税込)
判型:302mm×218mm
ERECT Lab.
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