映画『ヴィダル・サスーン』より
2012年5月9日、84歳で亡くなったヴィダル・サスーン。日本ではシャンプーのブランド名として知られる彼の美容師として、そしてビジネスマンとしての歩みを、本人のインタビューそして関係者の証言により紐解いていくのがこの映画『ヴィダル・サスーン』だ。
映画『ヴィダル・サスーン』より
今作のアメリカ公開時「TIME OUT NEW YORK」誌では、「ヴィダル・サスーンほど業界そのものを変革した人物はいないだろう。車業界を変えたのはヘンリー・フォード一人ではない。テクノロジーを革新したのはスティーヴ・ジョブズ一人ではない。だがヴィダルは一人で現代美容界のあらゆる側面を変えた」と評された彼の偉業を、過酷な生い立ちからヘアスタイリストとして名を成し、自らのブランドを世界に拡大してくために力を注いでいくまでの姿を通し、カラフルな映像とスタイリッシュな音楽を用い描いていく。
映画『ヴィダル・サスーン』より
そのなかで彼はいくつもの決断を下していく。母親の助言に従い美容師を目指し直接店の門を叩きに向かう決断、女性の美をどのように輝かせるかを研究し、それまでの美容の方法論を切り捨て、まったく新しい価値観を導入した決断、そして健全な精神は健全な身体に宿る、とばかりエクササイズを怠らなかった彼が番組のパーソナリティとしてテレビの人気者に進出していく決断、巨大化していく企業を運営し続けていくべく、一部の部門を他企業に売却する決断。うまくいった決断も、そうではなかった決断についても、スクリーンのなかのサスーンは決して悲観的になることなく饒舌に語り続ける。ジェントルな語り口そのものから、なぜ彼がここまでの成功を収めることができたのかを感じ取ることができる。たゆまぬ努力、相手を思いやる気持ち、礼儀、家族への愛情。そうしたベーシックな部分を重んじた。彼の生き方は、今こそ見直されるべきではないかと思う。
映画『ヴィダル・サスーン』より
『ヴィダル・サスーン』
2012年5月26日(土)より渋谷アップリンク、銀座テアトルシネマ、
新宿武蔵野館ほか、全国順次公開
“サスーン・カット”と言われる斬新なカットと確かな技術で、1960年代スウィンギング・ロンドンのファッションシーンを牽引し、現在の美容界に多大なる影響を及ぼしたヘアスタイリスト、ヴィダル・サスーンのドキュメンタリー。
監督:クレイグ・ティパー
プロデューサー:マイケル・ゴードン、ジャッキー・ギルバート・バウアー
アートディレクター:スティーヴ・ハイエット
脚本:へザー・ゴードン
キャスト:ヴィダル・サスーン、マリー・クヮント、グレイス・コディントン他
(アメリカ/2010年/英語/91分)
◆映画公式サイト:http://www.uplink.co.jp/sassoon/
◆映画公式Facebook:http://www.facebook.com/SASSOONmovieJP
◆映画公式Twitter:https://twitter.com/#!/SASSOONmovieJP/
▼『ヴィダル・サスーン』予告編