「無名監督による、まだ無名の映画たち」だなんて、とんでもない。今月19日から、渋谷ユーロスペースで、若手映画監督10人による15分の短編を一挙公開する「No Name Films」(以下NNF)には、日本映画界の将来を担う若手映画監督の作品が一堂に会しているのだから。昨年『くらげくん』が国内外の映画祭で13冠を総なめし、今や短編映画を撮らせたらこの人と名高い片岡翔監督。現役大学生でありながら、『ふたりのウーテル』がカンヌ国際映画祭の短編部門に、日本人監督として46年ぶりの入賞という快挙を成し遂げた田崎恵美監督。そのほか、先月釜山国際映画祭でアジア短編映画賞Sonje賞を受賞した吉野耕平監督の『日曜大工のすすめ』や、昨年バンクーバー国際映画祭アジア新人監督賞受賞で脚光を浴びた廣原暁監督、そして日本映画監督の登竜門ぴあフィルムフェスティバルでグランプリを受賞した山川公平監督ら、昨年から今年にかけて、国内外で話題を呼んだ新進気鋭の若手映画監督による作品が出揃っている。このラインアップの豪華さは見逃せない。
“名作なのに、まだ一般劇場公開されていない映像作品”を紹介する本連載「オールモストフェイマス ―未公開映画探訪」としては総力を挙げて応援すべく、今回は『NNF特別篇』として、渋谷アップリンクの会議室にて、緊急座談会を行った。忙しいスケジュールの合間を縫って来てくれたのは、片岡翔監督、田崎恵美監督、そして木村有理子監督、吉野耕平監督の4名。国内外で高い評価を受けている彼らが、あえて“無名宣言”する現状とは一体何なのか?経産省によるコンテンツ産業の人材育成プロジェクトとは?参加した監督の生の声をお聞きください。
「無名」である理由
──まず「ノー・ネーム・フィルムズ」というタイトルですが、監督10名のラインアップを見ると、全然”無名”じゃないじゃないですか!田崎さんなんて、一躍時の人でしたし。
片岡翔&田崎恵美(以下、片岡、田崎):いやいやいやいやいや(苦笑)。
片岡:全然ノー・ネームですよ。もう、狭いところでしか知られていないので。
上段左から右:吉野耕平、木村有理子、片岡翔、田崎恵美監督
──田崎さんの作品がカンヌで入賞したニュースは大きく報道されましたが、実際に私たちはその作品をどこで観られるの?と言うと、一般の観客には鑑賞のチャンスがほとんどありませんでした。
田崎:私の作品も国内の映画祭に招致されて、4回くらいは上映されていますが、一般公開はされていません。それに、自主映画の世界って狭いんです。映画祭とかこういう上映会とかに行っても、決まった人たちが来ていて、悪い意味でも良い意味でも、ある程度固まってしまう現状がある。
片岡:結局自主映画の人たちって、上映会とか開いても身内や関係者ばっかりになってしまう。そうじゃなくて、本当に普通の、一般の映画好きの人たちに観てほしいって、ずっと思っていて。それを目指すには、このユーロスペースという場所は、すごくいい場所だなと。映画通好みの作品を多く上映されていますし。一般のお客さんに観てほしいというのが、監督全員の願いだと思います。
──では、まだ自分たちが「無名」である場所にいる人たちを引き込みたいと言う願いを込めて、その新しい観客にとっての「ノー・ネーム・フィルムズ」という意味でしょうか。
田崎:そうですね。いままでとは違う層の人たちに届けば嬉しいです。
片岡:普通に映画通、映画好きの人でも、自主映画まではあまり観ないと思うんですよ。そういう人たちに届けばいいなと思いますね。
田崎恵美監督作『ふたつのウーテル』より
「若手映像クリエーター育成プロジェクト」とは
──今回の企画の流れを教えてください。
片岡:昨年ユニジャパンという財団法人の「若手映像クリエーター育成プロジェクト」という企画で、10名の監督が選ばれました。そして国からお金が出て、それぞれ15分の短編を撮ることができた。出来上がった作品は、海外の映画祭に出品してもらったり、国内では内々の上映会もありました。僕はいつも1本の短編を10万円くらいで撮っているので、200万円も予算が出たのは嬉しかった。でも“撮っておしまい”になっていて、一般には公開されず、お蔵入りになっていた。でもやっぱり、映画は見せてナンボなんです。そこで伊月さん(NNFの主宰者で参加監督の一人である伊月肇監督)が率先して動いてくださって、ユーロスペースで上映できるかもしれないという流れを作ってくれたことがきっかけです。
ここで、木村監督が到着。
──では、監督である皆さん自身が動いたことで、実現した上映会だったのですね。今の時代、監督には創作能力以上に、自己プロデュース能力やマネージメント力が問われているのでしょうか。
片岡:そうだと思います。いや、でも本当は、自分ではしたくないですよ。だって、営業とかちゃんと出来るくらいなら、サラリーマンになっていたのに…。自分で自分の作品をアピールしたりするのが、すごく苦手で。
田崎:私も全然そういう能力がない……。
木村有理子(以下、木村):「自分の中に、一人営業マンを一人立てろ」って、人にお説教されたことがある。自分の中で、一度作り手の自分を捨てて、まったく別人格の営業マンを立てなさいって。でも、なかなかできないですよね。
──そういえば、某映画祭ディレクターが、「木村さんは、海外の映画祭もちゃんと来て、どんどん持ち込み営業してガッツがある」って誉めていました。
木村:でも海外の映画祭って、新人の映画監督の多くが、そういう活動をしてるんですよね。そうじゃなかった?
田崎:私もカンヌに行った時、他の映画監督はみんな、自分の作品のちらしなど持って来ていて、監督自ら壁に張るんですよね。壁が争奪戦になっていて、すごかった(笑)。
木村:どんなパーティにも顔を出して、どこに行ってもあいつがいるよって思われるくらいアピールするのがあたり前というか。
──ユニジャパンの「若手映像クリエーター育成プロジェクト」に参加して、いかがでしたか。
木村:お金をいただいて作っているのに、内容に関しては何も言われないというのは、初めてです。普通は、この役者さんでという企画が先にあったり、プロデューサーやクライアントの意見もあります。映画学校のお金で撮るときにも、先生からの意見はある。もちろん、それが当然だと思うんです。だから、何にも言われないってことが、すごいなあって。
田崎:私は逆で、今回の企画で、初めて制約がある映画を撮りました。ずっと完全に学生の自主映画のスタイルでやってきたので、基本的に撮りたい人が集まって、お金は撮りたい人が出す。撮った後も、カンパケもなく、何度でも直せる。悪く言えば終わりがない。だから、予算も、納期も、尺も、海外の映画祭に出品することもあらかじめ決まっている映画を撮るというのは、初めてだったので、すごく勉強になりました。
片岡:僕は内容的にも複雑で重いテーマを扱っているので、これを15分で撮るというのが、今回僕にとっての挑戦でしたね。自主映画だと、尺も自分の好きなように設定できるので、制約があって作るのはプロになる上で必要だと思うので。あとMAっていう音の編集をスタジオで一括してやってくれた。参加した監督全員、ほとんどそんな経験がなかったので、すごく勉強になりました。効果音作ってくれる方とか、しっかりプロの方がついてくれて。それから、プロデューサー育成という目的もあったようなので、管理やフォーマットの指導はあったようです。
木村有理子監督作『わたしたちがうたうとき』より
──制作スタッフは?
片岡:僕はずっと同じスタッフで撮っています。
田崎:私も同じです。大学の映画研究会のスタッフなので、年齢は下が18歳のスタッフもいますね。でも今回録音だけ一人プロの方にお願いしました。スタッフもプロデューサーも監督が選んでよかったので、すごく自由度がありました。
木村:本当に“自主映画”にお金を出してくれているという感じ。監督とプロデューサーに予算を渡してくれている。
──素晴らしい企画だったようですが、あえて問題点を挙げるとすれば?
片岡:うーん、べつに問題点というものはないです。いい経験ばかりさせて頂きました。ただ欲を言えば、製作した作品を上映するまでプロデュースして頂けたら、作り手としては、より嬉しいですかね。(一同頷く)
木村:そこが一番難しい。
片岡:ショートフィルムだと、一般の劇場を借りるのも難しいです。
──『映画は観客に観てもらって、初めて完成する』ということですね。
田崎:(日本の映画配給会社も)ピクサーみたいに、長編映画の前に、必ず短編映画をつけて、新人育成と作品公開の場を作ってほしいです。普通に、いま一般の劇場で公開している商業映画の前に、前座で、新人監督の短編を流すとかしてほしいなあ。
木村:昔は映画って、2本立てが普通だったんだよね。だから、短編が1本付いていたっていいんじゃない?例えば、お笑いの前座みたいに(笑)新人の映画監督も、前座枠でどんどん名を上げて行けるシステムがあれば。
人と資金集めという課題、
一般公開へのハードル
ここで吉野監督が到着。
──釜山国際映画祭、おめでとうございます。受賞作『日曜大工のすすめ』が国内で上映されるのは、今回がプレミア上映と言っていいのでしょうか?
吉野耕平(以下、吉野):ありがとうございます。そうですね、今回で初めてになります。僕は大学時代から、CGのアニメーターとディレクターという両方をやっています。昨年まで広告代理店のサラリーマンで、ずっと映画を作りたいと思っていたけど、その機会もお金もなかった。『日曜大工のすすめ』は、会社員時代に、今回プロジェクトの募集を知って、これしかないと思って、2週間くらいで書きました。今回の企画は、海外の賞取り用と聞いたので、割と作りやすかったですね。
木村:ちょっとしたマーケティングを自分の中でされたんですね。海外の映画祭なら、これでしょうっていう(笑)。
吉野:そうですね、例えば、海外用ならモノローグでも下に字幕を入れるから、なんとか理解してもらえるだろうっていう計算が働いたり。
吉野耕平監督作『日曜大工のすすめ』より
──「若手映像クリエーター育成プロジェクト」の前は、みなさんどうやって自主映画を上映されていたのでしょうか。
吉野:そこ、僕も聞きたいです。
田崎:私はずっと学生映画のスタイルでやってきたので、公募の映画祭に出すという手段しかなかった。
片岡:僕も映画祭ですかね。僕は自分で上映するのが嫌で(苦笑)何が嫌って、チケットを売らないといけないのが嫌なんですね。だから今回も実は嫌で嫌で仕方がないんです。(一同頷く)だからとりあえず、自分の作品を上映するには、映画祭を目指して作るしか手段がないかなと思って、作ってきた。映画祭も入賞できるかわからないし、そんなに数はないですけど、数打ちゃ当たる方式でやってきています。
木村:私は映画美学校時代に、学校内の企画に通ったので、予算をもらって、16ミリで作りました。それが『犬を撃つ』です。でも、それ以来、お金もないし、人を集めるのも苦手だから、作品作ったり上映したりすることが、すごく難しかった。人から、上映会をやろうよって言ってもらった時に、上映させてもらったりして、細々と続けてきたところがあります。だから量産できる人ってすごいと思う。
片岡:僕の場合、普通に友達を巻き込んでやってます。頼みやすい友達にしか頼まないですから。
田崎:“片岡ファミリー”みたいな感じですよね。
木村:まさに“監督力”ですね!
田崎:自主映画はロケ地の交渉から何から何まで、監督が一人何役もやらないといけないから大変ですよね。
吉野:僕は、大学時代から、実写とアニメーションをほぼ同時にやっていました。なぜかと言うと、映画作りで難しいのって、やっぱり人やお金を集めることじゃないですか。だから、CGなら、監督である自分とあと音楽の人がいれば、作れちゃいますから。だから、実写で、たくさん短編や長編を撮っている人はすごいなって思います。
──でも吉野監督は、PFFに何度も入賞されていますよね?
吉野:そのときは大阪の大学にいたから作れたんですよ。まわりに手伝ってくれる学生もたくさんいて何とかなりました。東京に出て会社に入ってからは、また自分1人に逆戻りで……結局CGばかり作ってました。東京に出て5年目でようやく作った実写映画は登場人物2人でそのうち1人は自分の奥さんで長さは3分で、という感じです。映画って、とにかく作るだけで精一杯で、これまでの上映もほとんどPFFや映像祭だけです。
今問われる“監督力”とは?
──片岡さんと田崎さんは、1gramixに所属されていますが、どんな集団なのでしょうか。
片岡:若手映画監督が、役者のオーディションワークショップを行い、それぞれ順番に1本ずつ短編映画を撮るというプロジェクトです。ワークショップ参加者からキャスティングをして、その参加費が(映画の)製作費となります。役者は、それぞれ自分が出演したいと思う監督のワークショップに参加すると、そこで演技指導を受けるだけでなく、所属監督ほか多くの監督が観に来るので、役をもらえるチャンスがある。僕も『party』という短編を撮らせていただきました。(NNFで30日に上映予定)
──監督と役者がいい補完関係にあるのですね。監督同士の関係は?
片岡:お互いの作品にスタッフ参加することもよくありますね。僕のカメラマンが、別の監督の作品を撮ったり。そういうスタッフ面でのメリットも大きい。たまにカメラの貸し借りなんかも。それ以前は、僕はずっとそういう横のつながりがなかったんですよ。映画の専門学校に行ったけど、友達もできなくて。1gramix所属の監督は、映画のライバルというより、確かにライバルなんだけど、ぎすぎすしていなくて、あけっぴろげ。映画祭で賞を獲っても、「獲ったんだ?いいな~」みたいな。いい環境です。
木村:いいなあ、入りたい(笑)。
田崎:でも木村さんは“桃まつり”(女性監督作品を上映する映画祭)とかあるじゃないですか。
木村:“桃まつり”は、これ(NNF)よりももっと、監督が宣伝にがっつり取り組まないといけないところがありましたね。最初の立ち上げのメンバーですが、今思えば、軌道に乗るまでは、ほんとうに大変だったと思います。
片岡:でも動員数的に成功していますよね。
木村:そのために、あらゆる手段を使ったと思います(笑)。「女性監督の集団」というもので、どう話題を作っていくかを、みんなですごく考えました。気づいたのは、ネガティブキャンペーンしてくれる人っていうのも、けっこう重要なんです。“桃まつり”ってちょっと馬鹿にしやすいネーミングだから、「いまどき女同士で集まって何なの?」とか話題に上りやすかったみたいで、それでまた口コミで広がって。そこに、自分たちも、上手く乗っかって行くというか。戦略的に、広告的なことを、自分たちで何かしら生み出さないと、劇場に人は入らないということは、そのときに痛感しましたね。
──戦略にもとづいた広告まで手がけて、初めて作品が観客に届くということですね。監督の負担も大きいようですが、ではここで、元広告代理店勤務の吉野監督から、今後のNNFの展開について教えてください。
吉野:今回伊月さんがハコ(ユーロスペース)を抑えてくれて、僕は途中から宣伝に加わりました。会社の元同僚に頼んで、デザインや、キャッチコピーとか考えてもらったり、webのアイデアをもらったりと、調整役というか…。もともと伊月さんのイメージでは、今回が成功したら、来年以降もユニジャパンから予算が出て、「若手映像クリエーター育成プロジェクト」は続くから、今後「NNF出身です」って言うと映画監督として箔が付くという、かなりはっきりした戦略があって、それを膨らませるのが僕の役目かなと。
木村:それくらいのブランド力を目指してるんだ!?知らなかった(笑)。ノーネームだけど無印良品、みたいな(笑)。
吉野:PFFとかCO2みたいに、それに匹敵するような、皆の土台になるようなものになればいいなあと、それにもとづいてネーミングも考えたんですよ。いい前例になれればいいなと思います。投資をする人が、若い人にお金を出したら、結構いいもの作るんだなあと思うきっかけになれれば。
木村:あとは、やっぱりユニジャパンという後ろ盾は大きい。
田崎:そうですよね。普通の自主映画だとロケ地の交渉もたいてい断られますし。いまフィルムコミッションも商業映画しか受けてくれないところも多いですよね。
片岡:「経済産業省の若手育成」って文言、大々的に使わせてもらいました(笑)。役者さんにも、正当なギャラは支払えていないのですけど、これは「経産省の若手育成プロジェクト」だからって。
田崎:機材とか借りたらあっという間に予算なくなりますもんね。
吉野:やっぱり一定収入がないと映画って作り続けていけない。
片岡翔監督作『ぬくぬくの木』より
──最後にNNFの見どころを教えてください。
片岡:ショートフィルムの面白さって、長編とは違うものがある。でも一般のお客さんはまったくと言っていいほど知らないので、知っていただくきっかけになれればと思いますね。15分でも結構楽しめるんだなと。まったく作風も個性もばらばらな監督が集まっているので、1本の長編を観るのとは、まったく違う楽しみがあると思います。
木村:あとこれは伊月さんが言っていたことだけど、NNFに参加している10名の監督は、東京造形大、大阪芸大、武蔵野美術大学、日芸、NCW、映画美学校と、主要な映画学校の出身の監督が全部入っている。それに吉野さんみたいな広告畑から自主映画にきた方もいて。東京で自主映画作っている人達が誰なのか、どういう方法論でどういうテーマの作品を作っているかが、NNFに来れば、一発でわかると思う。そういうメンツが一律200万円という予算で自由に作品を作ったら、こうなるんだと。これから映画作りを始めるすごく若い人たちにも見てほしいし、商業映画の方たちにも、自分の想いを映像で形にするってどういうことだったのか、刺激を受けに来てほしい。あとは、デートとかで来て、カップルの相性チェックに使ったりとかね。
──いろいろなジャンルの作品があるから、センスのチェックができるということですか(笑)。
木村:そうそう、あの映画はつまらなかったよね、とか、あの映画がよかったよねとか、そこが一致するかしないか(笑)。あと、夜9時からのレイトショーだし、仕事をしている人も来やすいと思う。
吉野:知り合いのCMプロデューサーの方が、この「若手映像クリエーター育成プロジェクト」の企画を知って「こんな手があったのか」と悔しがっていましたね。広告の世界に入る人って、学生時代に映画を作ってきたけどあきらめた人も結構多いんですよ。だから、自分の知り合いのCM監督を使って、企画を応募して、映画を撮る方法もあったんだって言っていました。
木村:え~、一緒にやってほしい。広告の人と一緒に撮って、ノウハウを交換したい。こっちにはあまり(ノウハウは)ないけれど(笑)。
吉野:これまでの自主映画という枠から、少しずつ広がっていくといいですよね。CM畑の人もいつかは映画を、と思っている人も多いと思うので。
──最後に何か言い残したことはありますか?
木村:(業界の方たちには)パイロット版として観に来ていただきたいです。「わたしに、長編を撮らせてください」……っていうタイトルにすればよかったかな(笑)、「わたしたちがうたうとき」じゃなくて(笑)。
吉野:(作品の良さが)だいなしだ(笑)。
田崎:ぜひ観に来てください!
(取材・文:鈴木沓子)
◆UNIJAPAN 人材育成プロジェクトとは
若手映像クリエーターを対象とした映像制作プロジェクト。経済産業省より「平成22年度新進若手映像等人材発掘・国際ネットワーク構築事業」を受託した公益財団法人ユニジャパンが、コンテンツ産業の人材育成プロジェクトの一環として実施。優れた才能を秘めている若手クリエーターを発掘・育成し、発表の場を提供することで、我が国コンテンツ産業のすそ野の拡大を図ることを目的としている。
『日曜大工のすすめ』
監督・脚本・編集:吉野耕平
プロデューサー:安永豊
出演:池口十兵衛、小林麻子
吉野耕平
1979年、大阪生まれ。広告代理店を経てディレクターに転身、CG、アニメーション、VJ、実写映画などジャンルを問わず制作している。主な受賞歴、ぴあフィルムフェスティバル(00年、02年、04年)。文化庁メディア芸術祭(10年)審査員推薦作品ほか。『日曜大工のすすめ』が、本年度釜山国際映画祭でアジア短編映画賞Sonje賞を受賞。
『わたしたちがうたうとき』
監督・脚本:木村有理子
プロデューサー:田中深雪
出演:増田璃子、宇野愛海、利重剛、鈴木卓爾、川崎桜
木村有理子
1974年、群馬県出身。慶応義塾大学環境情報学部メディアアート専攻卒業。イメージフォーラム、映画美学校を経て、角川映画でDVDパッケージ制作を担当。主な作品に、『犬を撃つ』(2000年カンヌ国際映画祭シネフォンダシオン部門門正式出品)『daughters』(08)、オムニバス映画『Abed~二十歳の恋』より『なつめ』(2010年札幌国際短編映画祭招待作品)がある。少女たちを描いたドキュメンタリー作品がこの冬完成予定。
『ぬくぬくの木』
監督・脚本・編集・美術:片岡翔
プロデューサー:和田有啓
出演:小野ゆり子、麿 赤兒、草村礼子、南 まりか、鈴木卓爾
片岡翔
1982年、札幌市出身。ショートショートフィルムフェスティバルにて2009年から三年連続で観客賞を受賞し、本年はSTOP!温暖化部門で3冠を受賞。近作『くらげくん』は、PFFアワード2010で準グランプリを受賞したほか、7つの映画祭でのグランプリを含む13冠を達成。また、佐藤佐吉監督作品『Miss Boys!』(12月公開)の脚本を担当するなど、商業映画の脚本家としても活動している。
ふたつのウーテル
監督・脚本:田崎恵美
プロデューサー:西野智也
出演:水口早香、澤田栄一
田崎恵美
1987年、大阪生まれ。お茶の水女子大学の学生であるかたわら、2007年より早稲田大学映画研究会に所属し、自主映画の制作を始める。昨年『アンナと二階の部屋』で第3回TOHOシネマズ学生映画祭ショートフィルム部門グランプリ、第32回ぴあフィルムフェスティバルのエンタテインメント賞、同企画賞を受賞。『ふたつのウーテル』が昨年カンヌ国際映画祭短編部門に、日本人監督としては46年ぶりの入賞を果たした。
『遠くはなれて』
監督・脚本:廣原暁
プロデューサー:根本佳美
出演:藤川史人、泉光典、真砂豪、池田将
廣原 暁
1986年、東京都出身。2009年、武蔵野美術大学映像学科卒業。同年、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域入学。主な監督作品に『世界グッドモーニング!!』(09)(第12回京都国際学生映画祭、準グランプリ・観客賞、第32回PFF審査員特別賞、第29回バンクーバー国際映画祭Dragons & Tigers Award for Young Cinema受賞)
『路上』
監督・脚本・編集:山川公平
プロデューサー:田口稔
出演:平岡秀幸、カイ、ハナ、ヴィクトリア・ゾーリー、岩佐好益、谷口高史
山川公平
1982新潟県生まれ。高校卒業後陸上自衛隊に入隊。その後、大阪芸術大学短期大学部経営デザイン学科修了後、映像学科へ編入する。2008年に初監督作品『あんたの家』を製作し、第32回ぴあフィルムフェスティバルにてグランプリを受賞。第23回東京国際映画祭・ある視点部門、ロッテルダム国際映画祭2010フォーラム部門へ正式出品。2010年『田村どの佐久間どの』(自主制作・水戸短編映像祭セレクション企画)を池袋シネマ・ロサにて上映。他、ミュージックビデオ、企業ビデオを制作。
『バーニングハーツ』
監督:ジェームス・マクフェイ
プロデューサー:花岡敏夫
出演:市山英貴、アンナ・シュバック、ジェス・マッコール、ローリー・スチュアート
ジェームス・マクフェイ
オーストラリア出身。日本でモデル業をする傍らミュージックビデオ等の映像制作を精力的に手がける。自ら立ち上げたBeaufortの原動力であり、
Bag Raiders や Pomomofo 等のオーストラリア人アーティストのために草分け的予算ゼロのミュージックビデオを手がける。自身で脚本、監督、音楽制作、
俳優をこなし2009年には日本でモデルとして働く自らの経験を活かし、日本で働くモデルの孤独と葛藤を描いた Beaufort初の長編映画『Tiger』を発表した。
『ニューキッズオンザゲリラ』
監督・脚本:阿部綾織
監督・撮影:高橋那月
プロデューサー:渡辺直樹
出演:柄本 佑、齋藤浩太、田村律子、持田加奈子
阿部綾織/高橋那月
共に東京造形大学造形学部美術学科に入学。油絵専攻であるが映画制作に興味を持ち意気投合。二人の処女長編作品『サンディの水槽』(08)を作っていく中で映画制作への意欲が高まり、 2007年には同居をしながら共同制作を本格化していく。10年には未発表作だった『白昼のイカロス』(09)が 第32回ぴあフィルムフェスティバルに入選し審査員特別賞を受賞、バンクーバー国際映画祭ドラゴン&タイガー賞にノミネートされる。
『トビラを開くのは誰?』
監督・脚本・編集・伊月肇
プロデューサー:柴田啓佑
出演:鈴木知憲、優恵、玉置稔、杉本神伊、橋野純平
伊月肇
1980年生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。大学在学中に山下敦弘監督作品『ばかのハコ船』にスタッフとして参加。映像制作会社退社後、自主映画制作を行う。2010年、初長編作品『-×-』(マイナス・カケル・マイナス)がローマ国際映画祭に正式招待される。
『閑古鳥が泣いてたら』
監督・脚本・編集:小林岳
プロデューサー:宮地慶
出演:栗橋勇、前田亜季、亀山スーザン久美子
小林岳
1986年生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部放送学科に入学し、映画制作を始める。映像制作団体『三代川達』にてワタナベカズキ監督や、頃安祐良監督ら先輩たちのお世話になる。卒業後は奥田庸介監督率いる『映画蛮族』に参加し、『青春墓場~明日と一緒に歩くのだ~』などに撮影として携わる。卒業制作として自身で監督した『真っ赤な嘘』が第32回ぴあフィルムフェスティバルにて映画ファン賞を受賞。
No Name Films(ノー・ネーム・フィルムズ)
渋谷ユーロスペースにて、11月19日(土)~12月2日(金)連日21:00よりレイトショー
新進気鋭映画監督10名による、15分の短編を一挙公開。上映日は、Aプログラム、Bプログラムにわけて、連日5作品づつ上映される。上映後は、それぞれの監督によるトークイベントや、最新作の上映、漫才などイベントも多数予定されている。
当日券1,500円、前売券1,200円のほか、No Name割(10名の参加監督と同じ名字の人)は、当日券でも前売りと同じ料金で鑑賞可能など、各種割引有
スケジュールなどの詳細は、公式サイトまで。http://www.nonamefilms2011.com
イベント情報
『オールモスト・フェイマス-未配給映画探訪』連動企画
『僕らの未来』トーク付き上映
(ゲスト:飯塚花笑、針間克己)
『オールモスト・フェイマス-未配給映画探訪』連動企画がスタート!第一回は飯塚花笑監督が性同一性障害である監督自身の体験が反映させた『僕らの未来』。今年のPFFアワードに最年少で入選、審査員特別賞を受賞し、バンクーバー国際映画祭コンペティションにも出品された。今作の上映と併せて、脚本・撮影・編集も手がけた飯塚監督、そして精神科医の針間克己医師を迎えたトークを実施。
飯塚監督インタビュー:自分らしく生きるためには?性同一性障害に悩んできた飯塚花笑監督が自身の実体験をもとに制作した『僕らの未来』(2011.9.22)
日時:2011年11月21日(月) 18:30開場/19:00開演
会場:渋谷アップリンク・ファクトリー
(〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F tel.03-6825-5502)[地図を表示]
料金:予約/当日¥1,300
上映作品:『僕らの未来』
ゲスト:飯塚花笑監督、針間克己医師(精神科医、はりまメンタルクリニック院長)
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