骰子の眼

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2008-04-25 18:58


大谷能生:渋谷の『フランス革命』が再び書籍で

『大谷能生のフランス革命』出版記念イベントがアップリンク・ファクトリーで開催された。
大谷能生:渋谷の『フランス革命』が再び書籍で
(写真上)左から門松宏明氏、大谷能生氏

2005年、何故か渋谷でフランス革命を起こそうとした人物がいた。それは批評家/音楽家の大谷能生氏である。05年7月から06年7月の約1年間、アップリンク・ファクトリーで毎月行われていた定期イベント『大谷能生のフランス革命』。大谷氏がホストをつとめ、毎回ジャンルが異なるゲストを迎えてトークやパフォーマンス、ときにはライブを交えた、濃厚で、スリリングな、まるで異種格闘技戦のようなイベントであった。ここで注意したいのは、タイトルになっている『フランス革命』についてはまったく議論されることはなかったということである。


この度、この『フランス革命』がめでたく書籍化された。この書籍化実現の裏には、最初から最後までイベントに立会っていた文筆家の門松宏明氏がイベント内容を記録し、ことこまかに文字で再現したというとてつもない努力の賜物でもある。本書で大谷氏は、この本はまるで門松氏が書き下ろした原稿のようである、と語り、「『2000年代中盤における、日本の、東京の、若者の生活と意見』として、日常と非日常、フィクションとノン・フィクション、現場と書籍を結線する役割りを果たしている」(本書より抜粋)という見方をしている。

2008年4月14日、アップリンク・ファクトリーで『大谷能生のフランス革命』出版記念イベント、題して「大谷能生&門松宏明の革命後夜祭」がおこなわれた。来場者には、当時配布されていた各回のレジュメを特製パッケージにまとめて再配布され、『フランス革命』で起こった歴史(出来事)を振り返る形で映像とトークが繰り広げられた。
また、当時ゲストで出演していた、岡田利規氏(チェルフィッチュ)、岸野雄一氏(スタディスト)、西島大介氏(マンガ家)、ばるぼら氏(ネットワーカー)、堀江敏幸氏(作家)らが集っての豪華トークもありと、まるで同窓会のような雰囲気の中で長時間、革命談議に花を咲かせたのである。


当時のイベント映像を見て大谷氏は、「ブレがなかったと実感しました。自分が思い描いていたことができていて非常に良かった」と語り、門松氏は「イベントは毎回衝撃的でした。内容をインプットして持って帰ってから改めて感動した」とイベントの思い出を語った。

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また、大谷氏に書籍化されたことに対する今の気持ちを聞くと、「とにかく門松(宏明)君が頑張った。ワタシは構成を決めた以外は何もしてないのですが、感無量です」と喜びを語った。イベントを改めて振り返り、「ゲストの方々が、みんなとにかく協力的に参加してくださって、すごいと思った」。アップリンク・ファクトリーで開催したことについては、「(アップリンクが)移転する際には“無くなった”と思ってたんで、このしぶとさを見習いたいと(笑)」。


そして、大谷氏にとって「毎月の大騒ぎでしたね」という『フランス革命』は、今後、再び『続・フランス革命』として始まることはあるのだろうか? 「大谷能生の『女たちのフランス革命』」やりたいんですが、だれか企画というか、間に入って細かい仕事してくれる人いませんか?」ということで、嬉しいことにまだまだ続く気配である。

『大谷能生のフランス革命』を見たことのある方もない方も、2005-2006年に渋谷で起こった『フランス革命』のドキュメントをこの本でじっくり楽しんでいただきたい。

(文:牧智美)

大谷能生PROFILE

1972年生まれ。批評家、音楽家。96年~02年まで音楽批評誌「Espresso」を編集・執筆。様々な雑誌、webへの執筆・寄稿を行い日本のインディペンデントな音楽シーンに深く関わる。04年、菊地成孔との共著『憂鬱と官能を教えた学校 【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史』(河出書房新社刊)を上梓。04~05年と同氏と共に東京大学教養学部にて講義を担当。『東京大学のアルバート・アイラー 歴史編』『同キーワード編』(菊地成孔・大谷能生/メディア総合研究所)として書籍化される。07年には第一批評集『貧しい音楽』(月曜社)を上梓。音楽家としては、sim、masなど多くのグループに参加。06年12月にはソロ・アルバム『「河岸忘日抄」より』(原作:堀江敏幸)をHEADZからリリース。その他さまざまなセッションで演奏を行っている。

門松宏明PROFILE

1975年生まれ。文筆家。菊池成孔・大谷能生著『東京大学のアルバート・アイラー 歴史編』(メディア総合研究所)において「後書き対談」の司会進行を務める。


『大谷能生のフランス革命』 絶賛発売中

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著者:大谷能生・門松宏明
定価:2,310円(税込)
体裁:B5変形判/並製カバー装/296頁
出版社:以文社

【出演ゲスト】
冨永昌敬(映画監督)
ばるぼら(ネットワーカー)
岡田利規(劇作家/演出家/小説家)
岸野雄一(スタディスト)
志人(詩人/降神MC)
宇波拓(音楽家)
RIOW ARAI(トラックメイカー/プロデューサー)
西島大介(マンガ家)
小川てつオ(アーティスト)・狩生健志(作曲家)・(音がバンド名)(サウンドパフォーマンスアーティスト)
杉田俊介(文芸批評家/介護労働者)
堀江敏幸(作家)
佐々木敦(批評家)


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