骰子の眼

cinema

東京都 千代田区

2011-09-29 20:10


映画を通じて恐怖に怯え故郷を追われた人たちが世界にいることを知る─「第6回UNHCR難民映画祭」開催

国連の難民支援機関、国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所主催、10/1(土)から9(日)までの上映にあたり推薦6作品を紹介。
映画を通じて恐怖に怯え故郷を追われた人たちが世界にいることを知る─「第6回UNHCR難民映画祭」開催
『そのひとときの自由』 (c)Les films du losange 2011

この度、国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所は第6回UNHCR難民映画祭を開催いたします。今年は1951年に国連が難民条約を採択して60周年、その難民条約に日本が加入して30周年、そして初代難民高等弁務官に任命されたフリチョフ・ナンセンの生誕150周年にあたる記念の年です。また日本が大地震と津波に見舞われた年であり、今年の映画祭には特別な意味が含まれます。東日本大震災の悲劇は、誰でも突然に住む家を失う可能性があるのだということを改めて考えさせられました。それと同時に、私たちはこの悲劇に立ち向かおうと集まった人の復興に向けた力強さに深く心を打たれました。

この映画祭で上映される作品では戦争や紛争、人権侵害や自然災害によって故郷を追われた人が描かれていると同時に、その苦しみを少しでも鎮めることができれば、という願いから彼らに寄り添う人の姿も数多く描かれています。皆様にはこの映画祭を通じて、世界に暮らす4,300万人の難民・国内避難民について知っていただくと同時に、ふるさとを追われた人がより明るい未来を築くための希望を持てるよう、手を差し伸べる気持ちを抱いてもらえたらと願っております。

たとえ1人でも希望を持てない難民がいるならば、ぜひ何かひとつ始めてください。映画を通じて自分に一体何ができるのかを、ぜひ発見してください。
(文:今城大輔[UNHCR駐日事務所主催難民映画祭プロジェクトマネージャー])




日本初上映

『すぐそばにいたTOMODACHI』

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今年3月の東日本大震災をうけて95人のビルマ(ミャンマー)難民がボランティアグループを立ち上げた。日本における自分たちの立場が厳しいものであるにもかかわらず、彼らは一体なぜ被災地へと向かったのか。カメラは祖国に母親を残して日本にやってきた一人の若い女性を追う。
アメリカ軍によるオペレーション・トモダチが行われている同じ時期に、日本での難民制度に苦慮しながらボランティアに名乗り出た彼らの思いを綴る。
監督:セシリア亜美 北島
日本/2011年/100分/ドキュメンタリー




日本初上映

2010年サンダンス映画祭世界のドキュメンタリー特別審査員賞

『エネミーズ・オブ・ザ・ピープル(人民の敵)』

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70年代後半のカンボジアでおよそ2百万人もの犠牲者を生んだクメール・ルージュによる虐殺。自らの親兄弟を殺された現地の記者サンバットは当時の歩兵や当時のポル・ポトの右腕だった人物を取材し、驚くべき真実をつかむ。
これまでも『S21 クメール・ルージュの虐殺者たち』などでテートされてきた虐殺について、関係者にあらためてカメラを向け事件の真相について鋭く切り込んだドキュメンタリー。
監督:テット・サンバット、ロブ・レムキン
カンボジア、イギリス/2010年/93分/ドキュメンタリー




日本初上映

カンヌ国際映画祭2010監督週間正式出品

『イリーガル』

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(c)2010 Versus production - Iris Productions - Dharamsala - Prime Time - RTBF

8年前ベルギーにやってきたタニアと息子のイヴァンは社会へと溶け込んでいたものの不法滞在を続けていた。ある日タニアは入国管理局に拘束されるが、イヴァンはその場から逃走する。施設に収容され、息子から隔離された彼女の権利は容赦なく剥奪されてゆく。
2000年の短編『Chambre froide』、2006年の『Cages』などで高い評価を得るオリビエ・マッセ=ドゥパス監督が自国ベルギーの不法滞在問題にフォーカスを当てる。
監督:オリビエ・マッセ=ドゥパス
ベルギー、フランス、ルクセンブルグ/2010年/95分/ドラマ




2009年アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭DOC U!受賞

『カシム・ザ・ドリーム~チャンピオンになった少年兵~』

PHILLIPS OUMA
(c)BELIEVE MEDIA/URBAN LANDSCAPES PRODUCTIONS 2008 ALL RIGHTS RESERVED

ウガンダの反政府軍に6歳で拉致された少年兵カシムは軍のボクシング部で成果を上げたが、脱走して渡米。世界チャンピオンに輝き、27歳に成長した彼は厳しい練習中も祖国の家族との再会を望むが、彼を拉致した現政府から恩赦を受けなくてはならなかった。
自らのチャンピオンへの挑戦と、家族と再びウガンダに住むことへの願いが並行することで、緊張感を感動を増幅させている。昨年の「松嶋×町山 未公開映画祭」でも公開され、水道橋博士をはじめ絶賛を浴びた。
監督:キーフ・デヴィッドソン
アメリカ/2009年/86分/ドキュメンタリー




日本初上映

2008年モントリオール世界映画祭 Golden Zenith賞(金賞)

『そのひとときの自由』

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(c)Les films du losange 2011

親子、親戚の子を預かった従弟、友人同士の男性等、3組のイラン難民の冒険譚。彼らは無事に国境を越えたがトルコで足止めを喰らってしまう。安宿に滞在し、ただひたすら難民認定が下りる日を待つ彼らのヒューマンドラマ。
イラン出身でウィーンを拠点にドキュメンタリーを制作してきたアラシュ.T.リアヒ監督による初のフィクションで、ユーモアを交えながら難民問題を描いている。子役たちの演技も秀逸。
監督:アラシュ.T.リアヒ
オーストリア、フランス/2008年/110分/ドラマ




第67回ヴェネチア国際映画祭正式出品

『ミラル』

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パレスチナ人ジャーナリストの自伝を原作とし、エルサレムに生きる女性たちを描いた作品。母親を失った少女ミラルは7歳の頃から孤児院で育つ。やがて難民キャンプの教育プロジェクトに派遣された彼女はパレスチナ難民のおかれた過酷な現実を目の当たりにする。
それぞれの女性たちが迎える運命を、『バスキア』『潜水服は蝶の夢を見る』のシュナーベル監督が、独特の色彩感とアーティスティックなビジョンにより映しだす。
配給:ユーロスペース+ブロードメディア・スタジオ
監督:ジュリアン・シュナーベル
フランス、イスラエル、イタリア、インド/2010年/112分/ドラマ


▼第6回UNHCR難民映画祭予告編





第6回UNHCR難民映画祭
2011年10月1日(土)~9日(日)

会場:イタリア文化会館、セルバンテス文化センター東京、青山学院大学(総合研究所ビル12階大会議室)、青山学院アスタジオ、ノルウェー王国大使館、グローバルフェスタJAPAN 2011
主催:国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所
パートナー:特定非営利活動法人 国連UNHCR協会
公式サイト

<入場について>
* 入場料は頂いておりませんが、各会場にてご寄付を募っております。
* ご入場は先着順となります。(予約不可)
* 各回1時間前より会場にて入場整理券の配布を開始いたします。 * 各回20分前の開場となります。(前のプログラムが終了していない場合を除く)
* 各回完全入替制です。
※ グローバルフェスタJAPAN 2011は野外会場での上映のため、ご入場に関する制限はございません。

UNHCR難民映画祭は毎年、様々な協賛団体からのご協力と個人の方からのご寄付によって開催が実現されております。各会場において、映画祭の趣旨、当機関の活動にご賛同頂ける皆様からのご寄付を募っております。


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