(C) 2010 Two Lefts Don't Make A Right Productions, Dakota Group, Ltd. and WNET.ORG
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今作は、波乱に満ちたジョンの人生のなかでも、71年9月から80年12月、凶弾に倒れるまでの9年間、つまり正式なアルバム・リリースとしては『ダブル・ファンタジー』リリース直後までの時期を追っている。音楽ファンであるならば、オノ・ヨーコとの共作であり遺作となってしまった『ダブル・ファンタジー』にあるジョンの作風は、主夫生活から足を洗い、音楽活動を再会させることへの強い意気込みと、息子のショーンと妻への愛情を噛み締めるような優しいムードを持っている。「マザー」のヒリヒリとした慟哭や「コールド・ターキー」の荒ぶる感情はない。だから、このドキュメンタリーもいわゆるジョン・レノンの「愛と平和を歌うアーティスト」というイメージばかりを取り上げる作品なのではないかという危惧があったものの、それは杞憂だった。
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このドキュメンタリーはそうしたパブリック・イメージの奥にある、もがき続けていたジョンの姿を改めて捉えている。積極的に政治運動に力を注ぎ、72年の大統領選ではジョージ・マクガヴァン支持するものの、ニクソンに敗北を喫した。そこでの混乱ぶりは生々しい。そしてジョン・レノンにとってのニューヨークという都市の混沌が、創作のインスピレーションであり、彼が米国移民局からの度重なる退去要請に屈せず苦労の末にグリーンカードを所得するに至るまでの心の拠り所であったことが綴られる。そして特別協力としてクレジットに名を連ねているオノ・ヨーコをはじめとした関係者の逸話とともに、それぞれの時代の作品についても、貴重な映像とともに解説が施されているため、ジョン・レノンのディスコグラフィーをこれから順を追って聴いていこうというリスナーにとってもうってつけの作品となっている。
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▼予告編
『ジョン・レノン,ニューヨーク』
2011年8月13日(土)、東京都写真美術館ホールほか順次全国公開
監督・脚本:マイケル・エプスタイン
共同製作:スーザン・レイシー、ジェシカ・レヴィン
登場する人物:ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、エルトン・ジョン他
2010年/アメリカ/英語/120分/ビスタ/デジタル
提供:キングレコード
配給:ザジフィルムズ
協力:フィールドワークス
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