骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2011-06-25 11:40


[CINEMA]『セヴァンの地球のなおし方』クロスレビュー「人と自然の共存方法を実践する農家や環境活動家から学び行動すべき」

ジャン=ポール・ジョー監督は前作『未来の食卓』で食をめぐる物語を丁寧に描いたが、本作ではさらに広く生態系、そして核についても言及している。
[CINEMA]『セヴァンの地球のなおし方』クロスレビュー「人と自然の共存方法を実践する農家や環境活動家から学び行動すべき」
『セヴァンの地球のなおし方』より

本作はタイトルロールとなっている環境活動家セヴァン・スズキが92年にリオデジャネイロで開催された地球サミットの際に訴えたスピーチを拠点にしながら、そこにとどまることなく、世界各地で自らのやり方で環境破壊に対する危機感を感じ、行動する人々の姿を追っている。福岡県で合鴨農法を確立しオーガニック米を作る古野農場、福井県の池田村で無農薬で食材を育てる農婦といった日本が、これからの環境問題を考える上での重要なトピックとして紹介されている。しかし、言うまでもなく3月11日の福島の原発事故は、経済優先で突き進んできた日本はあまりにも自然との共存に無関心であったことを露呈した。

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『セヴァンの地球のなおし方』より
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『セヴァンの地球のなおし方』より

汚染によりまず犠牲となる子供たちの未来について、真剣に考えることが必要とされる現在。前作『未来の食卓』で学校の給食をオーガニック化させようという運動を唱えたバルジャック村の近くには原子力発電所があったことを、今作でジャン=ポール・ジョー監督はあらためて提示する。それは予言的とも言えるが、放射能汚染のいまだ解決の糸口が見えない日本こそ、この映画で描かれる先人たちから受け継がれる知恵や世界各地で〈自己中心的〉に地球を守ることに努力を惜しまない人々の行動から、意識を新たにしていかなければいけないだろう。『未来の食卓』に続き音楽を担当したガブリエル・ヤレドのサウンドや、刻々と変わる表情を見せる田んぼや山あいの緑の美しさも、20年前となにも変わらないセヴァンの言葉とともに噛み締めてほしい。

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『セヴァンの地球のなおし方』より
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『セヴァンの地球のなおし方』より

▼『セヴァンの地球のなおし方』予告編





『セヴァンの地球のなおし方』
6月25日(土)より東京都写真美術館ホール渋谷アップリンクほか全国順次公開

初日ジャン=ポール・ジョー監督による舞台挨拶有り!
【東京都写真美術館】
6月25日(土) 11:00の回終了後
【アップリンク】
6月25日(土) 14:45の回終了後

監督:ジャン=ポール・ジョー(『未来の食卓』)
プロデューサー:ベアトリス・カミュラ・ジョー
出演:セヴァン・スズキ、ハイダグワイの人びと、古野隆雄、福井県池田町の人びと、バルジャック村の人びと、ポワトゥーシャラントの人びと、コルシカ島の人びと、オンディーヌ・エリオット、ニコラ・ウロ、ピエール・ラビ、他
2010年/フランス/115分/HD/16:9/カラー/ドルビー/英語、フランス語、日本語
公式HP
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