骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2011-04-20 11:18


映画の愛に☆直感 第12回:若き才能が疾走する!『劇場版 神聖かまってちゃん』『人の善意を骨の随まで吸い尽くす女』Wレビュー

入江 悠、加藤行宏両気鋭の監督が監督・脚本・編集を手がけた、勢いに満ちた新作。
映画の愛に☆直感 第12回:若き才能が疾走する!『劇場版 神聖かまってちゃん』『人の善意を骨の随まで吸い尽くす女』Wレビュー
左:映画『人の善意を骨の随まで吸い尽くす女』より、右:映画『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』より (c) 2011『劇場版 神聖かまってちゃん』製作委員会

サクラ満開で地震でなんだかワタスがヨレヨレな中、映画『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』(入江悠監督作・脚本・編集)を鑑賞したのです。

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映画『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』より (c) 2011『劇場版 神聖かまってちゃん』製作委員会

お話は神聖かまってちゃん(以下かまってちゃん)の大きなライブまで後一週間!しょっぱなから夢のENDはいつも目覚まし!(演奏は神聖かまってちゃん)で女子高生の美知子(二階堂ふみ)はプロ棋士になるというシブイ夢を持ち、周りの女子高生とも馴染めず、彼氏にかまってちゃんのライブを誘われるが、その日は、自力で辿り着いたアマ王座決定線の日……一方では、昼間は清掃業、夜はショーパブダンサーで朝から晩まで働くシングルマザー・かおり(森下くるみ)はかまってちゃんのネット配信に夢中な息子・涼太がかまってちゃんの唄(歌詞がちょっと不謹慎だから)を保育園で友達と唄い問題を起こし、園長に呼び出され厳重注意でかおりと涼太は怒られた。その一方、かまってちゃんのマネージャー・ツルギ(劔樹人)は、メジャーデビューで多忙極め、レーベルの上司からは売り出し方に付いてかまってちゃんらしくない不条理な問題を提示され……かまってちゃんライブまでの、それぞれの本当の自分らしい生き方を見つける事ができるのか!!!

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映画『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』より (c) 2011『劇場版 神聖かまってちゃん』製作委員会

とにかく劔樹人と今作銀幕デビューの映画大好きの森下くるみの演技は素晴らしいの一言に尽きる。子供達も自由で自然な演技、入江監督の入魂の演出力であると思うのです。池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ)による抑制の効いたさり気ない音楽。ワタスはショーパブシーン撮影現場に行きましたが、森下くるみのカラダをはったポールダンス、ひざは痣だらけであった。地震があって、いろいろ生き方を考え込み過ぎてる方は、絶対に鑑賞にいくべきなんです。だってワタスもまだ悩んでる37歳。部屋で独りで重い悩まずこの映画を今だからこそ、部屋から出て鑑賞して欲しい。笑って、泣いて、感動できる、ハッキリ言うが傑作娯楽音楽映画。この映画にケチをつけるのは、阿呆なのです。それぐらい熱くなれる作品なのだ。

と暑苦しい想いの中、映画』『人の善意を骨の随まで吸い尽くす女』(加藤行宏監督作・脚本・編集)を鑑賞したのです。

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左:映画『人の善意を骨の随まで吸い尽くす女』より

お話は、売れない舞台女優・山田真歩(山田真歩)は自らが主演するネットドラマの制作を企画して、目指せ10万アクセス!!芝居仲間の牧野とともに、田舎町に旅立った真歩だったが、撮影現場はトラブル続出!果たしてネットドラマは本当に完成すのか?
自主映画の奮闘努力を忠実に再現していて、山田真歩の小悪魔な魅力を、もっっっっと引き出して欲しかったが、けど、タイトルにかなりパンチがあるのです。タイトルと共に流れる音楽(南雲将行)が、素朴な良い音楽なのでした。キャスティングもばっちりで、かなり気持ち悪いかもだが、ちょっとしたかわゆいブラックユーモアで、ちゃんとしっかり笑えるのです。結局、主演の山田真歩が魅力的なんですます。

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左:映画『人の善意を骨の随まで吸い尽くす女』より

結論!神聖かまってちゃんは、かまってちゃんのライブが観たくなったし、これからハバタクロックバンド!加藤監督も今泉監督(『たまの映画』)みたいに、これからの才能で若くて、勢いがあって、新鮮なのです。だから、刺激的な作品なのでした。

両作品を楽しむ為のキーワードは、今回は敢えてなしです。思い込みなく観て楽しんでくださいです。

(文:松本章[音楽・ふーてんき])

【過去の映画コラム】
『バサラ人間』(2009.3.25)
『buy a suit スーツを買う』『ニセ札』(2009.4.10)
『サスペリア・テルザ 最後の魔女』(209.5.1)
『インスタント沼』『サガン-悲しみよ こんにちは-』(2009.5.23)
『レスラー』『ディア・ドクター』(2009.6.13)
『童貞放浪記』『バーダー・マインホフ』(2009.7.26)
『九月に降る風』『ライアン・ラーキン』(2009.8.29)
『クヒオ大佐』『脳内ニューヨーク』(2009.11.29)
『ライブテープ』『ボーイズ・オン・ザ・ラン(2010.2.1)
『Re:Play-Girls リプレイガールズ』『ペルシャ猫を誰も知らない』(2010.8.6)
『SUCK』『FREAKOUT』(2011.2.13)




『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』
渋谷シネクイントポレポレ東中野下北沢トリウッドにて都内先行上映中、以後全国順次公開

驚異的なロングヒットを記録し、続編も製作された『SR サイタマノラッパー』で映画ファン、音楽ファンを熱狂させた新鋭・入江悠監督の最新作は、人気バンド・神聖かまってちゃんの名曲群をモチーフとした、オリジナル脚本による青春群像劇。ニコニコ動画やYOUTUBE、iPhone、iPadなどめまぐるしく変わっていく時代のツールと、いつの時代も変わらない人間ドラマを融合させた渾身の一作である。

監督・脚本・編集:入江 悠
出演: 二階堂ふみ、森下くるみ、宇治清高、三浦由衣、坂本達哉(子役)、坂井真紀(特別出演)、劔樹人 野間口徹、堀部圭亮、神聖かまってちゃん(の子 mono ちばぎん みさこ)、他
主題歌・劇中歌:神聖かまってちゃん
配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS
協力:dwango/ニコニコ動画
2011年/日本/カラー/89分
※詳細は公式HPにて


『人の善意を骨の随まで吸い尽くす女』
テアトル新宿にて公開中

人が普段は気付くことのない「負」の感情をコメディータッチで焙り出したブラックユーモアあふれるストーリー展開と地に足の付いた演出、そして空気を全く読まない上に言いたい事だけはズバズバと言い、オマケに可愛くなったりと周囲の人物を奇妙な魅力で翻弄し続ける山田真歩の痛快なキャラクター性が、各方面から絶賛されたインディーズ映画の力作。監督は前作『機械人間、11号。』が水戸短編映像祭準グランプリはじめ数々の映画祭で賞を獲得し、本作で田辺弁慶映画祭特別審査員賞(グランプリ)を受賞した期待の新人監督・加藤行宏。また、本作をきっかけに『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』の主演に抜擢されることになった女優・山田真歩の熱演にも注目。

監督・脚本・編集:加藤行宏
出演:山田真歩、牧野琢也、石川誠、山岸正知、吉田奈央、五十嵐さゆり、関口崇則、薄井伸一、他
撮影:村松英治
音楽:南雲将行
配給・宣伝:コペンハーゲンシアター
2009年/日本/カラー/61分/ステレオHD
※詳細は公式HPにて





松本章(まつもとあきら、音楽・ふーてんき)PROFILE

1973年生まれ、大阪芸術大学映像学科卒。本名松本章、伊勢男子、とあるバンドを脱退し現在高円寺当りに在住。ふーてんきの音楽担当。熊切和嘉監督作品、山下敦弘初期作品の映画音楽をプロデュース。熊切和嘉監督『ノン子36歳(家事手伝い)』、内藤隆嗣監督『不灯港』、山崎裕監督『トルソ』などの音楽を手掛けた。
http://www.fuutenki.com/
Twitterは@akiraise
blogは http://ameblo.jp/akira-toumei/


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