アイスランドに発つ前にトレーナーがバンテージをプレゼントしてくれました。
6月4日（土）より公開となるアイスランド産スラッシャー・ムービー『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』。ロケ地のアイスランド首都レイキャヴィクでの撮影の様子を、裕木奈江さんが写真とともに伝えてくれます。
撮影その2
そして撮影は毎日続くのですが、しばしば雨に悩まされる事に。ホテルで朝から待機していても、昼まで待って中止の連絡が入ることも多かった。だからといって既に半日待機し、明日も朝から待機、という撮影状況では観光に出かける心の余裕もなく、仕方なくホテルでエクササイズをしたりするのです。撮影が決まった段階で、見た目というより体力的に3キロくらい落としたかったのでロサンゼルスのダウンタウンの南にあるボクシングジムに通ったのですが、そのときのトレーナーのJJ。
JJ、凄くいい人なんです。
ボクササイズとジャンプロープくらいを週3で通おうと思っていたら現役ボクサーのトレーナーでもある彼が担当になり、いきなり私の拳に布を巻き、 「リングにあがれ」と言ったのでした。「1R、とにかくここ（ミット）にパンチを入れればいいから」と言われ、ジム内の定期的になるゴングに合わせてパンチ開始。1分も発たないうちに横隔膜があがったままのような状況になり息が吸い込めなくなりました。たった3分間のスタミナもないのかと悔しかった。肉体的にはぜんぜんですが、精神的に鍛えられたひと月でした。でも、最後まで顔にまともにパンチは入れられなかった。「ボクシングを習ってるんだから、躊躇無く顔を殴れるようになれ」と言ってパンチを打たせるのだけど、つい加減してしまう。自分の体が勝手に抑制をかける瞬間が判り、自分の中に敵を見る。またやりたいなあ。
因にこのジムはイーストウッド監督がミリオンダラーベイビーを撮影したジム（映画用セット）の場所が向かいにあって、やる気が出ました、はい。
実際にアイスランドで使われている捕鯨船と同じサイズの船。雰囲気満点です。この撮影場所は町から車で1時間ほどのところにある湾で、切り立った独特の山並みが迫ってくるような壮大さ。しっとりとした藻に覆われている。
様子を見て小雨くらいならばメイクをし、とりあえずみんな現場に入って待機で。アイスランドの雨は夏でも冷たく、夜の海上となるとさらに寒いです。ケータリング（コーヒーやお茶菓子が置いてあるところ）のまわりには温かいコーヒーで満たされたポットがあって和むのです。?撮影中はいくつかのボートを使いましたが、最も大きな船は壮大なフィヨルドの湾に運ばれた船。捕鯨船の設定なので、とても重厚な作りの船でした。待ち時間に散歩できるくらい大きいのだけど撮影用なので現場以外は照明がないのですね。暗がりを携帯の明かりで散策していると仕込みで疲れて熟睡している美術さんを発見したりします。
スケジュールノート。撮影に関わる人間全てがこれに従う。「撮りこぼしませんように」はどの国の現場でも変わらぬ願い：）
港に停泊していた本物の捕鯨船。因に隣のブロック？にグリーンピースの船が泊めてありました。ははははは。
絨毯のように厚い藻が大地や山を覆っている。「裸でころがれます」と観光ブックに書いてあった。
（写真・文：裕木奈江）
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■裕木奈江 Flickrページ
『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』
6月4日（土）より銀座シネパトス、新宿K's cinemaほか全国順次公開
監督：ジュリアス・ケンプ
脚本：シオン・シガードソン（『ダンサー・イン・ザ・ダーク』サウンドトラック作詞家）
プロデューサー：イングヴァール・ソルダソン、ジュリアス・ケンプ
音楽：ヒルマー・ウーン・ヒルマソン
出演：ピーラ・ヴィターラ、裕木奈江、テレンス・アンダーソン、ミランダ・ヘネシー、ガンナー・ハンセン、他
2009年／アイスランド／90分／英語
配給：アップリンク
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