『Pray for Japan』 過酷な状況の中で生きようと戦っている人々と、現地で活動されている方々に心から祈りを捧げます。
連載の前に、2週間前に起こった地震について。
まずは幾つかのメールが届いて、東京にかなり大きな地震が起こったことを知った。幾つかのメールを送り友人の安否を確認していると津波が起こったというニュースが入った。映像がBBCなどで報道されると、海外在住の日本人同士でも連絡を取り合うようになる。お互いの安否と、家族の安否。しかし友人が津波被害の地域に関係があったと知ったからといってなにができるという訳でもなく、ネットのニュースに映し出される映像を力なくただ眺めるばかり。
私を日本人と知っている人は「あなたの友人やご家族は無事なの?」と聞いてくる。そうでない人も黄色人種の私の外見から「あなたは日本の人?津波のニュースをテレビで見たけれど大丈夫?」と話しかけられる。地震というものを体験した事が無い人にとってはM9と聞いても実感無いのは仕方が無い。それでも津波の映像は衝撃的で、「自然の力の偉大さや地球が人間の都合とは全く関係なく動き生きていることを実感した」という感想が多かった。原子力発電に関しての関心も高く、自分の国にあったらどうなるのだろうか、実際の放射能の被害というのはどのように健康を害するのか興味が高い様子。
自分のサイトにどんな写真をUPしようか迷っていたところ、「日本は追悼ムードではないよ、生き残った人たちがこの先をどう凌ぐか、という時なんだ」と聞き納得。
暖かい色味を選び、日本で買ってきた折り紙で願いを込めて鶴を折りました。
原子力発電所の被害がこれ以上悪化せず、被災者の方々がどうか1日でも早く穏やかな生活に戻られますように。
春の日差しが早く訪れ、避難生活をしなければならない方々の体と心を温めてくださいますように。
そしてこの出来事を利用しようとするあらゆる悪事が避けられ、未遂に終わりますように。
6月4日より公開となるアイスランド産スラッシャー・ムービー『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』。ロケ地のアイスランド首都レイキャヴィクに到着した裕木奈江さんが、いよいよ始まった撮影の様子を写真とともに伝えてくれます。
この後なかなか大きなお魚を釣り上げていらっしゃいました。
撮影開始!
衣装合わせやメイクテストを済ませ、いよいよ撮影。
現場では「様々な国からホエールウォッチングにきた観光客」が主役の映画なので、俳優もブラジル、イギリス、フィンランド、フランス、そして日本(私)とバラエティ豊か。あわせてスタッフも、撮影はフィンランド、衣装さんはイギリスから来ていて現場では様々なアクセントの英語が飛び交う。ほとんどの撮影が船上で行われるので、一度港を出るとなかなか岸には上がれない。慣れないうちはみな船酔いにかかり無表情に。地元の女優さんは慣れた手つきで釣りを始め、夕ご飯をキャッチしていた。流石です。
ボートに撮影の為の人が乗り込む。
海の色、空の色はすばらしく特別で、鉛がかった薄い青色は冬の知床の海を思い出させる。液体金属のような質感。 初めてのモノを目が見た時に脳がそれを取り込んでいる、その感触がわかる。既にある似た情報を探して、その近くに書き込んでいる感じ。子供の頃はこれの連続だったのだろうな。この感覚が好き。
船上にて、競演の俳優さんたち。寒そう。
私の役は「ストレスがたまっていて今にも爆発しそうな歯並びの悪い日本人女性」とあった。脚本家は誰をモデルにしたのだろうか?日本女性の役というとだいたい髪が長くておしとやか、か、原宿に居そうな(外国人から見て)女のコの役がオーディションでは多いので、この設定は珍しかった。アイスランドのバーでヒステリーを起こした日本人女性の一行にでも遭遇したのだろうか?アイスランドに来るようなら自然が好きな人だろうから、私が演じるような女性はそうは居ない筈だけれど。とにかく腰近くまで伸びていた髪を肩上まで切り、眼鏡をいくつか選んで役作り。
眠れる時に寝ておく。
メイクさんは色々テストした末、エアブラシのファンデーションを使う事に。均一に奇麗について自然。歯並びはどうしよう?と聞くと歯に陰を作るマニキュアを試したいという。極端にはかわらないけれど、寄りで撮るようならまた考えよう、という事になった。
しかし、撮影は海の上。せっかくブローしてもらった髪もすぐに潮風でしなしなに、そして風に煽られぐちゃぐちゃになってしまう。
それをなんとか見れるように整えながら撮影するのだから、メイクさんは大変なのです。カメラの準備ができると急かされるしね。ありがとうアスラちゃん(アイスランド人のメイクさん)。
撮影の様子、次回に続く。
機材重いですよね、特に揺れてる船上では。お疲れさまです!
(写真・文:裕木奈江)
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■裕木奈江 Flickrページ
『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』
6月4日(土)より銀座シネパトス、新宿K's cinemaほか全国順次公開
監督:ジュリアス・ケンプ
脚本:シオン・シガードソン(『ダンサー・イン・ザ・ダーク』サウンドトラック作詞家)
プロデューサー:イングヴァール・ソルダソン、ジュリアス・ケンプ
音楽:ヒルマー・ウーン・ヒルマソン
出演:ピーラ・ヴィターラ、裕木奈江、テレンス・アンダーソン、ミランダ・ヘネシー、ガンナー・ハンセン、他
2009年/アイスランド/90分/英語
配給:アップリンク
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