![[CINEMA]『180°SOUTH／ワンエイティ・サウス』クロスレビュー「決してぶれない貫き通すものを持ち、同じ志を持つ家族や友人がいる人生。その誠実さが人の心を動かす」](/article_images/20110117/2827_1295246981_l.jpg "[CINEMA]『180°SOUTH／ワンエイティ・サウス』クロスレビュー「決してぶれない貫き通すものを持ち、同じ志を持つ家族や友人がいる人生。その誠実さが人の心を動かす」")
(c) 2009 180°SOUTH LLC.
パタゴニアの創業者であるイヴォン・シュナイダードとノース・フェイスの創業者であり登山家であるダグ・トンプキンスは、1960年代初頭に当時まだ未開だった南米パタゴニアへの旅を企てる。16ミリのカメラで撮られたその旅の記録を知った青年ジェフ・ジョンソンは、彼らの冒険の逸話に憧れ、ふたりと同じ行程を辿ってみたいという素朴な契機から荒々しい自然へ乗り出していく。
まだ見たことのない場所へ出かけてみたいという欲求、知らない人との出会い、そして自然の発見と感動への入り口としてこの『180°SOUTH／ワンエイティ・サウス』は極めてパワフルな視覚的体験を与えてくれる。長きにわたりサーファーとして活動を続け、ドキュメンタリー作家としての才能も発揮する監督のクリス・マロイは、目もくらむ絶壁やそびえ立つ大きな波に立ち向かう人たちの姿をシンプルに映し出す。
(c) 2009 180°SOUTH LLC.
日本では20代など若年層の海外旅行者数が2000年以降減少していることがたびたび報じられている。不況やインフルエンザの流行といった現象を別にしても、日本の若者に海外へ旅に出ることについての関心が低くなっていることは言えるだろう。旅にどのような価値や意味合いを持てばいいのかを感じていることもその理由になるのではないだろうか。
自分も何かやってみたいと思わせる作品こそ理想の表現なのだとしたら、ジャック・ジョンソンやメイソン・ジェニングスといった名うてのサーフ・ミュージックたちが参加したサウンドに彩られた今作は、なにか行動を起こしたいけれどなかなか心と体が動かないと感じている人にとって格好の教材となるだろう。もちろんそのアクションは決して地理的な旅に留まらない。苦楽を共にした友人たちとの結びつき、そして異なる価値観を持つ人の存在を認めることこそ旅の源泉なのではないかということを今作を通してあらためて感じるのである。
(c) 2009 180°SOUTH LLC.
映画『180°SOUTH／ワンエイティ・サウス』
2011年1月22日（土）より、渋谷・シネクイントにて【20日間限定】ロードショー！
ほか全国順次公開！
監督・脚本・編集：クリス・マロイ
プロデューサー：ティム・リンチ
音楽プロデューサー：エメット・マロイ
エグゼクティブ・プロデューサー：リック・リッジェウェイ
撮影：ダニー・モダー
出演：イヴォン・シュイナード、ダグ・トンプキンス、ジェフ・ジョンソン、キース・マロイ、マコヘ、ティミー・オニール 他
原題：180°SOUTH／2009年／アメリカ／カラー／87分／HD／ヴィスタ／英語・スペイン語／デジタル
提供：レイドバック・コーポレーション、キングレコード、グリーンルーム
共同配給：グラッシィ、スタイルジャム
協力：パタゴニア
後援：アルゼンチン共和国大使館
公式サイト
