骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2011-01-15 14:46


新しい視点で映像制作について学ぶ!アップリンク「デジタル・ムービー・ワークショップ」ゲスト講師回の様子をレポート

なぜ撮影のマイクは上から下に向けたほうがいいのか?ミュージック・ビデオのカット割りの秘訣は?山本タカアキ、タケイグッドマン両氏が答える。
新しい視点で映像制作について学ぶ!アップリンク「デジタル・ムービー・ワークショップ」ゲスト講師回の様子をレポート
アップリンクのデジタル・ムービー・ワークショップにゲスト講師として登場した山本タカアキ氏

アップリンクでは配給サポート・ワークショップとデジタル・ムービー・ワークショップという2つのワークショップを開催している。映像制作のワークショップであるデジタル・ムービー・ワークショップでは、今までナビゲーターの浅井隆の他に様々な分野の映像制作に関わる方々をゲスト講師に迎えてきた。昨年12月に終了した第24期デジタル・ムービー・ワークショップで行われた2回のゲスト講師回の模様を紹介する。




■第1回ゲスト講師 山本タカアキ(録音技師)9/22(水)

映画 『SR サイタマノラッパー』、『ライブテープ』といった話題作を続々と手掛ける若手録音技師・山本タカアキ氏を迎えて行った第1回ゲスト講座。

「撮影中の録音で、マイクを下から上に向けるのと上から下に向けるのとでは、絶対に上から下に向ける方がいい理由があるんです」。山本氏は撮影中のマイクの扱い方について具体的にレクチャーを行った。

「マイクを上から下に向けると絶対影が落ちるリスクとかが高いじゃないですか。下から上に向けるとそういうリスクは少ないのですが。だけど音的には上から下に向けた方がいい理由があって。マイクを上に向けるとその先に何がありますか?空がありますね。下に向けるとあるのは地面だけなので、余計な音がないんですよ。上に向けちゃうと、例え飛行機とかが飛んでいなくても、聞こえないノイズがうずまいているんですよ。それが入ってしまうので、マイクは基本的に上から下に向けて狙います」。

講義中、参加者から撮影中にどうしても環境ノイズが入ってしまうとの相談があった。「その原因がどれかを僕らは現場に行って一つ一つ探るんですね。例えば今この場所で何が聞こえるか。プロジェクターのファン音が一番うるさいとか、隣でパーティーやってる音がするとか、原因がいくつかありますね。そのときにガンマイクを使えばパーティーの音は解決できるとか、マイクをプロジェクターに向けなければノイズが入らないとか、一つ一つ原因の解決に向けて対処していく。でも、結局都合の良い無音にすることは無理なんです。たとえ無音で録れたとしても作品として気持ち悪いと思うんですよ。リアリティがない。動いている世界を撮るのが映画だと思うので、それは全部ふまえて、これはいる音、これはいらない音っていう判断を演出して音を録り、作品を作っていくのが大事だと思いますね」

最後に山本氏はこう結んだ。「今まで映画ってあまり音がどうこう言われたことはなかったので、こうやって多くの人に話を聴いて頂けて本当にうれしいです」。

写真1
この日は山本氏の盟友・富永昌敬監督も特別参加した



■第2回ゲスト講師 タケイグッドマン(映像作家)12/15(水)

「僕、踊るのが好きなんですけど(笑)編集している時も、踊りとかラップのフローのような感覚でカットを割って、自分にとって心地よいリズムを作って行くように心掛けてます」。受講生からミュージック・ビデオを作る際のカット割りのコツについて質問され、映像作家・タケイグッドマン氏は答えた。

自身が編集した小島麻由美のライブDVD『BLUE RONDO LIVE!』の映像を観せながら、タケイ氏は続ける。「この映像も実は踊りながら編集していました。全てのカットのタイミングを音楽のリズムに合わせるのではなく、映像の中で気になる部分があればその切れ目まで映像をひっぱる。そうすることでリズムにのったカット割りにひっかかりが生まれて、面白い効果を生み出すんです」。

「作る方法がわからなくても、作りたいっていう意欲が大事」講義の締めくくりに、受講生へのメッセージとして、タケイ氏は自身の経験を交えながら、こう熱く語った。「詳しい専門知識なんてなくてもビデオは作れる。専門用語が分からなくても、やりたいっていうアイディアがひらめいたり、ひらめかなくても何か面白いことやりたいという意欲があれば作れるんです。僕は今までそれだけで映像を作ってきました。今日はそのことだけを伝えようと思って来ました」。

写真3
テーブルの上に積み上げた膨大な量のミュージック・ビデオをランダムに再生しながらの盛りだくさんの講義となった

タケイ氏が編集を手掛けた小島麻由美のライブDVD“BLUE RONDO LIVE!"



デジタル・ムービー・ワークショップとは?

映像制作初心者から経験者までを対象とした映像制作のワークショップ。グループで映像を制作したり、映像業界のプロから貴重な話を聞いたり、参加者同士制作した映像を鑑賞し合ったりして映像制作の発想力を学んでいく。

写真4
映画監督の山岡大祐氏に脚本の書き方を学ぶ

アップリンクのワークショップでは現在、新規参加者を募集中。募集に際してワークショップの説明会も開催している。

【ワークショップ説明会】
1月12日(水)20:00-21:30(配給サポート・ワークショップとデジタル・ムービー・ワークショップ合同)
1月19日(水)20:00-21:00(デジタル・ムービー・ワークショップのみ)
1月20日(木)20:00-21:00(配給サポート・ワークショップのみ)
場所:アップリンク4F
http://www.uplink.co.jp/info/map.html




アップリンクデジタル・ムービー・ワークショップ

【概要】

■開催日
2011年1月26日~2011年7月 (隔週水曜、12回以上)

■開催場所
アップリンクLAB(4F)、アップリンクFactory(1F)

■参加費
60,000円(現金)/63,000円(クレジット)
※2期目からは半額になります!

■応募締め切り
2011年1月21日(金)

■主催・連絡先
アップリンク TEL:03-6821-6821 Email:dmw@uplink.co.jp(担当:五十嵐、梶原)

■その他詳細はこちら
http://www.uplink.co.jp/workshop/index.php

レビュー(0)


コメント(0)