(左)コント作家・ふじきみつ彦 (右)女優・内田慈氏
厳選シアター情報誌「Choice!」との連動企画"Artist Choice!"が今月よりリニューアル!ミニコーナーの記事もwebDICEでご紹介していきます。「Choice!」本誌にはインタビューの他にもさまざまな映画・演劇の情報が満載ですので、是非あわせてご覧ください。
今回は、対談コーナー"C!パートナー"より、女優・内田慈氏、コント作家・ふじきみつ彦氏のインタビューと、演劇ジャーナリスト徳永京子氏のおすすめ舞台を紹介する"ステージ・チョイス!"をお届けします。
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"C!パートナー"
女優・内田慈×コント作家・ふじきみつ彦対談
今注目のアーティストが素顔で向き合う、その愛すべき"パートナー"とは?
小劇場に限らず数多くの舞台に出演し、秋には映画初主演も果たした女優・内田慈。彼女がパートナーに選んだのは、コント作家として活躍する、ふじきみつ彦。そのなんとも言えない絶妙な距離感は、"友達の友達"以上"友達の友達"未満!?
── 二人の出会いは?
ふじき(以下F):2005年の『ニセS高原から』の時ですね。照明オペレーターの手伝いで入ってたんですけど、その時に慈ちゃんが出演してて。でも、ほとんどそこでは喋ってないですね。覚えてないでしょ。
内田(以下U):覚えてますよ。ただ、「照明オペのふじきさんでーす」みたいな紹介もなかったし、最初の印象は、つるがもみあげみたいになってるメガネの不思議な人っていう(笑)。公演終わってから、鍋、行きましたよね。
F:その時にちょっと喋ったかな。鍋行ってもあまり周りに打ち解けられなくて、打ちひしがれて帰ってるときに駅で、「また遊びましょうね」みたいなことを言ってくれたんですよ。唯一それで、今日来て良かったなって思った(笑)。
── ふじきさんから見た"素顔の内田慈"はどんな人?
F:『友達の友達』っていう企画に出演してもらった時にも鍋をやったんですけど、お酒飲んでても飲んでなくても、ずっと喋ってるんですよ。だから、うるせえなってその時は思って(笑)
U:でも、ふじきさん、ブログには「"慈ちゃん"って呼びたいのに"内田さん"と呼んでしまう」みたいなこと書いてて、そんなうるせえなんて思ってる気配は微塵もなかったですけどね(笑)
── ふじきさんをパートナーに選んだ理由は?
U:ふじきさんとは『友達の友達』を一緒にやっただけのことはあって、友達になったはずなんですけど、例えば飲もうって言っても、なかなか実現して来なかったんですね。でも最近、友達と会う度にふじきさんの話が出たり、いろんな偶然が重なって、きっと、なんか会いたいし会えそうな気がすると思っていたらこのお話を頂いたので。
F:そういうタイミングだったんですね。きっと。
(左)コント作家・ふじきみつ彦 (右)女優・内田慈氏
── ふじきさんが今後観てみたい"女優・内田慈"は?
F:舞台で内田さんを観た人から「内田慈って、エロいよね」っていう感想を聞くことが多いんですけど、観てる作品がたまたまなのか、普段のサバサバした印象からなのか、僕はあんまりそういう部分を感じないので「あ、やっぱエロいんだ」っていう感じを観たいですね。
U:そそ、それって、役柄によってはま、まずいですね…。エロいってなんですかね、危うさですかね。
── 今後挑戦してみたい仕事・役は?
U:内田:私、一応役者という肩書きですが、面白かったら本当になんでもいいんです。でも演劇バカですけど(笑)。食べ物とかでもいろんなものがぐっちゃぐっちゃに入ったものの味とか、あまりいろいろなものが整理されていない状態が好きなんです。なので、そういうぐっちゃぐっちゃな女というテーマで一人芝居もやりたいし、映画ももっとやってみたいです。言い訳できるスキは残しておきたくないですね。
── 内田さんにとって初の再演作品となる『投げられやすい石』の意気込みなど聞かせてください。
U:『投げられやすい石』再演の話があがった時点から、「これをやるまでは死ねない」と思って過ごしてきました。気持ち悪い言い方ですけど、本当に。大好きなんです。役によって、憑依するみたいな感じで向こうから来てくれる役もあれば、すごくがんばってこっちから斬り込んで行く役もあって、『投げられ~』の美紀はふっと入ってきてくれた役でした。今の私がやったらどうなるんだろうと、自分でも楽しみです。
写真:大重成男
取材協力:カフェマメヒコ渋谷店
内田 慈 (うちだ ちか)プロフィール
Birth:1983.3.12 BloodType:O From:Yokohama
ふじきみつ彦 (ふじきみつひこ)プロフィール
Birth:1974.12.19 BloodType:A From:Yokohama
出演情報
ハイバイ『投げられやすい石』
日程:2011年1月19日(水)~2月20日(日)
劇場:こまばアゴラ劇場 他、全国ツアー
作・演出:岩井秀人
出演:松井周、内田慈、平原テツ、岩井秀人
料金:3,000円 他
公式サイト
映画『ロストパラダイス・イン・トーキョー』
日程:2011年1月10日(月)~15日(土)
会場:下高井戸シネマ
監督:白石和彌
出演:小林且弥、内田慈、ウダタカキ、奥田瑛二 他
公式サイト
"ステージ・チョイス!"
演劇ジャーナリスト・徳永京子のおすすめ舞台公演をご紹介
ステージ・チョイス!M&Oplaysプロデュース『国民傘-避けえぬ戦争をめぐる3つの物語』
─ 見えない場所で何かが起きる
岩松了は隠す。この人が「静かな演劇」を切り拓いたひとりだと言われる所以は、登場人物が同時に話し始めたり、淡々としたトーンで劇が進むからではない。壁の向こう、隣りの部屋、あるいは階段の上や下といった、舞台から見えないところで何か重要なことが起きたらしいと観客に感じさせる、それが最も「静か」で「劇的」なことだと示したから。つまり、オフモードの顕在化とそれによる想像力の拡大を、実に文学的に実現したからだ。
愛嬌も色気もない不思議な新作のタイトルには、本人は無意識だろうが、岩松特有の隠す美学が潜んでいる。何しろ傘だ。差す人の姿を隠し、視線をさえぎり、雨に濡れるのを防ぐ。たとえばR&Bのプロモーションビデオには、かなりの確率でずぶ濡れの男女が登場するが、雨の中を歩いて洋服を濡らすことで、ボディラインが強調される彼や彼女に色気はあるだろうか。あるのは、わかりやすいという意味でむしろ子供っぽいセクシーさであり、次の展開に豊かにイメージが広がる文学的な色気ではない。
─ 「傘」から広がる戦争の物語
『国民傘』は戦争にまつわる3本の短編を交互に上演しながら、それぞれのエピソードのつながりが次第に明らかになっていく形態になるという。その中心が、同じ男性に想いを寄せ、罪を犯してしまった母と娘の物語。彼女達の犯罪と深く関わってくるのが傘だ。近年、独自の角度から戦争を描いている岩松だが、身を守るには心許なく、けれど人を刺す武器にもなる傘をモチーフにどんな物語を生み出すのか。俳優をオーディションで選んだ冒険心も心強い。会場はスズナリ。濃密な演劇の時間に、きっと全身ずぶ濡れになる。
作・演出:岩松了
出演:足立理(D-BOYS)、石住昭彦、佐藤銀平、浅野かや、長田奈麻 他
日程:2011年1月20日(木)~2月13日(日)
劇場:ザ・スズナリ
料金:4,500円 他
当日券:あり
上演時間:約120分
お問い合わせ先:森崎事務所 03-5475-3436
公式サイト
ステージ・チョイス!『金閣寺』
─ 演劇界の逸材・森田剛が、新しい三島ワールドへ
08年の『IZO』もよかったけれど、とにかく『血は立ったまま眠っている』(10年)が衝撃的だった。60年代の社会背景と若者の焦燥感が、寺山修司特有の詩的言語で編み上げられた戯曲を、森田剛は苦労のあともなく体現して見せてくれた。あれができた俳優に死角があろうか。だから『金閣寺』も、森田が主演の点でも、心配していない。三島由紀夫×宮本亜門の世界を、安心して堪能しよう。
演出:宮本亜門
原作:三島由紀夫
出演:森田剛、高岡蒼甫、大東俊介、中越典子、瑳川哲朗 他
日程:2011年1月29日(土)~2月14日(月)
劇場:KAAT神奈川芸術劇場 ホール
料金:8,500円 他(前売券は売切)
当日券:1月上旬以降に発表
上演時間:約180分予定
お問い合わせ先:チケットかながわ 045-662-8866
公式サイト
ステージ・チョイス!東京芸術劇場プロデュース『チェーホフ?!』
―脚本が絵コンテ。きっと史上初のチェーホフ
元・精神科医の演出家というプロフィールは刺激的だが、タニノクロウのつくる舞台は、実際に刺激的だ。直接的な暴力や性ではなく、それらの衝動が生まれる前の静かな混沌を可視化する点で。そんなタニノがチェーホフを題材にするのだから一筋縄ではいかないと思っていたら、チェーホフが書いた小説と論文を組み合わせるという。しかも脚本はすべて絵コンテ!タイトルの「?!」も納得。
作・演出:タニノクロウ
出演:篠井英介、毬谷友子、蘭妖子、マメ山田、手塚とおる
日程:2011年1月25日(火)~2月13日(日)※プレビュー公演は1月21日(金)・22日(土)
劇場:東京芸術劇場 小ホール1
チケット料金:4,500円 他
当日券:あり
上演時間:約90分
お問い合わせ先:東京芸術劇場 03-5391-2111
公式サイト
厳選シアター情報誌
「Choice! vol.17」2011年1-2月号
厳選シアター情報誌「Choice!」は都内の劇場、映画館、カフェのほか、演劇公演で配られるチラシ束の"オビ"としても無料で配布されています。
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