(c)BELIEVE MEDIA / URBAN LANDSCAPES PRODUCTIONS 2008 ALL RIGHTS RESERVED
TOKYO MXで放送開始より映画ファンの好奇心をくすぐる日本未公開のドキュメンタリーを紹介してきた『松嶋×町山 未公開映画を観るTV』から、独自に視点でアメリカの社会や文化、政治を題材にしている9本の作品を劇場公開する『リアル!未公開映画祭』が12月25日(土)から渋谷アップリンク・ファクトリーで開催される。そのなかの一作、『ジャンデック~謎のミュージシャンの正体を追う~』は、外界との接触をほとんど行わず、通信販売を介して70年代後半から現在に至るまで60枚以上の作品をリリースし続けているミュージシャン、ジャンデックについて、彼の作品の虜になった編集者やライター、DJらの証言により浮き彫りにしていく。今回の上映にともない、2011年1月9日には同じく彼の音楽を愛する批評家の佐々木敦氏と評論家の湯浅学氏を迎えてのトークイベントも行われ、稀代のアウトサイダー・ミュージシャンの魅力について語られる。
作品情報
『ジャンデック~謎のミュージシャンの正体を追う~』
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テキサス州のアシッド・フォーク・シンガー、ジャンデック(ヤンデック)のドキュメンタリー。その経歴が謎に包まれたアーティスト、JANDEKの音楽の素晴らしさを、雑誌編集者やラジオDJの証言とともに伝えた作品。
2003年/アメリカ/88分
監督:チャド・フライドリッヒ
製作スタッフ:チャド・フライドリッヒ、ポール・フェラー
「アングラの自分」としてのイメージ作りの巧みさに衝撃
── 大槻ケンヂ
作品のタイトルにもなっている「ジャンデック」とは、ある一人のミュージシャンの名前だ。彼は1980年代から、実に30枚を超えるアルバムを自主制作で発表している。彼の曲にはメロディもほとんどなく、コード進行やサビなども存在しない。そしてその経歴の一切は謎に包まれている…。そんな謎のアウトサイダー・ミュージシャン、ジャンデックを追ったのがこの作品だ。
TOKYO MX「松嶋×町山 未公開映画を観るTV」のオンエアでこの作品を観て、個人的には強く感銘を受けた。自分は現在、フジロックだったり、アニメロサマーライブだったりと、エンタテインメントのロックを中心にやっているわけだが、元々はアングラな人間である。この作品で描かれるジャンデックのような、アバンギャルドな、前衛の道を歩んでいくという生き方もあったんじゃないか? 自分の今の表現は果たしてこれで良いんだろうか? と、自分自身に問い直してしまった。
ジャンデックの音楽自体は、確かにちょっと珍しくはあるが、そこまで目新しいというほどではない。ああいう種類のサウンドは既に存在していたりはするのである。驚くのはその自己演出の巧さ。自分の本当の姿を小出しにしながら、謎は残しつつ、さらにペースを保って新作をリリースし続けている。そこがすごい。「アングラの自分」としてのイメージ作りの巧みさには、ちょっと衝撃を受けたほどだ。
そしてこの作品は「表現」についても考えさせられる。映画と言えば3Dだ、ハリウッドだ、テレビ局がついた邦画大作だ…と、そういった作品だけが「映画」だと思っている多くの人々がいる。音楽だってそうだ。ヒットが確実に予測される、売れる音楽だけを「音楽」だと捉えている人は多い。だけど、そんな作品ばかりが「表現」なのではない。もちろんジャンデックみたいな音楽ばかりが街に溢れても困っちゃうけれど、自分から求めて、隙間をぬって探し出さないと見つけることのできない「表現」も、確かに存在しているのだ。そういう意味でこの「ジャンデック」という作品は、「松嶋×町山 未公開映画を観るTV」というテレビ番組や「松嶋×町山 未公開映画祭」というウェブ配信企画の、根本的なテーマを具現化した一作と言えるだろう。
…と言いつつ、最後に一つだけもの申したいこと。TOKYO MXでのオンエアのときに参考資料の映像としてジャンデックのライブシーンが放送されたんだけど、彼が演奏してたギターが今時のエレアコだった。これ、わりとキチンとバンドでフュージョンやポップスをやるようなミュージシャンが使うギターなんだよね。ジャンデックがそんなオシャレなギターを弾いてちゃいかんでしょ!これだけアングラな自己演出してるんだったら、戸板を継ぎ合わせたようなボロボロのギター持って来いよ~!と、そこだけは納得することができないのだった。
(『松嶋×町山 未公開映画祭』ホームページより)
■大槻ケンヂ(筋肉少女帯・特撮) プロフィール
1966年2月6日生まれ。1982年筋肉少女帯結成、1999年脱退後ロックバンド「特撮」 結成。ボーカリストとして活動を開始。現在はアンプラグドやソロユニットのLIVE活動も精力的に行っている。2006年「筋肉少女帯」が8年振りに復活をつげる。他に、新宿ロフトプラスワンで開催している大槻ケンヂの「のほほん学校」は100回を超えるおもしろトーク&LIVEイベントといて毎回様々なゲストを迎え行われている。エッセイスト、小説家としても活躍。SF小説の星雲賞2年連続受賞。『くるぐる使い』で吉川英治文学新人賞候補。02年自伝的小説『リンダリンダラバーソール』を上梓。現在、WEEKLY「ぴあ」にてエッセイ「神菜、頭をよくしてあげよう」連載中。最新刊はメディアファクトリーより長編小説「縫製人間ヌイグルマー」、ぴあ「人として軸がぶれている」など。2007年青春長編小説「グミ・チョコレート・パイン」が待望の映画化。
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★リアル!未公開映画祭イベント情報
開催にあわせて、渋谷アップリンクにてスペシャルイベントを開催!毎回、多彩なゲストをお迎えします。
『ジーザス・キャンプ』
2010年12月25日(土)13:30の回
ゲスト:辛酸なめ子さん(漫画家・コラムニスト)×島田裕巳さん(宗教学者)
予約・イベント詳細はこちら
『ビン・ラディンを探せ!』
2010年12月25日(土)18:30の回
ゲスト:松江哲明さん(ドキュメンタリー監督)×岩田和明さん(映画秘宝)
予約・イベント詳細はこちら
『ステロイド合衆国』
2010年12月26日(日)13:30の回
ゲスト:板垣恵介さん(漫画家)
予約・イベント詳細はこちら
『フロウ』
2010年12月26日(日)18:30の回
ゲスト:吉村和就さん(グローバルウォータ・ジャパン代表、国連環境技術顧問)
予約・イベント詳細はこちら
『カシム・ザ・ドリーム』
ゲスト:下村靖樹さん(フリージャーナリスト)
2011年1月8日(土)20:30の回
予約・イベント詳細はこちら
『金正日花/キムジョンギリア』
ゲスト:土井香苗さん(国際NGO ヒューマン・ライツ・ウォッチ 日本代表)
2011年1月8日(土)13:30の回
予約・イベント詳細はこちら
『ジャンデック』
ゲスト:佐々木敦さん(批評家)×湯浅学さん(評論家)
2011年1月9日(日)20:30の回
予約・イベント詳細はこちら
『クルード』
ゲスト:藤岡亜美さん(スローウォーターカフェ有限会社代表 / 環境NGOナマケモノ倶楽部共同代表)
2011年1月9日(日)13:30の回
予約・イベント詳細はこちら
『ビーイング・ボーン』
ゲスト:堀口貞夫さん(産婦人科医)
2011年1月10日(月・祝)13:30の回
予約・イベント詳細はこちら
『リアル!未公開映画祭』
2010年12月25日(土)より渋谷アップリンク・ファクトリーほか全国順次公開
TOKYO MXで絶賛放映中の人気番組『松嶋×町山 未公開映画を観るTV』で紹介された、政治、宗教、人種、教育、ビジネスなどなど、様々な題材を扱った日本未公開の海外ドキュメンタリーの中から厳選した9本を劇場で公開!
『リアル!未公開映画祭』公式サイト
『ジャンデック』上映日時:
12/25(土)16:30、12/28(火)10:45、12/29(水)12:30、1/4(火)10:45、1/5(水)12:30、1/7(金)10:45、1/9(日)20:30
★『ジャンデック~謎のミュージシャンの正体を追う~』イベント情報
日時:2011年1月9日(日)20:30の回『ジャンデック』
場所:渋谷アップリンク・ファクトリー
ゲスト:佐々木敦さん(批評家)×湯浅学さん(評論家)
予約・イベント詳細はこちら
★追加上映が決定!
『カシム・ザ・ドリーム』1/15(土)1/19(水)各日13:00~
『ステロイド合衆国』1/18(火)13:00~ 1/20(木)11:15~
『ジーザス・キャンプ』1/16(日)1/19(水)各日11:15~
『ビン・ラディンを探せ!』1/15(土)1/18(火)各日11:15~
『金日正花』1/16(日)1/20(木)各日13:00~
『クルード』1/12(水)11:15~
『ジャンデック』1/12(水)13:00~
『フロウ』1/13(木)11:15~
『ビーイング・ボーン』1/13(木)13:00~
場所:渋谷アップリンク・ファクトリー
▼『リアル!未公開映画祭』予告編
松嶋×町山『未公開映画祭』
1作品ワンコインで72時間、VOD配信中!
『ジャンデック』もVODにて配信中。『未公開映画祭』は、1作品ワンコイン500円で購入することができ、全39作品フリーパス(10,000円)や、5作品選べるコース(2,000円)も用意されている。
松嶋×町山『未公開映画祭』公式サイト
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・一括購入ページはこちら
書籍
『松嶋×町山 未公開映画を観る本』
過激でアブない危未公開映画を大公開!
TOKYO MXでオンエア中(金曜23:30~24:30)の「松嶋×町山 未公開映画を観るTV」がついに単行本化!NO.1映画評論家にして人気コラムニストの町山智浩とお笑い界の"迷言女王"ことオセロの松嶋尚美が過激でアブない未公開映画をおもしろまじめなトークで大公開!! 町山氏セレクトによる未公開のドキュメンタリー映画を松嶋さんとの軽妙なトークで浮き彫りに。さらに、映画から見えるとんでもない"世界の現実"を説き明かす! 町山氏の書き下ろし解説&ふたりの特別対談付き。
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