『ゴダール・ソシアリスム』より (C)フランス映画社
今年5月に開催されたカンヌ国際映画祭2010のある視点部門で上映され話題を呼んだジャン=リュック・ゴダールの最新作『ゴダール・ソシアリスム』が日本でもロードショー公開される。それに先立ち、世界の映画界に多大なる影響を及ぼした彼の変遷を代表作で追う『ゴダール映画祭2010』が11月27日(土)よりTOHOシネマズ シャンテで開催される。今回のプログラムで上映されるのは、言わずとした長編デビュー作であり、ヌーヴェル・ヴァーグの代表作『勝手にしやがれ』そして、アンナ・カリーナとジャン=ポール・ベルモンド扮する男女の逃避行を鮮やかに描いた「気狂いピエロ」、そして全8章から成る『映画史』を新たに編集した『映画史特別編 選ばれた瞬間』をはじめとした短編長編含む計10作品。いずれも、現存するなかで最も程度の良い状態の35mmフィルムが用意され、上映される。全編HDカムで撮影され、数々の映画や本や音楽からの引用をちりばめ、映像と音響と詩による見事なアンサンブルで圧倒する『ゴダール・ソシアリスム』公開前に、1960年代から2010年代に至るまで、革新的な映画制作を続け、今年80歳を迎えるゴダールの軌跡を振り返ってみてはいかがだろうか。
【『ゴダール映画祭2010』上映作品】
『勝手にしやがれ』(1959)
ジャンピング・カットや隠し撮りなど、古い映画文法を破壊して、世界の映画を変えた金字塔的な傑作。
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、ジーン・セバーグ
撮影:ラウール・クタール
1959年/フランス/35mm/BW/89分
『気狂いピエロ』(1965)
アナーキーで暴力的な犯罪に彩られていく、ヌーヴェル・ヴァーグの頂点を極めた記念碑と言える作品。
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、アンナ・カリーナ
撮影:ラウール・クタール
音楽:アントワーヌ・デュアメル
1965年/フランス/35mm/カラー シネスコ/109分
『映画史特別編 選ばれた瞬間』(2002)
1988年から1998年にかけて完成した5時間を超えるデジタルビデオ大作『映画史』全8章の普及版として完成。
出演:ゴダール
音楽:アルヴォ・ペルト、ヒンデミット、ベートーヴェン、バルトーク、シューベルトほか
2004年/フランス/35mm/カラー/80分
『右側に気をつけろ』(1987)
ゴダールはドストエフスキー『白痴』を愛読する殿下の役で出演も。80年代ゴダールの最高作と絶賛される。
出演:レ・リタ・ミツコ、ゴダール、ジェーン・バーキン、フランソワ・ペリエ
1987年/フランス/35mm/カラー/81分
『はなればなれに』(1964)
即興の香りが全編に漂う、タランティーノ、ヴェンダース、エリセが愛するゴダール・ベストワン映画。
出演:アンナ・カリーナ、サミー・フレイ、クロード・ブラッスール
撮影:ラウール・クタール
音楽:ミシェル・ルグラン
1964年/フランス/35mm/BW/96分
『ウイークエンド』(1967)
パリ16区のブルジョワ夫婦を主人公に、地球と宇宙を、20世紀と古代を、叙事詩的に縦断していく。
出演:ミレイユ・ダルク、ジャン・ヤンヌ、ジャン=ピエール・レオ、アンヌ・ヴィアゼムスキー
撮影:ラウール・クタール
音楽:アントワーヌ・デュアメル
1967年/フランス/35mm/カラー/95分
『JLG/自画像』(1994)
JLGことゴダールが自らを描く。詩人にして哲学者の映画作家の内面が痛切に心をうつ。
出演:ゴダール、ジェヌヴィエーヴ・バスキエ
音楽:アルヴォ・ペルト
1995年/フランス・スイス/35mm/カラー/62分
『フォーエヴァー・モーツアルト』(1996)
カミーユはミュッセ『戯れに恋はすまじ』をボスニア紛争勃発のなかで上映しようと決心する。
出演:マドレーヌ・アサス、ヴィッキー・メシカ
音楽:デイヴィッド・ターリングほか
1996年/フランス・スイス/35mm/カラー/84分
短編:『シャルロットとジュール』(1958)
まだ無名だったゴダールがまだ無名のベルモンドとコレットを主演に自分のアパルトマンで撮った短編。
出演:ジャン=ポール・ベルモンド(声はゴダール)、アンヌ・コレット
1958年/フランス/BW/14分
短編: 『フレディ・ビュアシュへの手紙』(1981)
スイスのローザンヌ市誕生500年を記念して作られた短編。映画論、都市論、人生論が展開する。
出演:ゴダール
音楽:ラヴェル「ボレロ」
1981年/スイス/35mm/カラー/12分
『ゴダール映画祭2010』
期間:2010年11月27日(土)~12月17日(金)
会場:TOHOシネマズ シャンテ
※上映時間・料金などの詳細につきましては、
公式サイトをご覧ください。
『ゴダール・ソシアリスム』
2010年12月18日(土)TOHOシネマズ シャンテにて公開、全国順次
監督:ジャン=リュック・ゴダール
監督部:ファブリス・アラーニョ、ポール・グリヴァス、ルーマ・サンバール、アンヌ=マリー・ミエヴィル、ジャン=ポール・バタジア
撮影:ファブリス・アラーニョ、ポール・グリヴァス
サウンド:フランソワ・ミュジー、ガブリエル・アフネール
製作:ルート・ヴァルトブルゲール、アラン・サルド
2010年/スイス・フランス合作/92分/デジタル(16/9)、35MM フィルム(1x1.66、全6巻)、DTS DOLBY /仏語ほか10か国語/日本語字幕=2010 映画史字幕集団/字幕および資料監修協力=浅田彰、堀潤之、松岡葉子、古賀太、土田環、PAUL GRIVAS、JEAN-MICHEL FRODON、FABRICE ARAGNO