骰子の眼

stage

東京都 豊島区

2010-11-03 20:48


クリストフ・マルターラー、飴屋法水、高山 明など世界の舞台芸術作家が〈脱物語〉〈脱劇場〉を掲げ集結。フェスティバル/トーキョー10開催中

2010年のテーマは「演劇を脱ぐ」。演劇創造の方向性を探求する国内最大の国際舞台フェスティバル。
クリストフ・マルターラー、飴屋法水、高山 明など世界の舞台芸術作家が〈脱物語〉〈脱劇場〉を掲げ集結。フェスティバル/トーキョー10開催中
クリストフ・マルターラーによる『巨大なるブッツバッハ村』より

日本最大の国際舞台芸術フェスティバルフェスティバル/トーキョーが11月28日(日)まで開催されている。3回目を迎える今年は「演劇を脱ぐ」というキーワードを掲げ、世界各国から先鋭的な表現を志すアーティストたちが一同に会している。F/Tが主催する作品が15演目、公募プログラムが8演目、F/Tと同時期に開催される参加作品が3演目の合計26演目が208上演行われている。海外からはクリストフ・マルターラー、ロドリゴ・ガルシア、ジゼル・ヴィエンヌといった新たな物語性を模索する演出家や、ロジェ・ベルナットのような劇場から離れ広場を演劇化する試みを行う作家が参加。そして国内からも勅使川原三郎、黒田育世、飴屋法水といった日本を代表する演出家が新作を携え登場。出演者・参加者たちがそれぞれの演劇創造の可能性を探求するこのフェスティバル/トーキョーから、注目すべき演目を紹介する。




■F/T主催作品

『パブリック・ドメイン』
演出:ロジェ・ベルナット【スペイン】

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公演日時:11月6・7日(土・日)、11月13・14日(土・日)、11月20・21日(土・日)、11月27・28日(土・日)
会場:池袋西口公園

バルセロナを拠点に公共空間でのパフォーマンスの可能性を探求するアーティスト、ロジェ・ベルナット。広場に集まった大勢の観客たちはヘッドフォンを装着し、そこから流れる指示に従って行動。プライベートから社会的な話題まで膨大な質問に答えながら、いつの間にか個人が織り成す集団的スペクタクルが立ち現れる。「パブリック」を問う観客参加型演劇。




『巨大なるブッツバッハ村』
演出:クリストフ・マルターラー【スイス】、舞台美術:アンナ・フィーブロック【ドイツ】

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11月19日(金)~21日(日)
会場: 東京芸術劇場 中ホール(東京都豊島区西池袋1丁目8番1号)[地図を表示]
製作:ウィーン芸術週間
共同製作:ナポリ演劇祭、ヘレニック・フェスティバル(アテネ)、アヴィニョン演劇祭、ヴロツワフ国際演劇祭、 クール劇場、フェスティバル/トーキョー

ポストドラマ演劇の巨匠・クリストフ・マルターラーによる満を持しての初来日公演がついに実現。極度に引き延ばされた時間、繰り返される空虚な身振り、絶妙のアカペラにのって浮遊する声、ことば。どうしようもなくコミカルでもの哀しい奇跡の音楽劇が描くのは、滅びゆく社会へのノスタルジーか、高度資本主義がもたらす未来への痛烈な警鐘か?近年はパリ・オペラ座の演出も手がける舞台美術家アンナ・フィーブロックによる美術も必見。




『わたしのすがた』
考案:飴屋法水

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公演日時:11月28日(日)まで

F/T09では『転校生』『4.48サイコシス』を演出し、日本演劇史に鮮烈かつ不動の1ページを書き加えた飴屋法水。演劇、美術、音響、動物店の経営など、さまざまなフィールドを越境しながら、一貫して「生命」や「身体」を見つめ続けてきた彼が、ついに戯曲も舞台も俳優もない、脱・演劇的装置の作成に取り組む。今回飴屋が着目したのは「不動産」。かつて誰かがそこに存在し生を営んでいた空間、しかし今は誰も存在しない場所。にしすがも創造舎を基点に、観客はたったひとりで4箇所の「不動産」を訪れ、そこに息づく事物や生物、物質、言葉と対峙する。複数の生や時間が交錯する場所/非場所で、見る者はどんな「わたしのすがた」を見出すのだろうか?




『完全避難マニュアル東京版』
構成・演出:高山 明(Port B)

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公演日時:11月28日(日)まで
会場:都内山手線29駅周辺

出会いカフェなど既存の風俗産業の形式を引用した『個室都市 東京』に続き、現代の「個」と「コミュニティ」の関係に揺さぶりをかける高山 明。本作では山手線各駅周辺29か所に設定した「避難所」を軸に、都市の不可視なコミュニティと観客を繋ぐシステムそのもの構築する。ネット上から、観客を都市の現実へと接続する「脱・演劇」への挑戦。




■F/Tステーション関連プログラム

『カフェ・ロッテンマイヤー』
企画・演出:やなぎみわ(美術作家)

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10月30日(土)~ 11月28日 (日)各週末(土・日)、11月23日(火・祝)
演劇公演日程:11月23日(火・祝)、27日(土)、28日(日)
会場:東京芸術劇場前 F/Tステーション内

国内外で活躍する美術作家・やなぎみわのプロデュースによるカフェ、その名も『カフェ・ロッテンマイヤー」。「ロッテンマイヤー」といえば小説やアニメでおなじみの『アルプスの少女ハイジ』に登場するクララの厳しい執事。今回そのキャラクターをモデルに、カフェ店員としてフェスティバルを盛り上げる「おばあちゃんメイド」を公募にて選出、給仕と料理パフォーマンスでお客様をしつけ(もてなし)る。さらに最終週には、演出:やなぎみわ/出演:おばあちゃんメイドによる演劇公演の開催も予定。執事喫茶の聖地・池袋で繰り広げられる新たなメイドカフェの誕生となる。




フェスティバル/トーキョー10 FESTIVAL/TOKYO
11月28日(日)まで開催

会場:東京芸術劇場(東京都豊島区西池袋1丁目8番1号)[地図を表示]、
あうるすぽっと[豊島区立舞台芸術交流センター](豊島区東池袋4丁目5番2号 ライズアリーナビル2F)[地図を表示]、
にしすがも創造舎(東京都豊島区西巣鴨4-9-1)[地図を表示]、
シアターグリーン(豊島区南池袋2-20-4)[地図を表示]、
自由学園明日館(東京都豊島区西池袋2-31-3)[地図を表示] ほか
主催:フェスティバル/トーキョー実行委員会 東京都、豊島区、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)、財団法人としま未来文化財団、NPO法人アートネットワーク・ジャパン
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