骰子の眼

cinema

東京都 新宿区

2010-09-10 13:08


[CINEMA]「アフリカのどん底で生きる理不尽さが根底にあるが、それは決してネガティブなものではない」『ベンダ・ビリリ~もう一つのキンシャサの奇跡』レビュー

身体のハンディキャップを抱えつつも、しっかりと未来へ繋ぐ橋渡しをしようと道を切り開いていく姿に尊敬の念を抱く。
[CINEMA]「アフリカのどん底で生きる理不尽さが根底にあるが、それは決してネガティブなものではない」『ベンダ・ビリリ~もう一つのキンシャサの奇跡』レビュー

映画『ソウル・パワー』で描かれているキンシャサでの音楽フェスティバル『ザイール'74』、ジェームス・ブラウンをはじめアメリカとアフリカのミュージシャンの邂逅の場となったその会場に、スタッフ・ベンダ・ビリリのメンバーもオーディエンスとして参加していた。彼らの生み出す野性的なファンクネスの起源がJBにあることは自明の理だ。しかしこの映画は、そうした彼らのバンド・サウンド誕生の秘密はもちろんのこと、コンゴ民主共和国のストリートの現状をつぶさに捉えるカメラと、そこに生きるストリート・チルドレンとバンドとの交流にこそ醍醐味がある。

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なぜこんな場面を撮ることができるのか、と驚くほかない決定的瞬間(それは数々の事件のみならず、人と人との出会いについても同様だ)を押さえる撮影クルーのスピリットには終始頭が下がる。過酷な状況においても、常に社会からはじき出されてしまった庶民としての批評精神とグルーブの追求を忘れないミュージシャンたちのたくましさは、どんな感動物語よりも心を揺さぶられる。そして街に放り出された少年ロジェがリーダーのリッキーの指導によりバンドの一員としてスキルアップを遂げ、ヨーロッパツアーを敢行するまでとなる様子は、バンドのサクセスストーリーという要素を超えて、ひとりの男の成長譚として多くの観客の気持ちをつかむだろう。

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9月19日からは来日ツアーもスタート。渋さ知らズのライブへのゲスト出演や、ジャスティン・アダムズ&ジュルデー・カマラ、ヴィクター・デメとともに出演する『World Beat 2010』が10月11日に日比谷野外音楽堂で開催されるなど、約1ヶ月間にわたり、様々なイベントやフェスティバルに出演が決定している。〈車椅子に乗ったストリートロッカーズ〉をぜひ生で体感してほしい。


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『ベンダ・ビリリ~もう一つのキンシャサの奇跡』

9月11日(土)、シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー!
監督:ルノー・バレ&フローラン・ドラテュライ
2010年/フランス/87分/1:1.85/Dolby SRD
原題:BENDA BILILI!
提供:プランクトン
配給:ムヴィオラ、プランクトン
公式サイト


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