『デルタ 小川国夫原作オムニバス』左より、『誘惑として、』『他界』『ハシッシ・ギャング』
文学作品の映画化が相次ぐ今、近代文学における“内向の世代”を代表する作家・小川国夫の作品をオムニバス映像化。
創作の場として郷里・藤枝(静岡県)を選び、生涯そこを離れることなく独航の立場を取り、自作のテーマとスタイルを追求し続けた孤高の文士、小川国夫。その文体は、誇張でも主張でもなくただそこに在るもの・在る感覚を、感情や形容を極限まで抑制した言葉のみで簡潔に構成され、時に難解であるが、同時に読む者を深淵なる言葉の世界へと邂逅させる。またそこに描かれる物語は、戦中・戦後から現代への時代を背景としながら、自らの信仰とする聖書をモチーフにしたもの、大井川流域のフィクション、私小説的なものを多くの題材としている。
その作品世界に共鳴する三人の映像作家が“短編映画”というアプローチで小川文学作品に迫り、オムニバス映画「デルタ」として新風を吹き込む。タイトルの「デルタ」には、三人の映像作家によって切り取られた三種の映像、三本の小さな支流が集まり大海へと続く河口に出来た三角州(=デルタ)を意味し、また小川国夫が愛し、数多くの小説の舞台ともなった静岡・大井川の河口の”三角州”へと通じていきたいという思いが込められている。
インターネットや携帯電話などのコミュニケーションや情報が恒常化する現在。孤独と対峙し内なる声から真実を追い求めた小川国夫の諸作品を出発点とした本作は、“個”を取り戻し“今”に立ち返るためのツールとなり得るのではないか。
各作品には、演出家・美術家の飴屋法水はじめ、今、各ジャンルで注目を集めているアーティストが多数集結。撮影は、小川国夫が生き、歩き、描いた土地、藤枝で行なわれた。そうした場に生身の肉体を手にした登場人物たちが、スクリーン世界に浮かび上がる……。
『デルタ 小川国夫原作オムニバス』
7月24日(土)よりロードショー
渋谷アップリンクX
日時:7月24日(土)~8月6日(金)15:00/19:00
8月7日(土)~ 20:50
料金:一般1,500円/学生1,300円(平日1,000円)/シニア1,000円
前売鑑賞券(1,300円)劇場窓口にて好評発売中
7月17日(土)~23(金)アップリンク・ファクトリーで関連上映イベント開催!
『誘惑として、』(2010年/24分)
書くことに行き詰まった作家、岩原が直面する創作と生の苦悩、そして復活の予兆を描く『マグレブ、誘惑として』と、何者にもなれない男と何者かになりたい若い女の一夜の出来事を静謐に描いた『駅の明り』を独自の解釈で映像作品化。監督は『美代子阿佐ヶ谷気分」、『USB』などのカメラマンである与那覇政之。
監督:与那覇政之
出演:飴屋法水/井上弘久/本多章一/佐久間麻由/鈴木宏侑
『他界』(2010年/20分)
ひとりの老人が失踪。老人の甥とその従兄弟、また老人の知り合いだった小説家は探しに出る。老人はどこへ行ったのか。そして甥は何故懸命になって探すのか。小説家が見たものは……藤枝の土地を背景に、歴史と時間が交錯する。監督は、インディペンデント映像制作集団「空族」でカメラを担当している高野貴子。
監督:高野貴子
出演:渡辺敬彦/他
『ハシッシ・ギャング』(2010年/24分)
第50回読売文学賞受賞の短編小説集『ハシッシ・ギャング』(文藝春秋)の表題作を原作に、幻聴を傾聴し、“消息を絶った女の声”を追いかける“私”の日常に潜む哀しみや幻想を描く。監督は、PFF入選、IFF入賞、水戸短編映像祭準グランプリなどインディーズで活躍する小沢和史。
監督:小沢和史
出演:松浦裕也/土肥ぐにゃり/金崎敬江/川屋せっちん/ミキエ
試写会に計15名様ご招待
公開に先立ち、本作品の試写会を観て400~600字程度のレビューを書いて頂ける方、15名様をご招待します。応募方法は下記から。(※当選された場合に必ず試写会に参加でき、レビューを書いてくださる方の応募をお待ちしています)
『デルタ 小川国夫原作オムニバス』試写会ご招待
日時:2010年6月25日(金)開場16:20 / 開演16:30
場所:渋谷アップリンク・ファクトリー
(東京都渋谷区宇田川町37-18トツネビル1F)[地図を表示]
渋谷東急本店右側道200m右側
【応募方法】
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■応募締切:6月23日(水)23:00
※当選者の方のみ、ご応募いただいたアカウントに6月24日(木)中にメッセージにてご連絡いたします。