なぜ、人は夢をみるのだろうか? なぜ、人は食べ続けるのだろうか? なぜ、人は永遠の命を求めるのだろうか? …人間の欲望は、この世でもっともおそろしい。
そんなコピーがついているこの映画、『タクシデルミア ある剥製師の遺言』はハンガリーの映画監督パールフィ・ジョルジが撮った作品だ。
パールフィ監督といえば、1人のおじいさんの「ハックル(しゃっくり)」が止まらなくなるにつれて、なぜか村全体がおかしくなっていく様子を描いた前作『ハックル』が、世界中の映画祭で絶賛され誰もが注目をしていた監督。今回新作のテーマは、なんと「剥製」である。「愛しいペットをいつまでも変らぬ姿で見たい」、「いや、生き物として自然に還すべきだ」などと是非の問われる題材が、大胆かつシュールに描かれている。
突然、床がぐるりと裏返る回想シーン、ポップアップ絵本に見立てた夢想の世界、冗談とも本気ともつかない大食い競争のトレーニングセンターなど、独特の映像とセンス、描写で、退屈な日常がひっくり返るトリックアート的世界が堪能できる。
ハンガリーで剥製店を営んでいる若き剥製師・ラヨシュ。彼には、第二次世界大戦で一兵卒だった祖父、共産主義時代に大食いアスリートだった父と母がいる。激動の時代に生きた肉親たちの数奇な人生とラヨシュの平凡な毎日…。なぜ、ラヨシュは「剥製」を作り続けるのか?彼がめざす究極の剥製とは何か?
『タクシデルミア ある剥製師の遺言』は、渋谷シアター・イメージフォーラムにて3月よりロードショー。
◆タクシデルミア
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◆シアター・イメージフォーラム
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◆新日本映画社/エスパース・サロウ
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