(c)2009 /「スイートリトルライズ」製作委員会
「恋をしているの。本当は夫だけを愛していたいのに」。そうつぶやく人気テディベア作家の瑠璃子を軸に、瑠璃子の夫、瑠璃子が逢瀬を重ねる青年、瑠璃子の夫を慕う後輩の4人の恋愛模様が描かれる。あるときは原作のはかない雰囲気をそのままに、またあるときはオリジナルな設定で、江國ファンをも楽しませ、原作者・江國香織も絶賛する。「夫婦の絆とは?」「結婚相手以外の人に恋をしてしまったら?」そんな素朴な質問を無意識にも心の底に抱えながらも夫そして妻以外の人に恋をしてしまう夫婦を、中谷美紀と大森南朋が、それぞれが持つ独特の空気感をまとい演じている。
簡単に言葉にしてしまうと“不倫”という一言で終わってしまう関係でありつつも、それぞれが抱える問題、感情、欲求が交差し、一組の夫婦を取り巻く人々の複雑な恋心が描かれる。夫を愛しつつも年下の青年に愛していると告げる瑠璃子、居心地が良いとはいえない家庭から逃れるために後輩からの一途な愛を受け入れる聡、けなげに聡を想い続けるしほ、恋人と別れ瑠璃子への想いが募る春夫。
物語の核となる伊豆への旅行の場面では、今回映画初出演であるバレエダンサー・小林十市ならではのシーンや、監督が全編を通して意識したという“死”へのイメージが投影されたシーンが登場する。また、『スイートリトルライズ』というタイトルが意味する“大切なもの”を守るための小さな嘘の数々が作品の中に散りばめられている。
(c)2009 /「スイートリトルライズ」製作委員会
一見フワフワと心地よく、透明な美しい世界に暮らしているかのような江國香織の世界観。それとは裏腹に、登場人物が抱える孤独や狂気、死の匂い。それらは意外にも、江國ワールドと矢崎ワールドを結びつける共通点となった。
江國香織の原作に出会ったプロデューサーの宮崎大が直感で矢崎仁司監督に依頼したところから、この作品のプロジェクトはスタートした。宮崎氏は、この映画の製作の中で「夫婦が、あるいは人が誰かと一緒に生きるということはどういうことか?」という問いに対する答えを見つけたという。この映画を観て「夫婦とはなにか?」ということについても思いをめぐらすことになるだろう。
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映画『スイートリトルライズ』
2010年3月シネマライズほか公開
原作:江國香織(幻冬舎文庫)
監督:矢崎仁司
脚本:狗飼恭子
製作:GLORY GROUP+ブロードメディア・スタジオ+日音+ポニーキャニオン
+ハリウッドチャンネル
製作プロダクション:グローリープロダクション
出演:中谷美紀、大森南朋、池脇千鶴、小林十市、大島優子、安藤サクラ、黒川芽以、風見章子
助成:文化芸術振興費補助金
宣伝:ブロードメディア・スタジオ
宣伝協力:Lem
配給:ブロードメディア・スタジオ
2009年/日本/カラー/117分/ヴィスタサイズ/DTS