(写真)舘知宏の《負曲率剛体折紙》(2009年)。会場で実際に触って変形させることができる。
自然環境や社会構成でさえもシュミレート可能にしていく仮想空間技術の進歩は、わたしたちの空間認識の方法、意識や世界観をどのように変化させていくのか。こうしたテーマをインターネット上に形成されたアーキテクチャにより表現していこうとする展示、『可能世界空間論――空間の表象の探索、のいくつか』が1月16日(土)よりICC(NTTインターコミュニケーション・センター)にて開催されている。今企画はICCで行われている、インターネット上に構築される3D仮想空間メタバースを活用する「ICCメタバース・プロジェクト」の一環として行われているもので、柄沢祐輔+松山剛士、エキソニモ、舘知宏、田中浩也+岩岡孝太郎+平本知樹という4組の作家が参加。それぞれに今後の社会設計へのアイディアを提案している。
柄沢祐輔+松山剛士の《中心が移動し続ける都市》は、2008年にノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンの著書『自己組織化の経済学―経済秩序はいかに創発するか』を独自に解釈したインスタレーション。新しい都市モデルを提示している。
(写真)柄沢祐輔+松山剛士の《中心が移動し続ける都市》(2009年)
(写真)柄沢祐輔+松山剛士の《中心が移動し続ける都市》
エキソニモの《↑》は、ネットワークの向こう側の空間とデスクトップのカーソル、見ている自分といったレイヤーによりアイデンティティが形成されているという考え方に基づき、それを攪乱するようなインターフェイスを制作。彼らの作品《ゴットは、存在する。》と連動した展示となっている。
(写真)エキソニモの《↑》(2009年)
(写真)エキソニモの《ゴットは、存在する。》(2009年)
舘知宏の《建築折紙》は、世界共通の芸術媒体となっている折紙を新たな工学デザインの手段として用い、「立体形状の折紙化」「自由折紙」「剛体折紙」という三つの折紙理論と対応するデザインツール、そしてそれを用いることで可能となった新しい折紙を展示している。
(写真)舘知宏の《建築折紙》より(2009年)
(写真)舘知宏の《建築折紙》より(2009年)
田中浩也+岩岡孝太郎+平本知樹の《オープン・(リ)ソース・ファニチャーVer.1》は、パーソナル・コンピュータの普及によって実現した個人による工作の可能性に、アルゴリズミックな生成過程を組み込むことにより、さらにデザインの可能性を拡げようする試みを植物の栽培を観察するように表現している。
(写真)田中浩也+岩岡孝太郎+平本知樹の《オープン・(リ)ソース・ファニチャーVer.1》(2009年)
(写真)田中浩也+岩岡孝太郎+平本知樹の《オープン・(リ)ソース・ファニチャーVer.1》(2009年)
『可能世界空間論――空間の表象の探索、のいくつか』展
会期:2010年1月16日(土)~2月28日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC][地図を表示]
(東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階)
開館時間:10:00~18:00
休館日:月曜日(月曜が祝日の場合翌日)、2月14日(保守点検日)
入場料:一般・大学生500円/高校生以下無料