(c)Touchstone Pictures, Inc. All Rights Reserved.
「この映画の設定は、身代わりロボットがちょうど携帯電話やコンピューターのように、社会に蔓延しているというものです」と監督のジョナサン・モストウは言う。「身体的接触がどんどん希少になっていく世界で、愛の観念はその意味を失われてしまうのではないだろうか? それがこのストーリーを通して私たちが探究しようとしたテーマです」。
これが処女作となったグラフィック・ノベル原作者のロバート・ヴェンディティがこのユニークな設定を思いついたのは、ある出版社のアトランタ郊外にある配送倉庫で働いていたときのことだ。グラフィック・ノベルのための新しいアイデアを模索していたヴェンディティは、大学生時代に読んだある社会学の本のことを思い出した。その本は、オンライン・ゲームに熱中する人々の行動を研究したもので、「彼らは、実生活の自分とゲーム上の自分を同一化し、ときには仕事や結婚生活さえも失ってしまう。自分以外の何かになりたいと思うのは、人間の根本的な願望のひとつです」とヴェンディティは回想する。
彼はそのアイデアを肉付けするため、人々がサロゲートを利用する様々な理由について想像してみた。ひとつは、自分の代わりに働かせるサロゲートを持つという実用的な理由づけ、また永遠の若さや男らしさといった理想の見た目を実現する、言わば整形手術の代わりとなる部分もサロゲートが担うという発想が生まれた。
(c)Touchstone Pictures, Inc. All Rights Reserved.
FBI捜査官のグリアー(ブルース・ウィリス)とピータース(ラダ・ミッチェル)は、ある殺人事件を捜査する任務を負ってペアを組むことになる。理想郷的な今の社会において長年発生していなかった殺人事件が起こったことで、サロゲートのテクノロジーやこの社会の将来にたいする倫理的な問題点が浮彫りになる。映画に登場するキャンター博士は、孤独好きの大資産家でMIT(マサチューセッツ工科大学)の天才でもあり、彼の画期的な実験がサロゲートの誕生につながった。車椅子生活者であるキャンターは、MITで人工四肢の研究を始めた。その研究結果として生まれたのが、脳神経から送られる信号を解読するための新しいテクノロジーであり、ここから彼は神経信号を作り物の人間に送ることが可能なことを発見した。この遠隔操作で動くサロゲートは、それを動かす生身の人間よりも身体的により完全体である。それぞれのサロゲートは、何ブロックもしくは何百マイルも離れたところにいる1人の人間と直接リンクしており、神経系を通してつながっている。
このようにして生まれたサロゲート社会は、多くの人々から支持を得る一方で、これに不快感を示す人々も少なくはない。ヴィング・レイムズ演じる《予言者》は、人間性の欠如したテクノロジー依存型のライフスタイルに強く反発する不満を持った市民グループの自称リーダーだ。モストウ監督は言う、「『サロゲート』の中核にあるテーマは、テクノロジーに依存した私たちの社会において、人はいかにしてその人間性を保ち続ければいいのかということ。テクノロジーは素晴らしいものである反面、私たちはテクノロジーに使われてしまっています。つまり生活におけるこのような新しい可能性には、ある意味、私たちを抑制する力もはらんでいるのです」
ヴェンディティは次のように結論づけている。「このストーリーは疑問を呈しているだけです。このストーリーを書いているとき、私はサロゲートが社会にとって良いものであると同時に悪いものでもあるという描きかたをしました。つまり、読み手に自分なりの解答を導き出してもらいたかったのです」。
(以上、プレスより引用)
『サロゲート』 2010年1月22日(金)ロードショー
監督:ジョナサン・モストウ
脚本:ジョン・ブランカトー、マイケル・フェリス
製作:デヴィッド・ホバーマン、トッド・リーバーマン、マックス・ハンデルマン
音楽:リチャード・マーヴィン
キャスト:ブルース・ウィリス、ラダ・ミッチェル、ロザムンド・パイク、ボリス・コドジョー、他
2009年/アメリカ/カラー/スコープサイズ/SRD/1時間29分
字幕翻訳:戸田奈津子
配給:ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン
公式サイト