「シルクロードハウス」店主ユヌス・ヤセンさん
「ウイグル料理の『ラグメン』が絶品だ」と、現在アップリンクにて公開中の映画『ウイグルからきた少年』の佐野伸寿監督がしきりに話していた。「ラグメン」は麺料理の元祖と言われており、佐野監督いわく「正直これを食べると日本のラーメンではもの足りなくなる」とのこと。また、佐野監督は映画『ウイグルからきた少年』でウイグルを一つのテーマにしているが、元々は「ラグメン」に焦点を当てたドキュメンタリーを作ろうと思っていたそうだ。
ラグメン¥700
十条駅からほど近い商店街の一角にお店を構えるウイグル&トルコ料理「シルクロードハウス」。赤い看板が目印のこのお店は、今年の5月にオープンしたばかりで、新疆ウイグル自治区出身の店主ユヌス・ヤセンさんが腕をふるう。店内にはウイグル音楽が流れ、壁にはウイグルの絵画が飾られている。「ラグメン」は、塩水でこねた手打ちの生地を伸ばし茹で上げた自家製の麺の上に、じゃがいも、玉ねぎ、ピーマン、にんにくの芽、マトン(羊肉)などの野菜炒めをかけた料理だ。麺はうどんのような見た目であるが食感はもちもちしており、トマトベースの野菜炒めとよく合う。ウイグルでは皆に愛されている定番料理であり、その家庭それぞれで具材や作り方が違うそうだ。料理へのこだわりは強く、調味料は少し高くても国産の良いものを選び、マトンは特有の香りが控えめで脂身が少なく、ウイグル料理と合う肉を専門の業者から調達しているそうだ。
マトンシシカバブ 一本¥150
ウイグル式ピラフ「ポロ」 ¥630
ウイグル式肉じゃが ¥1000
ウイグル式ワンタン ¥500
お店の経営から調理、接客までこなすユヌスさんは現在26歳。日本語がとても上手で、「小さい頃からお母さんに叱られながら料理を覚えました。料理だけじゃなく何にでも興味があって、例えば棚やテーブルを手作りすることだってできますよ」と笑いながら話す。 ユヌスさんは、お姉さんが日本に住んでいたということもあり、九州の大学に留学するために来日した。必死で勉強して日本語を半年でマスターし、授業の合間を縫って調理補助などのアルバイトをしながら経営を学んだ。大学卒業後は「スーツを着てネクタイ締めて、きれいな格好で働きたくて」保険の営業の仕事に就いた。会社では良い成績を残し活躍していたものの、「絶対に独立して大きくなり、日本人にウイグルの存在を知ってもらいたい」という想いを胸に、会社を辞め独立した。
「シルクロードハウス」外観
十条にお店を出してまだ5ヶ月。最近は常連客も増えてきたそうだが「まだまだこれから、もっと多くの人に食べにきてほしい」と意気込みを語ってくれた。ウイグル料理は日本では認知度が低いが、麺料理の元祖「ラグメン」をはじめ小麦粉を使った馴染みのある料理が多い。異国の地を想像しながら、このエキゾチックなウイグル料理を堪能してみてはいかがだろうか。
ウイグル&トルコ料理「シルクロードハウス」
所在地:東京都北区十条仲原1-9-1[地図を表示]
TEL&FAX:03-3906-7226
営業時間:11:00~24:00
定休日:水曜
交通・アクセス:JR埼京線十条駅より徒歩2分
(取材・文 神田光栄)
映画『ウイグルからきた少年』
渋谷アップリンクにて公開中、ほか全国順次ロードショー
監督・脚本・編集:佐野伸寿
出演:ラスール・ウルミリャロフ、カエサル・ドイセハノフ、アナスタシア・ビルツォーバ、ダルジャン・オミルバエフ他
配給:アップリンク
2008年/日本・ロシア・カザフスタン/65分
公式サイト