骰子の眼

cinema

東京都 港区

2009-10-24 10:00


「もう少しだけ、自分の気持ちに素直になって残りの人生を生きてみよう、と思うはず」─本日公開!『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』クロスレビュー

彼らと同じように悩みながら生きる人、そしてその家族達に希望と本当に大切なものを伝えてくれる、笑いと感動に満ちた作品
「もう少しだけ、自分の気持ちに素直になって残りの人生を生きてみよう、と思うはず」─本日公開!『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』クロスレビュー
(C)Brent J. Craig/ANVIL! THE STORY OF ANVIL

映画『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』が2009年10月24日(土)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズ川崎、TOHOシネマズららぽーと横浜、吉祥寺バウスシアターほかにて公開される。

キアヌ・リーブスやマイケル・ムーアをはじめ、アメリカでの著名アーティストが賛辞を寄せるなどして、すでにアメリカで大きなムーヴメントとなっているドキュメンタリー映画。今作の成功の要因は、サーシャ・ガバシ監督が自らの〈アンヴィル愛〉を、見事に正攻法の感動作として緻密に作り上げていることだ。リップスとロブという腐れ縁と言ってもいいふたりの男の友情、その説得力を高めるために彼らを取り巻く家族、兄弟、関係者たちの協力を惜しまない態度と愛情を丁寧に描くこと。それを決してシリアスなタッチでなく、ユーモラスに誰もが共感を覚えるかたちで表現できているのは、アンヴィル自身の天然キャラクターはもちろんだが、ガバシ監督のディレクションが要因であるように思える。

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(C)Brent J. Craig/ANVIL! THE STORY OF ANVIL

ふたりの生活とバンド活動をこれでもかといわんばかりに赤裸々に追いかけ、50代になってもロックスターになりたいという欲望に素直に忠実であろうとするメンバーの本心を露わにするカメラ。そこから、どんなことでも〈勝ち組〉〈負け組〉のふたつに分類してしまうような、過酷な生存競争の続く現在の社会で、本当に自分の求めているものを貫き通すことが、本当の〈成功〉であるということを、アンヴィルは身をもってこの映画で証明している。今作にはそんな日頃のうっぷんを解消することができるパワーと、それがどんなジャンルやカテゴリーであれ、自らがやらなければいけないことを全うすることへの爽やかさがある。

「この映画を見るまでヘヴィメタが大嫌いだった。しかしこれは、今まで見たなかでもっとも心が揺さぶられた映画だ!」というダスティン・ホフマンのコメントにもあるように、むしろこれまでヘヴィメタルを避けてきた方、興味がなかった方にこそ観ていただきたい作品だ。



映画『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』

2009年10月24日(土)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズ川崎、TOHOシネマズららぽーと横浜、吉祥寺バウスシアターほかにて公開
監督:サーシャ・ガバシ
出演:スティーヴ・“リップス”・クドロー(ANVIL)、ロブ・ライナー(ANVIL)、ラーズ・ウルリッヒ(Metallica)、レミー(Motorhead)、スコット・イアン(Anthrax)、スラッシュ(元Guns N'Roses/Velvet Revolver)、トム・アラヤ(Slayer)ほか
配給:アップリンク
2009年/アメリカ/81分
公式サイト
公式twitter
公式MySpace


アンヴィル
『This Is Thirteen~夢を諦めきれない男たち~』

映画のサウンドトラック的ニューアルバム

2009年10月21日(水)リリース
SICP-2416
2,520円(税込)
Sony Music Japan International

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レビュー(4)


  • gold-fishさんのレビュー   2009-10-21 12:13

    彼らの生き生きとした顔を見てくれ!

    音楽活動を行っている人、そして音楽活動をかつて行ったことがある人にとってはこの映画は人事の様には感じないだろう。 この映画で尤も驚いたのは、彼らの演奏に現役感があること(特にドラムのロブ・ライナーの演奏には感激した。)。 家族を養っていくことと音...  続きを読む

  • きんたま画伯さんのレビュー   2009-10-22 02:08

    キープ・オン・ロッキンを30年間どんな状況に置かれようが続けるとどうなるのか

    1982年2月、一人の大学生がロンドンの老舗ライブハウス「マーキー」で、当時頭角を現し始めたカナダのヘヴィ・メタルバンド、"ANVIL"のライブを体験した。その強烈な演奏とパフォーマンスにノックアウトされた彼は、バンドにその感動を...  続きを読む

  • makotoさんのレビュー   2009-10-22 20:13

    ロックを卒業できない男たち

    試写会の会場は開場してすぐに入ったのだけど開演までずっとANVILの「Metal On Metal」が流れていてライブが始まる前のような雰囲気でやや興奮してきた。 しばらくコンサートいってないなあと思う。 7時の開演予定の頃に監督紹介があり、...  続きを読む

  • まつばらあつしさんのレビュー   2009-10-23 10:28

    ほのぼのファッキンないいひと

     ヘヴィメタって、どうもなんか「コワい」というイメージがある。髪の毛金色に染めてたりえらく長かったり、鏡の前で怖い顔の練習してたり中指立ててファッキンなポーズとったり。アウト・ローかもしれない反逆者なのかもしれない、社会の枠組みからはみ出したバカ野郎...  続きを読む

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