『GALACTICA/ギャラクティカ』について熱弁をふるう庵野秀明監督(左)と樋口真嗣監督(右)
アメリカの人気SFテレビシリーズ『GALACTICA/ギャラクティカ』。そのスピンオフ作となる『GALACTICA:RAZOR/ペガサスの黙示録』のDVD発売記念イベント『GALACTICAサーガ補完計画』が開催され、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズで知られる庵野秀明監督、そして『隠し砦の三悪人』の樋口真嗣監督がゲストとして登場した。8月27日(木)新宿バルト9で開催されたこのイベント、ふたりのトークはシリーズが持つ政治的、宗教的なテーマにまで及んだ。
庵野監督は「アメリカが(イラクやアフガニスタンに対して)やっていることを、サイロンが人類にやっているというイメージはあると思います。アメリカのドラマで、こういう風に立場をひっくり返すことがあるのは9.11以降ならでは」と指摘。植民地を求め宇宙を逃げ続ける人類、そして無慈悲に侵略と占領を続ける機械生命体という設定に、9.11以後のアメリカを中心とした世界情勢が如実に反映されているという意見を肯定した。一方で樋口監督は、このシリーズを「終わらせようとしている物語」だと評価。「宗教に関してまったくすっぽ抜けているし、アダマ艦長が無神論者だったり、キリスト教の教条的なところがほとんど入っていないのはアメリカ映画として珍しい。しかもストーリーとしては神様を扱っている。だったらその神様って何?っていうのは僕も解らない」と、シリーズの神話的なモチーフを見どころのひとつとして取り上げていた。
RAZOR/Film (c)2007 Universal Studios. All Rights Reserved.
全4節からなる壮大なシリーズは、機械生命体サイロンとの熾烈な戦争で生き延びたわずかな人類と宇宙空母ギャラクティカを中心に、個性的なキャラクターが織りなす複雑な人間模様、ゆれ動く手持ちカメラのようなカメラワーク、そして従来のテレビドラマの範疇を超えるスケールの大きさが、単にSFアクションというジャンルを超えて、大きな反響を得ている。70年代のテレビシリーズの設定を基本にしながらも、エピソードが続いていくにしたがって、数多くのスピンオフが発表されることで重層的な面白さを生みだし、熱狂的なファンの支持を獲得。『ユージュアル・サスペクツ』『X-メン』のブライアン・シンガーを監督に起用した映画化が決定したという先日のニュースも、本国での人気を物語るところだ。
【結:season 4】で完結するGALACTICAサーガのなかでも、今回リリースされる『GALACTICA:RAZOR/ペガサスの黙示録』は、シリーズ第2部となる【承:season 2】のエピソード「ペガサス3部作」から発展した、もう1隻の空母ペガサスをめぐる物語。庵野監督は今作の魅力を「ペガサスを逆の状況から描いているので、シーズン2だけを観ていたときよりも、話の印象が逆転するところがよかった」と語り、樋口監督は「第一次サイロン戦争を描いているところがいい。ギャラクティカの形がいまのシーズンと同じなのが唯一の不満。シリーズのいちばんの魅力は宇宙だと思うし、あんな昔なんだから(第一次サイロン戦争は40年前という設定)、もう少しプラモの部品が貼ってあるように見せてほしかった(笑)」と細かいディティールに至るまで持論を展開。それぞれのギャラクティカ・フリークぶりを発揮していた。
『GALACTICA:RAZOR/ペガサスの黙示録』
2009年9月25日(金) DVDリリース
発売元:デイライト
販売元:アミューズソフトエンタテインメント
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