骰子の眼

cinema

東京都 新宿区

2009-08-28 21:40


「見た後で車を運転するのは注意が必要」!?─『ゴー・ファースト 潜入捜査官』クロスレビュー

スリルに満ちたカーアクションをベースに、フランスの潜入捜査の実態を的確に捉えたサスペンス
「見た後で車を運転するのは注意が必要」!?─『ゴー・ファースト 潜入捜査官』クロスレビュー
(C)2008 EUROPACORP-AVALANCHE PRODUCTIONS

麻薬組織への潜入捜査の実態を、疾走感あふれるカー・アクションと、緻密な捜査の描写や組織の裏側を大胆にあばくことで、フレンチ・アクションを次のレベルへと押し上げた映画『ゴー・ファースト 潜入捜査官』が公開される。

GOFAST サブ3_ポルシェ・カイエン
(C)2008 EUROPACORP-AVALANCHE PRODUCTIONS

実際にフランス警察、そして麻薬組織にリサーチを行うことでリアリティを突き詰めたことが、両者の間の均衡を描ききることへ繋がっている。そして主演のロシュディ・ゼムの存在感がこの物語の緊迫度や訴求力を高めていることは間違いない。少々こわもての面構えながら、冷静沈着(でも実はあるものにはめっきり弱い)かつ、親愛なる同僚を殺されたことへの怒りを内に秘め、捜査に乗り込んでいく姿は秀逸。カンヌ映画祭で最優秀男優賞受賞した『デイズ・オブ・グローリー』や『あるいは裏切りという名の犬』といった良作に出演を続けているものの、日本ではこれまであまり知名度は高くなかったが、今作のかっこよさを契機にブレイクが期待される。決してド派手なスター性は強くはないが、こうしたクールなクライム・アクションになくてはならない存在になるのではないだろうか。

リュック・ベッソンのヨーロッパ・コープが提供するだけに、アクションのクオリティはお墨付き。さらに主人公の捜査官の過酷な訓練を経て、警察、麻薬組織、運び屋、そしてマレクそれぞれの思惑が絡み合いながらクライマックスまで突き進んでいくストーリー運びの巧みさに、ぜひ酔いしれてほしい。


『ゴー・ファースト 潜入捜査官』
2009年8月29日(土)より、新宿バルト9 他、全国ロードショー

監督:オリヴィエ・ヴァンホーフスタッド
出演:ロシュディ・ゼム、オリヴィエ・グルメ、ジャン=ミシェル・フェット、他
2008年/フランス/89分
配給:アスミック・エース 宣伝:アステア
公式サイト


レビュー(3)


  • 山中英寛さんのレビュー   2009-08-24 11:23

    細部への目配りが行き届いたスリリングな展開に感心

     チラシやこの作品のホームページなどに「カーアクションが凄い」とあったので、同じリュック・ベンソン「TAXI」のような内容を想像して見に出かけたら、その想像とは全然違った、フランスの潜入捜査の実態をドキュメンタリータッチで的確にとらえたシリアスなサス...  続きを読む

  • Tinkerbellさんのレビュー   2009-08-24 15:52

    カーアクションに心躍りました。

    「TAXI」程の派手さはないですが、やはり、カーアクションにはEUROPACORPならではのスピード感があり心が躍りました。ハイウェイでガンガン飛ばすシーンを見た後で車を運転するのは注意が必要です。帰りは車ではなかったですが、帰り道を飛ばしている気持...  続きを読む

  • ぬまさんのレビュー   2009-08-25 23:18

    事実が生んだリアリティ

    麻薬のプロの運び屋「ゴー・ファースト」。 主人公の潜入捜査官マレクは、この「ゴー・ファースト」となり、麻薬組織潰滅を目ざしている。 マレク役のロシュディ・ゼムが、ハードボイルドな潜入捜査官役を好演している。 また麻薬組織によりマレクの同僚が殺さ...  続きを読む

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