骰子の眼

dance

東京都 渋谷区

2009-07-13 18:38


飴屋法水、大木裕之、ゾルゲルプロら出演:大橋可也&ダンサーズ『明晰の夜』2ヶ月連続イベント開催!

最新作『深遠の明晰』の9月公演を前に、アップリンク・ファクトリーでトーク&上映&パフォーマンス&展示の豪華イベントを開催。
飴屋法水、大木裕之、ゾルゲルプロら出演:大橋可也&ダンサーズ『明晰の夜』2ヶ月連続イベント開催!
「明晰」シリーズ第一部『明晰さは目の前の一点に過ぎない』(2006年8月公演) photo: GO

今年で結成10周年を迎えるダンスカンパニー・大橋可也&ダンサーズが、9月に吉祥寺シアターで上演する「明晰」三部作の最終作『深遠の明晰』。その公演に先立ち、豪華ゲストを迎えたイベント『明晰の夜』が渋谷アップリンク・ファクトリーにて2ヶ月連続で開催される。その第一夜となる7月18日(土)のイベントについて大橋可也氏に話を訊いた。


最新作『深遠の明晰』は、第一部『明晰さは目の前の一点に過ぎない。』(2006年8月)、第二部『明晰の鎖』(2008年2月)に続く、“明晰”という言葉をテーマにした最終作となる。

「『深淵の明晰』は大橋可也&ダンサーズの活動の集大成となる作品です。“明晰”という言葉は、カルロス・カスタネダの著作『呪術師と私』に登場する、知者の四つの敵、「恐怖」「明晰」「力」「老い」から引用をしました。当初は“明晰”とは克服すべきもの、と捉えていましたが、作品を重ねるにつれて“明晰”であることは身体そのものにこだわることではないかと思うようになりました。ただひたすら明晰に、今ここにある身体に目を向けていたいと思っています」

大橋可也
第二部『明晰の鎖』(2008年2月) photo: GO

その公演前におこなわれるイベント『明晰の夜1』の意図とは何だろうか。

「イベント『明晰の夜』は『深淵の明晰』の公演に至るためのリサーチ活動であり、第一夜を理論編、第二夜を実践編と考えています。第一夜となる『明晰の夜1』は、「トーク」によって来るべき作品が対象とする問題を明らかにし、「上映」によって過去の作品を振り返るとともに、「パフォーマンス」によって新たな可能性を探ろうとするものです。2つの『明晰の夜』を経て、『深淵の明晰』が生まれていく過程を観客の方々とともに楽しみたいと思っています」

明晰の鎖
第二部『明晰の鎖』(2008年2月) photo: GO

トークには、大橋可也氏に加え、モデレーターにダンス批評家・木村覚氏、ゲストとして演劇現代美術界の鬼才・飴屋法水氏、「ランボーの末裔」こと映像作家・大木裕之氏が登場する。

「木村覚さんはこの数年の大橋可也&ダンサーズ作品のよき理解者であり、よき批判者です。彼の問題意識に僕たちの作品も少なからず影響を受けていると思います。飴屋法水さんとは元々面識があった訳ではありませんが、身体に関わるアーティストとして尊敬している方の1人です。大木裕之さんとも最近知り合ったばかりなのですが、その身体に向ける視線に共感を感じています。今回は“レディメイドとしての身体”と題し、唯一無二であるはずの身体をレディメイド(既製品)として捉える発想から議論を進める予定です」

併せて、映像化された『明晰の鎖』の上映と、トーキョーワンダーサイト主催の「EXPERIMENTAL SOUND & ART FESTIVAL」で特別賞を受賞したパフォーマンス・アートユニット「ゾルゲルプロ」とダンサー・多田汐里(大橋可也&ダンサーズ)によるパフォーマンスがおこなわれる。

「以前より、作品の映像化には興味を持っていましたが、古屋和臣さんという大橋可也&ダンサーズ作品のよき理解者である映像作家との出会いが『明晰の鎖』映像版制作のきっかけとなりました。舞台作品の世界を凝縮した作品になっていると思います。ゾルゲルプロはスライムなどの流動体を用いたインスタレーションと演奏をおこなっています。その絶え間なく流れゆく時間と身体が持っている時間との対比が、このパフォーマンスのコンセプトになります。ダンサーの多田汐里も含め、いずれのアーティストも20代前半であり、大橋可也&ダンサーズに新たな血を注いでいくユニットでもあります。このユニットでのパフォーマンスは今後も継続的におこなっていく予定ですが、今回が初めて観客の前で上演する機会となります」


↑2006年9月の公演『明晰の鎖』用に公開された予告映像

↑7/18『明晰の夜1』に出演する「多田汐里+ゾルゲルプロ」リハーサル風景

また、写真家の髙橋恭司と鵜飼悠による展示もおこなわれる。

「髙橋恭司さんとは、昨年偶然知り合ったのですが、そのさりげなく切り取った日常の背後に潜む深淵は、大橋可也&ダンサーズの作品性に通じるものがあると思っています。僕たちのパフォーマンスを題材にした写真を発表されています。今回は最近連続して共同作業をおこなっている鵜飼悠さんとの展示ですが、会場に展示された写真の先に“明晰”の世界を広がっていくと期待しています」

「『明晰の夜』は聴覚、視覚、頭脳をフルに使うイベントになっています。あらゆるところに目を向け耳を傾けて欲しい。そして先入観にとらわれることなく、目の前でおこなわれていることを、受け入れ、感じ、考えてほしいと思っています」

次回8月22日に開催される第ニ夜『明晰の夜2』では、“明晰”シリーズの音楽・演奏を担当している舩橋陽氏と、ジャズ・即興分野の批評家としても活躍し、最近は演劇・コンテンポラリーダンスのシーンにも音楽表現の領域を広げる大谷能生氏を中心したライブ、ライブ撮影による映像を用いた大橋可也&ダンサーズのパフォーマンスが交錯する時空間を作り出す予定だ。第一夜、第二夜ともに乞うご期待!


■大橋可也(おおはし・かくや)PROFILE

大橋可也&ダンサーズ主宰・芸術監督。山口県宇部市生まれ。横浜国立大学経営学部卒業。イメージフォーラム付属映像研究所卒業。陸上自衛隊第302保安中隊(特別儀仗隊)出身。1991年、カナダヴァンクーバーにてパフォーマンス活動を始める。1993-1997年、和栗由紀夫に師事、土方巽直系の舞踏振付方法を学ぶ。1996-1999年、絵画、映像とのコラボレーション作品『ミヅチ』を制作、発表。1999年、アラン・エスカル監督『浮世物語』に主演。同年、大橋可也&ダンサーズを結成。システム開発の業務に携わりながら創作活動を続ける。

■大橋可也&ダンサーズPROFILE

現代における身体の在りかたを問う作品を提示し続けるダンスカンパニー。1999年、結成。2000年、「バニョレ国際振付賞ヨコハマプラットフォーム」に出場するも、出演者が全裸であるという理由で非公開の審査となる。その後、活動を休止。2003年に活動再開以降、「トヨタコレオグラフィーアワード」「SPACダンスフェスティバル」「ヨコハマダンスコレクション」などのコンペティションに出場するが、いずれも受賞を逃す。2005年、ニューヨークの代表的なアートスペース「The Kitchen」に招聘される。2006年より「明晰」三部作の発表を開始。2007年にはセゾン文化財団の助成対象に選ばれる。2009年7月、結成10周年を迎える。
http://dancehardcore.com/


大橋可也&ダンサーズ「明晰」三部作最終作東京公演
『深遠の明晰』
2009年9月22日(火)~26日(土) 19:30開演(※26日のみ17:00開演)

会場:吉祥寺シアター(東京都武蔵野市吉祥寺本町1-33-22)
出演:垣内友香里、皆木正純、古舘奈津子、前田尚子、多田汐里、とまるながこ、山田歩
振付:大橋可也
音楽:舩橋陽
☆9/26のみ、fooi(舩橋陽+大谷能生+大島輝之+一樂誉志幸)によるライブ演奏あり

料金:チケットA:20,000円(前売のみ)
チケットB:4,000円(前売り)/4,500円(当日)
チケットC:0円(前売りのみ・要申込み・枚数限定)
※チケット発売は7月17日から
※京都、福岡、伊丹公演あり

【問い合わせ先】
大橋可也&ダンサーズ mail:office@dancehardcore.com


『明晰の夜1』
2009年7月18日(土) 19:00開場/19:30開演

トーク:大橋可也(振付家)、飴屋法水(演出家・現代美術家)、大木裕之(映像作家・現代美術家)、木村覚(美学・ダンス批評)
上映:『明晰の鎖』映像版(監督:古屋和臣)
パフォーマンス:多田汐里 + ゾルゲルプロ
写真:鵜飼悠・髙橋恭司
会場:アップリンク・ファクトリー(東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F)
料金:2,000円(1ドリンク付き)

★予約はコチラ
http://www.uplink.co.jp/factory/log/003101.php
http://dancehardcore.com/archives/000467.shtml


『明晰の夜2』
2009年8月22日(土) 19:00開場/19:30開演

出演:舩橋陽(saxophone)×大谷能生(saxophone)×大島輝之(acoustic guitar)×一樂誉志幸(がらくた)×大橋可也&ダンサーズ(パフォーマンス)
会場:アップリンク・ファクトリー(東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F)
料金:2,000円(1ドリンク付き)

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