骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2009-05-16 17:30


作家にも言わせてほしい! なぜ今、純文学は映画化されないのか? 作家・藤谷治を講師に『映画の学校』開催

三島由紀夫賞候補になったこともある注目作家の藤谷治さんが、「文芸映画」について存分に語る!5月18日アップリンク・ファクトリーで開催!
作家にも言わせてほしい! なぜ今、純文学は映画化されないのか? 作家・藤谷治を講師に『映画の学校』開催
書店「フィクショネス」を経営している、作家の藤谷治さん

なぜ「文学」は映画化されなくなってしまったのでしょう? かつてあった「文芸映画」というジャンルはどこへ行ってしまったのでしょう? 映画について、映画業界以外の表現者と一緒に考える『映画の学校 ~第一回「映画」と「文学」~』が、5月19日(月)アップリンク・ファクトリーにて開催される。その講師として登場する人気急上昇中の作家、藤谷治さんに話を訊いた。


「かつて日本映画には“文芸映画”というジャンルがあったんですが、今、それは無い。そして、今の日本映画界でいわゆる純文学が映画化されることはほとんどありませんよね」と、語るのは作家の藤谷治さん。

いつか棺桶はやってくる

藤谷治さんは2003年『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』で デビュー。代表作に『おがたQ、という女』『恋するたなだ君』『船に乗れ!〈1〉合奏と協奏』などがある。08年、『いつか棺桶はやってくる』(小学館)が三島由紀夫賞候補となり、注目を集めた。

写真:『いつか棺桶はやってくる』(藤谷治著/小学館)

作家活動の傍ら、下北沢で書店「フィクショネス」を経営していることで有名な藤谷さんは、映画についての造詣が深いことでも知られ、その作中にはしばしば映画をモチーフにしたエピソードが登場する。

そんな映画好きの藤谷さんが、昔から気になっている映画のジャンルがある。
「文学を映画化するというジャンルが“文芸映画”。1960年代頃まで盛んに作られていました。ただ、小説を原作としているというものとは違います。当時作られていた時代劇やミステリにも原作はあります。『宮本武蔵』とか。それとは別物です。“文芸映画”とは、例えば、川端康成を原作にした映画などがそうですね」


川端康成の作品は、50年代と60年代の20年間で、実に24回も映画化されている。
「今の映画会社が宮部みゆきさんや京極夏彦さんを映画化するように、当時の映画会社は先を争って川端康成や三島由紀夫を映画にしていたわけです。心理描写や情緒、質感、そして何より文体というきわめて映像化しにくいものに主体を置いている「文学」が、なぜ、あれほど映画化され、“文芸映画”という一ジャンルを築くほどになったのか。それは、もちろん、興業として成り立っていたということはあるでしょうが、それだけでは無いと思います」

5月18日のイベント『映画の学校』でのテーマは「映画と文学」。“文芸映画”というキーワードを切り口に、藤谷さんが“文芸映画”の中でも最高峰の一つと考える成瀬巳喜男の『山の音』などについて存分に語る。従来の映画批評や映画論とはまた違った、新しい発見がきっとあるはずだ。小説が好きな人はもちろんだが、映画が好きな人、映像作家を目指している人には是非聞いてほしいと藤谷さんは語る。

「大げさに言うと、この講義の中で、今の日本の映画監督の皆さんに作家として言いたいことがあるんです」。乞うご期待!


■藤谷治(ふじたに・おさむ) PROFILE

1963年東京都生まれ。洗足学園高校音楽科、日本大学芸術学部映画学科卒業。サラリーマン生活を経験後、脱サラして下北沢に書店『フィクショネス』をオープン。書店経営のかたわら、執筆活動を開始し、2003年『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』でデビュー。著書に『おがたQ、という女』、『恋するたなだ君』、『いつか棺桶はやってくる』、『またたび峠』など。最新作は「本の時間」(毎日新聞社)に連載されていた『遠い響き』。
フィクショネス公式サイト
フィクショネス下北沢日記


映画の学校 ~第一回『映画』と『文学』~
2009年5月18日(月) 開場19:00/開演19:30

講師:藤谷 治(作家)
会場:アップリンク・ファクトリー
(東京都渋谷区宇多川町37-18トツネビル1F) [地図を表示]
料金:1,000円

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