(c)Niko Tavernise for all Wrestler photos
アメリカ本国での配給さえ決まっていない無名の低予算映画が、2008年のヴェネチア国際映画祭で大旋風を巻き起こした。審査委員長を務めたヴィム・ヴェンダースが、「映画祭の規則を曲げ、グランプリと主演男優賞の両方を贈るべきだ」と主張したこの作品は、最高賞である金獅子賞を受賞し、一躍世界の注目を集める。
その話題性とクオリティの高さを証明するように、2008年12月17日、わずか4館でスタートしたアメリカの先行上映では、終末のスクリーン・アベレージで『ノーカントリー』を上回る脅威の5万ドル越えを記録した。
80年代に人気を博したスター時代から人生のどん底をなめた男ミッキー・ロークの全身全霊をこめた演技は、アカデミー賞にノミネートされ、ゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞などの名だたる映画賞の主演男優賞を総ナメにした。全世界の映画賞54冠に輝いた今年最高のヒューマンドラマは、人間の可能性には限りがないという希望を与え魅了する。
人気レスラーだったランディ(ミッキー・ローク)は、今ではスーパーでアルバイトをしながら、かろうじてプロレスを続けている。ある日、長年のステロイド使用が祟り、心臓発作を起こしてしまう。「命が惜しければ、リングには立つな」と医者は病院で目覚めたランディに告げる。妻とは離婚し、一人娘のステファニー(エヴァン・レイチェル・ウッド)とも疎遠で、ひとりになってしまったランディ。せめて娘との関係だけは修復しようとするが、冷たくあしらわれ、さらに好意をもっていた顔なじみのストリッパー キャシディ(マリサ・トメイ)にも振られ…。
人生に立ち向かう男の生き様を見せつけるヒューマンドラマとして賞レースには欠かせない注目作を是非お見逃しなく。
『レスラー』
2009年6月13日(土)より、シネマライズ、TOHOシネマズ シャンテ、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ミッキー・ローク、エヴァン・レイチェル・ウッド、マリサ・トメイ、他
主題歌:ブルース・スプリングスティーン 「ザ・レスラー」
2008年/イギリス/95分
配給:日活
※詳細は公式サイトにて