骰子の眼

cinema

東京都 新宿区

2009-06-07 17:00


“なんと、無謀な!”思わず、息を飲んだ ―『マン・オン・ワイヤー』クロスレビュー

「なぜ、この映画を見るべきか?フィリップのように“不可能”という言葉を決して言わない人間を見てみたいから」―公開前からクチコミで絶賛されている注目の作品!
“なんと、無謀な!”思わず、息を飲んだ ―『マン・オン・ワイヤー』クロスレビュー

「忘れがたい美しさをたたえた行為」(ポール・オースター/米国・作家)

「フィリップは空を舞台にするアーティストだ」(ロビン・ウィリアムス/米国・俳優)

「彼は綱渡りの全てを僕に教えてくれた」(スティング/イギリス・歌手)

「フィリップ・プティこそは、人々を夢中にさせる美しい行為で、ワールド・トレード・センターのツインタワーをつなげてみせた男だった」(ヴェルナー・ヘルツォーク/ドイツ・映画監督)


アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門をはじめ、数々の映画賞に輝き、各著名人からも絶賛された感動のドキュメンタリー『マン・オン・ワイヤー』。

1974年8月7日朝、今は無きニューヨークのワールド・トレード・センターのツインタワーを綱渡りで渡ろうとしていたフランスのある大道芸人がいた。高さ415m、地上110階という巨大な2つの建物の間にワイヤー1本を渡しその上を歩く。もちろん命綱はない。また全ての計画はゲリラ的に進められた。時は折しもニクソン大統領が辞任に追い込まれる日の2日前、雲まで届く高層ビルを綱渡りで歩き、踊った伝説の大道芸人フィリップ・プティ。

マン・オン・ワイヤー

「なぜ、あんなことをしたのか?」プティが誰からも聞かれる質問だ。それに対してプティの答えはいつもこうだ。「理由なんてない」。

フィリップ・プティ

幼いころより周囲になじめず、5つの学校を退学させられたプティにとって、大道芸は自らの力で生きる術だった。しかも見た人を幸せな気持ちにすることもできる。いつの日か彼はリスクを抱えながらも、より高い目標への挑戦を始める。パリのノートルダム寺院、オーストラリアのハーバー・ブリッジetc。しかし、孤独だったわけではない。彼の周りには、いつも同じ目標に向かって助け合える仲間たちがいた。
仲間の1人ジャン・フランソワはこう語る。「確かに犯罪だ。でも卑劣じゃないし、むしろ夢を与えてくれる」。本作中では、当時プティを支えた仲間たち、また心ならずも裏切ってしまった仲間たちが、30年以上の時を経て登場し、当時の心境を回想する。プティ本人による回想も多く記録され、そのあたかもおとぎ話のような人生に、誰もが驚き、元気を与えられるだろう。

この「史上最も美しき犯罪」を描き、オスカー受賞を初め海外の主要映画祭で絶賛された本作をスクリーンで堪能しよう。



『マン・オン・ワイヤー』
2009年6月13日(土)より、新宿テアトルタイムズスクエア他にて全国順次ロードショー

監督:ジェームズ・マーシュ(『キング 罪の王』)
出演:フィリップ・プティ、ジャン・ルイ・ブロンデュー、アニー・アリックス、他
2008年/イギリス/95分
配給:エスパース・サロウ
※詳細は公式サイトにて


レビュー(3)


  • とらねこさんのレビュー   2009-04-30 13:35

    退屈知らず・命知らずなドキュメンタリー

    思わず、息を飲んだ。「なんと、無謀な!」 そそり立つビルの谷間、ワイヤー一本の上に一人立つフィリップ・プティの姿を見た人は、思わずその恐ろしさに青くなり、怒り出すかもしれない。興味本位、やじ馬半分。そして多くは、畏れを感じて。 でもこの映画を見た...  続きを読む

  • 山本兵衛さんのレビュー   2009-05-06 12:55

    感動の壮大サスペンス映画!?

    偽装して車に乗り込み、犯行現場へ向かう男達。登場人物の心境が、細かく編集された粗い白黒再現映像に重なる。この作品の素晴らしさは、サスペンス映画のように始まるこの冒頭部分に凝縮されている。1974年に世界貿易センター2つのタワーの間で綱渡りを実行したフ...  続きを読む

  • 駒井憲嗣さんのレビュー   2009-05-08 23:41

    ドキュメンタリー版『時計じかけのオレンジ』?

    1974年ニューヨークの世界貿易センター、通称ツインタワーの間を綱渡りしたフランス生まれの大道芸人フィリップ・プティ。その風変わりな人物像に迫るべく、映画は本人そして関係者たちの証言を組み合わせていくオーラル・ドキュメント的スタイル、ビル侵入から実行...  続きを読む

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