『ハンガリー国へハンガリで行く』 (C) Chu Enoki
70年代より数々の伝説的パフォーマンスを繰り広げ、近年では鉄の廃材や金属部品から、全長数十メートル、総重量数十トンといった超スケールの彫刻やオブジェを発表するなど、その桁外れの想像力と創作力で常に我々の度肝を抜いてきた榎忠(えのちゅう)。その活動の全貌を明らかにすべく、BLD GALLERYでは4月5・12・19日に、東京においてはほぼ初公開となる貴重な映像10作品をまとめて上映する。
榎忠は香川県に生まれ、デザインを学ぶべく神戸へ移住。1965年頃より作品制作を開始し、70年「グループJAPAN KOBE ZERO」を結成。神戸の市街を都市劇場に見立て、集団で繰り広げる数々のハプニングや、万博のシンボルマークを体に焼き付けフンドシ姿で銀座を闊歩する『裸のハプニング』などを次々と行い、話題を集めた。
77年には自宅を会場とした個展『EVERYDAY LIFE MULTI』を開催し、頭髪や髭など体毛の半分を剃り落とした姿(半刈り)で街や電車の中を歩きまわるパフォーマンスを決行。同年に、当時共産主義国であったハンガリーへ半刈り姿で行くプロジェクト『ハンガリー国へハンガリで行く』をおこなった。
また79年の『Bar Rose Chu』では、個展会場に出現した2日間限りの酒場で、自ら網タイツ姿の妖艶な女店主に扮し、観客に酒を振舞うという伝説のパフォーマンスをおこなった。“飲み放題、触り放題、しかし御代は無料”という男の欲望を全て満たすこのパフォーマンスは、男性社会に対するアイロニーを含みつつも、ユーモアに満ちた作品であった。
『Bar Rose Chu』 (C) Chu Enoki
こうしたハプニングやパフォーマンスを続ける傍ら、近年では、廃品をリメイクして制作した、爆音を発する大砲彫刻作品『FALCON』、鉄クズを旋盤で磨きあげたパーツによって組み上げられた、重量数トンにも及ぶインスタレーション作品『RPM-1200』など、数十メートル、総重量数十トンにも及ぶスケールの大きい機械彫刻やオブジェ作品を制作している。
多岐にわたる榎の活動は、一過性のパフォーマンスであったり、活動の拠点が神戸であることによって、今まで全貌を目にすることが困難であった。しかし、今回その全貌を明らかにすべく、榎の代表作品『半刈りでハンガリー国へ行く』と『Bar Rose Chu』を中心に、最新のパフォーマンスの記録映像や、彼の創作の秘密に迫るドキュメンタリーなどを一挙公開する。
■榎忠(えのき・ちゅう)PROFILE
1944年香川県生まれ。1965年頃より本格的に作家活動を開始し、70年「グループJAPAN KOBE ZERO」を結成。神戸を中心に数々のパフォーマンスを行う。近年で鉄の廃材や金属部品から生み出される巨大な機械彫刻やオブジェ、インスタレーションを制作。2006年大阪での大規模な個展(KPOキリンプラザ)や2007年豊田市美術館での篠原有司男との二人展、同年の森美術館「六本木クロッシング2007:未来への脈動」展での受賞、森精機株式会社のテレビCMの制作など、精力的に活動を展開している。
公式サイト
『生ける伝説 榎忠(えのちゅう) 映像作品上映会』
2009年4月5日(日)・12日(日)・19日(日)
会場:BLD GALLERY
(東京都中央区銀座2-4-9 銀座SPPビル8F)[地図を表示]
料金:500円(各回入替制) ※当日12時より整理券を配布します
★エノチュウ銀座に現る!4月5日(日)17:00の回に榎忠が飛び入り参加します!
※上映スケジュール・詳細はコチラよりご覧ください。