骰子の眼

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東京都 新宿区

2009-04-03 15:40


『愛のコリーダ』無修正版、東京日仏学院でカンヌ映画祭「監督週間」特集で上映

エロティック芸術の解放という点では圧倒的にフランスに劣っている日本。フランス製作の日本映画の傑作をこの機会にぜひ!
『愛のコリーダ』無修正版、東京日仏学院でカンヌ映画祭「監督週間」特集で上映
昭和11年に起きた「阿部定事件」を題材にした、映画史上最も美しいポルノであると同時に、最も美しい狂気の愛についての映画。大島渚監督『愛のコリーダ』(1976年/フランス・日本/105分)の無修正版を上映する

カンヌ映画祭の中でも独自のプログラミングで、新たな才能を発見してきた部門「監督週間」の40年間をふりかえる特集上映『カンヌ映画祭 「監督週間」の40年をふりかえって』が、4月4日(土)より東京日仏学院にて開催される。

昨年40周年を迎えたカンヌ映画祭監督週間は、世界の三大映画祭の中でも最も重要なこの映画祭で貴重な役割を果たしてきた。2004年に就任した第四代ディレクター、オリヴィエ・ペールの推進力によって、ますます多様化する映画を刷新する新たなスタイル、形態の誕生に目を光らせ、探求する役割を担っている。

68年5月革命直後に設立されたこの部門は、当初より前衛的な映画を紹介し(70年代)、この部門によって紹介された多くの映画作家が、後にコンペ部門で多くの賞を獲得し、名声を獲得すようになる。マーティン・スコセッシ、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、大島渚、シャンタル・アッケルマン、フィリップ・ガレル、ジム・ジャームッシュ、ショーン・ペン、リュック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ、ソフィア・コッポラ、その他、大勢の作家たちの才能がこの部門から華々しいキャリアの第一歩を踏み出した。

同部門の作品選考委員の一人であり、『カイエ・デュ・シネマ』などで映画批評を執筆している批評家ステファン・ドゥロームと、東京フィルメックスのプログラム・ディレクターの市山尚三氏が、監督週間の40年を振り返りながら15本の作品をセレクトし、映り行く映画史について語る。

日本ではなかなか観ることのできないこの貴重な機会をお見逃しなく!

【上映作品】

処女の寝台

『処女の寝台』

(1969年/フランス/100分/監督:フィリップ・ガレル/字幕なし/作品解説配布)
海辺に置いてあるベッドの上に一人の女がいる。若い男が満ち潮から姿を現す。彼らの名前はマリアとイエス。ピエール・クレマンティが、救済すべき世界の中で途方に暮れている苦悩するキリストを演じる。

サラマンドル

『サラマンドル』

(1971年/スイス/120分/監督:アラン・タネール/字幕なし/日本語同時通訳付)
ヌーヴェルヴァーグとフリー・シネマの継承者であるスイスの映画作家アラン・タネールの代表作の一本。68年の5月革命の精神をロマンチックかつ、心理的なものを排除し、アイロニカルに存続させている。

マイルストーン

『マイルストーン』 ※ニュープリント復刻版

(1975年/アメリカ/195分/監督:ロバート・クレイマー、ジョン・ダグラス /仏語字幕付)
60年、70年代のアメリカ合衆国で社会問題を前に、過激な解決方法を模索してい た者たちをさまざまな角度から描いたドキュメンタリー。

ワンダ

『ワンダ』

(1971年/アメリカ/103分/監督:バーバラ・ローデン/オリジナル英語版・字幕なし)
エリア・カザンの妻で女優のバーバラ・ローデンによる処女作にして遺作。フランスではマリグリット・デュラスらから絶賛され、この作品に惚れこんだイザベル・ユペールが版権を買い取りニュープリントでこの幻の傑作が甦った。

自由の代償

『自由の代償』

(1974年/西ドイツ/123分/監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー/日本語字幕付) *入場無料
うらぶれた生活を送っていたフランツはある日宝くじで思わぬ大金を手に入れ、同性愛者の集まりに参加し、金持ちの美青年オイゲンと恋に落ちる。主演はファスビンダー自身。イングリット・カーフェンがバーの歌い手として印象的に登場している。

ブリュッセル1080

『ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン』

(1975年/ベルギー/198分/監督:シャンタル・アケルマン/英語字幕付)
シャンタル・アケルマンは、売春行為までもが日常のひとつの動作と化しているジャンヌの「平凡な」暮らしを執拗なまでに描写しながら、やがて訪れる反日常に至るぞっとするような恐ろしい時空間を見事に作り出している。

たぶん悪魔が

『たぶん悪魔が』

(1977年/フランス/95分/監督:ロベール・ブッソン/日本語字幕付)
ドストエフスキーの『やさしい女』『白夜』、クレティアン・ド・トロワの『湖のランスロ』と脚色した作品が続いた後、久しぶりにオリジナル脚本で撮ったブレソン12作目の長編作品。上映後、ステファン・ドローム(映画批評家)と市山尚三(東京フィルメックス・プログラムディレクター)の対談あり

インディアン・ランナー

『インディアン・ランナー』

(1990年/アメリカ/126分/監督:ショーン・ペン/日本語字幕付)
俳優のショーン・ペンによる監督処女作。1968年、ネブラスカ州プラッツマウス。警官で、素直で家族想いの兄・ジョーと、ベトナムから帰還し抑えられない 狂暴さにとりつかれた弟・フランク。兄は弟がまっとうに生きることを望むが、フランクは更なる事件を起こしてしまう……。

イゴールの約束

『イゴールの約束』

(1996年/ベルギー・フランス・ルクセンブルク・チュニジア/91分/監督:ピエール・リュック・ダルデンヌ/日本語字幕付)
15歳のイゴールは、不法滞在外国人の闇売買をする父と二人暮らし。ゴーカートが好きで、見習いとして自動車修理工場で働くが、父の仕事も手伝わなければならず、工場をクビになってしまう。1996年の監督週間で、上映終了と同時に満場の拍手に包まれ、国際芸術映画評論連盟賞を受賞。

囚われの女

『囚われの女』

(2000年/フランス・ベルギー/112分/監督:シャンタル・アケルマン/英語字幕付)
マルセル・プルースト『失われたときを求めて』の一篇、『囚われの女』をアケルマンの自由な発想で映画化。プルーストの『囚われの女』と同時に、デュラス的映画の世界、そしてヒッチコックの『めまい』を想起させるこの美しい作品は、間違いなくアケルマンの代表作のひとつである。

闇を見つめる羽根

『闇を見つめる羽根』

(2003年/日本/17分/監督:辻直之/アニメーション)
大きな羽根を持つ男と女(神)が、空を飛びながら子供をつくっている。やがて息子が生まれ、神は息子のために(世界)を創造してやる。あるとき息子が寝ている間に息子の左手は一人の女になり、どこかへ行ってまった…。

一緒にいて

『一緒にいて』

(2005年/シンガポール/93分/監督:エリック・クー/英語字幕付)
三人の物語が交錯していく。美人キャリアウーマンに憧れるしがない警備員。女子中学生の同性愛と破局。そしてテレサ・チャンという、二重障害を持つ老婆の実人生。

茶の味

『茶の味』

(2004年/日本/143分/監督:石井克人/英語字幕付)
山間の小さな町に住む春野一家。ある春、娘の幸子にちょっとした悩みが訪れた。 ぼんやりしていると巨大化した自分が出現するのだ。校庭・縁側・プール・教室。ところかまわず出現する『巨大な自分』。どうしたらいなくなってくれるんだろう。一方、息子のハジメは恋に悩んでいた。そんな家族をやさしく見守るヒトがいた…。

パリの中で

『パリの中で』

(2006年/フランス/92分/監督:クリストフ・オノレ/英語字幕付)
恋 愛に破れた兄が、父と弟の住むパリへ戻ってくる。パリの街とそこで生きる若者たち、そして家族の姿を描く。「現代のヌーヴェルヴァーグ」と高く評されたクリストフ・オノレの長編三作目。


カンヌ映画祭 「監督週間」の40年間をふりかえって
2009年4月4日(土)~27日(月)

会場:東京日仏学院エスパス・イマージュ
(東京都新宿区市谷船河原町15)[地図を表示]
料金:一般1,000円/会員500円
※当日の1回目の上映の1時間前より、すべての回のチケットを発売します。開場は20分前、全席自由、整理番号順での入場となります。
詳細は公式サイトから

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