骰子の眼

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2009-03-19 18:00


キャルヴィン・ジョンソンのように草の根的なスタンスで:レーベル『7.e.p.』インタビュー

アメリカのインディー・シーンに多大な影響を与えたキャルヴィン・ジョンソンが来日。それを仕掛けたのがレーベルの7.e.p.である。【試聴あり】
キャルヴィン・ジョンソンのように草の根的なスタンスで:レーベル『7.e.p.』インタビュー

ビート・ハプニング、ダブ・ナルコティック・サウンド・システムの中心人物であるキャルヴィン・ジョンソン率いるアメリカのインディーレーベル「Kレコーズ」。カート・コバーンも影響を受けたという話からも伺えるように、80年代よりアンダーグラウンド界を支えてきた重要なレーベルである。そのKレコーズの音源を日本でリリースしているのは、「7.e.p.」(セブン・イーピー)というレーベル。海外レーベルと密接な関係を持ち、また日本では基本的にモールスの音源しかリリースしていないという徹底したスタンス。今年で7周年を迎え、キャルヴィン・ジョンソンらの来日ツアーがいよいよ始まるなか、共同主宰者の斉藤耕治氏に話を訊いた。


ビッグヒットを狙わず、環境づくりを重視したから続けられる

── 7.e.p.を始めたきっかけを教えてください。

7e.p.ロゴ

98年に僕は音楽雑誌「snoozer」で仕事をしていて、そこを辞めるときにレベル・ビート・ファクトリーというレーベルから手伝ってほしいと言われて入ることになったんです。そのレーベルは、いま僕らが扱っているようなKレコーズ(以下、K)とかモールスを出していたところで。そこが経営難になったため、僕と一緒に働いていたモールスのベーシスト、有泉と独立して2002年に7.e.p.を立ち上げたんです。

── キャルヴィン・ジョンソンとの最初の出会いはいつだったんですか?

2001年7月に、ワシントン州のオリンピアという小さい都市で毎年おこなわれていたイベント『ヨーヨー・ア・ゴーゴー』(アメリカのインディ・ロックの祭典)に、モールスが出演することになって一緒についていったんです。そこでキャルヴィン・ジョンソンと、前のレーベル同様に音源を扱いたいといったミーティングをして一緒に仕事していくことになって。でも、自分たちでレーベルをやるのは初めてのことで準備に時間がかかるので拠点が必要なので、とりあえず広めの家を借りて同居人を探したりしましたね。


── 6年前にはキャルヴィンがソロとして初来日してツアーをされたそうですね。

キャルヴィンとザ・マイクロフォンズとリトル・ウィングスを招聘して、モールスと一緒に全国をまわったんです。それが僕らがやった一番最初のツアーです。ほとんど手弁当で始めましたね。いまもそうですけど、ツアーで各地に行く場合は、基本的にホテルには泊まらず人の家に泊まらせてもらっています。日本だと、ちょっと売れたらすぐに囲い込まれて、ホテル泊まりで、打ち上げもセッティングされて、イベンターも付いて、知らないうちにローディもついちゃって、というパターンが多いですけど(笑)。
Kとかもそういう草の根っぽい感じでやっているので、こっちもじゃあ、僕らが出すものは1万枚売れるものが出せるわけではないので、そのスタンスでとりあえずやってみようかと。ずっとそんな感じでやっています。

calvin
元祖USオルタナティヴ=ビート・ハプニング。元祖インディ・ダンス・バンド=ダブ・ナルコティック・サウンド・システム。ダグ・マーシュ(ビルト・トゥ・スピル)との双頭ポップ・ユニット=ザ・ヘロ・ベンダーズ。3つの名グループ、プロデューサー(ベック、モデスト・マウス、ジョン・スペンサーetc)、そしてKレコードのオーナーとして数々の伝説を築いてきたキャルヴィン・ジョンソン

── 商売ありきではないと。

僕は音楽雑誌で働いていたし、広告営業も当然やらされていたし、一番メジャーな某音楽雑誌だとレビューのページより上は、必ずお金がかかるというのがあります。そういうのは僕が個人でレーベルをやるんだったら意味がないことです。ほかの大手メーカーがやればいいことですし。

── モールスとの付き合いはどれくらいになるのですか。

モールスとは、僕はプロデューサーとして2001年から関わっていましたが、7.e.p.からはリリースしていなかったんです。他のいくつかのレーベルからリリースしていて、会社っぽいレーベルから出してみたら、予算もそんなにあったともいえないし、CDも売れないし、もうこうなったらメジャーの気もあまりないし、スタティックにやっていくのが面白いかなって思ったんです。全部管理できますし。だから、マネージメントまですることになったのは2005年から。

それで、2006年に7.e.pからアルバム『モチーフ返し』をリリースしたんです。2007年には、レーベル5周年、モールスが結成10周年だったので、リイシュープロジェクトみたいなことをやりました。廃盤になっていた過去のモールスの音源に、ボーナストラックを追加してマスタリングして、まとめて2枚組を2タイトルリリースしたんです(『ポエット・ポートレイツ・イヤーズ』、『レベル・ビート・ファクトリー・イヤーズ』)。10周年のワンマンライブ、リイシュー、ボーカルの酒井君が出した歌詞集『モールス歌詞集』で三連発やりました。

── 歌詞をまとめた本というのはあまり見かけないですね。

モールス歌詞集

しかも、あのセールスの枚数のバンドが、って(笑)。ちょこちょこ売れてきてますけどね。アメリカのインディーシーンと交流があるのに、あれだけ日本語の歌詞に気を遣う人がバンドにいるっていうのは面白いと思います。あんまり制限なく、いいものだけをつくりたいっていうのでずっとやってきたから、そうしたかったんでしょうね。
売れ枚数で考えると、僕らはジャケットの紙に金を使いすぎているという部分があります。出版をやっていた人間からしてみれば、毎回ちゃんと紙を選んでいて当たり前なんですけどね。個人レベルじゃなくても、インディーでやっているレーベルで全部コート紙のペラペラでやってるのもどうかなって思うんですよ。手弁当でやるんだったら、もうちょっと工夫した方がいいですよね。

アメリカだとシルクスクリーンを持っていたりするんです。Kは昔、ものすごく大きい工場の跡地を借りていて、一階は体育館みたいな広さの倉庫で、二階はスタジオとKのオフィスとアーティストのラボもあって、何人かがシェアしていて、共有できるシルクスクリーンとか。こりゃすげえなと思って、こういうのやったら面白いなって。僕らは東京で土地もない、生まれが東京でずっと東京なので他の土地に移る選択肢はなかった。じゃあ東京の高い家賃でどうやって家をつくろうかとやってきて。やっぱりジャケットの紙とかはリリースごとに考えています。


── こだわりがありますね。他に日本では7.e.pのようなレーベルはあるんですか?

個人レベルでも海外のものを何枚か出してるってところはあるんです。でも、それを5年以上続けている人たちはあまりないと思います。考えてみたらこの手のジャンルのもの出してるのは、一番大きいインディーレーベルでP-VINEさんだと思うんですけど、もろに会社ですよね。予算がなくてくやしいけど出せないっていう思いはあまりしていないと思うんですよね。

見渡してみたら、個人レベルで、ライセンスのレーベルで、この手のジャンルっていうのはあまり長続きしていない。たぶん、仕事であるとか、結婚であるとかといった環境の変化が一番大きいと思いますね。僕らの場合はビッグヒットを狙わず、環境をつくる方でやってきたから、まだできてるんだろうなと思います。モールスだって、全員現在30代半ばで12年もやっていて。でも定期的にツアーもできる。しかもエージェンシーを通さない。いままで一緒にやってきたバンドもそうです。お金の力を使わない代わりに、環境づくり。そういう方向で得てきたものがあるので。

インディー・ロックがやりたいわけじゃない。文化的なものを見せたいだけ

── いよいよ、キャルヴィン・ジョンソン、カール・ブラウ、テニスコーツをフィーチャーした「7e.p. 7 Years Anniversary Tour」が始まりますね。

5周年のときからキャルヴィンになんとか来てくれないかと頼み続けて、やっと今年の春ならいけるっていうので。じゃあ、カール・ブラウも呼ぼうよって。どうせだったらバンド系じゃないし、自由な弾き語り的なのがいいなと思って、テニスコーツ(さや+植野隆司)しかないかなと。で、こうなって気づいたら7周年でちょうどいいなって(笑)。

── 7.e.pからリリースしたことのないテニスコーツを、今回ツアーに加えたのはなぜですか?

tenniscoats

テニスコーツは誰からの協力も得ないで、自分たちのレーベルmajikik(マジキック)を12年もやっているんですね。このスタンスは僕らに一番近いのでお願いしたんです。2004年頃から二階堂和美(*1)さんを通して親しくなって、すごく自然な人たちで。僕らはアメリカが多いんですけど、彼らはヨーロッパでの交流も多い。お互いにいろいろな話ができて面白いですね。単発ではよく出演してもらったんですけど、がっちり組むのは今回が初めてです。

写真:さや(Vo,Key)と植野隆司(Guitar,Sax)を中心とした不定型ユニット「テニスコーツ」
(*1)二階堂和美…ギターを使った弾き語りスタイルのシンガーソングライター。天真爛漫~自由奔放というイメージから神秘的、叙情的、そして狂気!な雰囲気までも併せ持つ

こういう招聘もののツアーで、各地でフロントアクトをつけるのって多いですよね。ただそれだけだとやっぱりそのあと深まらない。7.e.p.の場合、海外からの招聘アーティストと日本人アーティストのスプリットという形にわりとこだわってきました。たとえば、モールスが他のアーティストと一緒にまわって、ツアーが終わるときにはそのアーティストのバックをやるとか。それは信頼しあっているからできることで。こういう形でずっとやってきましたね。


── 面白いですね。そうやって次から次へとつながっていくんですね。

karl

今回東京と広島で共演する二階堂和美さんは、もともとモールスと同じレーベルだから交流はあって、最初キャルヴィンたちを呼んだ時に見せたいアーティストだと思ったんですね。二階堂さんをアメリカ人がみたらビックリするだろうなと(笑)。お互い感化されますし。日本ツアー後にザ・マイクロフォンズがどうしても二階堂さんを呼びたいといって、一ヵ月半くらいアメリカをまわって。それにモールスもついていって最初の一週間を一緒にまわりました。そういうふうに人脈をどんどん広げていった。ただ呼んでツアーしても、仲良くなるのは僕だけっていうのはあんまり意味がない。それで、モールスや二階堂さんを見て、若手のアーティストが感化される。やっぱり10年近くもやっていると、いろいろ直接言われますからね。高校生のときにモールスを見ていたような子たちが、いま手伝ってくれてたりとか音楽やってたりとか。

写真:Kレコーズ移籍第一弾『ビニース・ウェイヴス』でポップ・センスとアレンジ能力の手腕を、昨年の日本ツアーで演奏者としてのずば抜けた実力を示したKきっての鬼才カール・ブラウ

── 全国をまわるとなると予算もかかってきますよね?

このツアーは予算的にも大会場は使いません。ライブハウス的なところは、仙台、東京、名古屋くらいですね。あとは基本的にギャラリーやカフェなので、会場代があまりかからないんですよ。一昨年、モールスでアメリカツアーに行ったときも、カフェでやるとお金のバックがよくって。それは日本でも同じで、入場料はほぼ全部入ってくるので。僕らがやっているのでは堅苦しいロックバンドはあんまりないから、どこでもできる(笑)。あとは協力関係のある場所でやると。そうやって今までいろいろ学んで鍛えてきたなという感じですね。

── ギャランティはどうされているんですか?

基本的にギャラ保証することはあまりないです。要はブレイクイーブンで、リクープできたら割ろうじゃないかと。景気払いです。そんなに大物を呼ばないですからね。モールスもアメリカに行ったときにそうしていて、ツアーの上がりで出来高だったり、物販で稼いだり。その現状を知っているから、「アーティスト様」じゃないんですよね、誰にでも。ものをつくって、音楽をやって、一緒にCDを売って、その場で話して…で続けていくっていうのを基本的にやっているので、他の洋楽レーベルとちょっと違うかもしれませんね。

── なるほど。

基本的にポップ・ミュージックを出している気がしてなくて、フォークかなって(笑)。なんか伝承文化みたいな。ものをつくっている人に伝えて、それが文化に伝わって。インディー・ロックがやりたいわけじゃなくって。単純に文化的なものを見せたいだけ。余白や濁りのあるところから見る人や聞く人が感じてくれればいいだけ。で、なんとかお金が上げられれば。メジャーで稼ぐなら、それはそれでいい。バンドが考えればいいことだから。以前Kからリリースしたモデスト・マウスが面白いのは、メジャーに行って全米1位になっても常に著作権や印税がメンバー均等割りなんですよ。著作権も歌詞も含めて全部。それは、キャルヴィンのやり方に似ているかなって。そういうのを少しでも伝えていけたらいいなと思います。

レーベルの看板に頼る必要はない

── 現在リリースしているのはKや他の海外レーベル、そしてモールス。他の日本人でリリースはしないのですか?

う~ん、日本人はまた難しいですよね。無責任なことできないから。日本人はものすごく時間を使うんですよ。だから、おいそれと「君らいいから出してあげるよ」って言ってポイっていうのはできない。モールスと僕は9年の付き合いだけど、なかなかマネージャーをやるとは言えなかった。日本のインディーで問題なのは出しっぱなしなんですね。はい、さようならみたいな。出しただけで何もしない。あとで金の面でブーブーいったりとか。過去のアルバムを物販で売ろうにも、レーベルが送ってくれないとか、揉めちゃったからとか。それはアーティスト・キャリアとしても恥ずかしいだけですよね。
モールスは、この売上枚数のバンドで今までリリースしたすべての音源を物販に並べられる、しかも全部自分たちにお金が入ってくる。12年インディーでやってるバンドで、こういうのは他にないんじゃないかと思います。

moools
1997年の結成以来、その卓越した日本語詞、多様性/独自性ともにずば抜けたソングライティング、遅速/硬軟自在のグルーヴ感溢れる演奏が見事に溶け合った唯一無二のパフォーマンスにより、国内外を問わず多くのアーティスト達を魅了してきたモールス。酒井泰明(Vo、G)、内野正登(Ds)、有泉充浩(B)の不動のトリオ

── 音源の売り込みなどはありませんか?

なんだか敷居が高いと思われたみたい(笑)。昔は送られてきたり、メールがあったりしたんですよ。でも、あまりに日本人を出さないし、海外のものとここまで関係がはっきりしているので。いきなり地方でバンドを見つけて、「面白かったから出そうよ」となっても、面倒みられないから。可哀想でしょ。だからライブ協力とかはしていますよ。別のバンドをプロデュースをしたりとか。

── 自分たちでやったほうが早いということですか。

だって、いまCDって安くつくれるでしょ。なにもレーベルにいて、「これだけお前らに金使ったから、これ以上払えない」と言われるよりは、自分でやった方がよっぽどいい。モールスの場合は、ずっと一緒にやってきているから僕のことを信用してくれているし、プロデュースもしてクオリティコントロールもしてるし、だからやっていける。で、若い世代が僕らを見て、やっていってくれれば。いまは看板に頼る必要はないと思います。いくらでもやり方は教えてあげるから、自分でやった方が絶対いい。最初から会社と絡んでも、あとあと損する。お金もそうだし、制作の面でもそうだし、自分たちで仕組みをわかっておかないと。簡単に1万枚売れるよりも、音楽家として考えた方が幸せですよね。

── これからも7.e.p.は草の根的なスタンスで続いていくと。

自分の中で区切りながらやっていますけどね。でも、ここの段階までいるんだって思うとビックリしますね。7年も続くなんて思わなかったし。基本的になんの専門教育も受けずに、自分で覚えていったことばかりなので。人の縁と、自分の努力というか。経験値だけでやってきたから。ほんとにここまで続いているのは人の縁が大きいと思います。

(取材・文:牧智美)

「7e.p. 7 Years Anniversary Tour」
キャルヴィン・ジョンソン+カール・ブラウ+テニスコーツ
2009年3月19日~4月3日全国ツアー

重い腰をあげて遂に6年振りの来日となるUSインディーの伝説キャルヴィン・ジョンソン(正直次の来日にイエスと言ってくれるのがいつの日になるか分かりません)に加え、現在のKレコードきっての異才であるカール・ブラウ、そして日本代表という言葉に偽り無しのテニスコーツ。さらに各地の共演も、二階堂和美、マヘル・シャラル・ハシュ・バズ、モールス、カバディ・カバディ・カバディ・カバディ(Kのグループ、ユメ・ビツのフランツ・プリチャード所属)など、キャルヴィン+カール+テニスの3者に縁の深いアーティストから注目の若手まで粒揃い。実に実に濃ゆいラインナップ!
★詳細はコチラから

【関連リンク】
7.e.p.公式サイト
モールス公式サイト


7.e.p. リリース作品

全リリース作品一覧はコチラから

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キャルヴィン・ジョンソン 『Before the Dream Faded...』 (epcd 028)

calvin johnson

全編弾き語り&アカペラの文字通りの「ソロ」だった前作から一転、ミラー、フィル・エルヴラム(マウント・イアリ/ザ・マイクロフォンズ)、ケーラ・マリシッチ(ザ・ブロウ)らKファミリーを曲ごとに共同プロデューサーに起用し、アダム・フォークナー(ユメ・ビツ/ヴァージョン)を始め多くのゲスト・プレイヤーを招いて制作。ビート・ハプニング以降の全キャリア中最も多彩な楽曲が並ぶカラフルな作品。本作のレコーディング風景を中心にして、新旧KファミリーからThe Evens(イアン・マッケイ)ら旧友たちまで、大半をキャルヴィン自らが撮影したフォト・アルバムをエンハンスト仕様にて収録。
Morgan Fisher - Morgan's Organ 05


カール・ブラウ 『Nature's Got Away』 (epcd 049)

karl

Kきっての鬼才カール・ブラウの第二弾は、来日公演で共演したマヘル・シャラル・ハシュ・バズら日本人アーティストから受けた刺激を原動力として、来日後にダブ・ナルコティック・スタジオで制作。アメリカーナからサイケ、カリブ、ソウル、アフリカにまで到る多彩なエッセンスが滲み出る、とんでもなくドープでいながら実に滋味深い作品集。二階堂和美の大名曲“脈拍”の英語詞カバーも収録。日本盤のみテニスコーツ、二階堂和美らがゲスト参加した日本ツアー最終公演から6曲を追加収録。
Morgan Fisher - Morgan's Organ 05


モールス 『モチーフ返し』 (epcd 033)

mools

2003年11月のUSツアー時に録音されたEP/DVD『Dub Narcotic Session』を間に挟み、前作『モールス』から約3年振りとなる4thフル・アルバム。多彩なゲストを迎えての前作から一転、テニスコーツの植野隆司(sax、hca)をフィーチャーした数曲を除き極力ゲストを排し、ベーシック・トラック&ヴォーカルを一発録りライヴ形式にて録音。安易なジャンル分けをすり抜ける楽曲ごとの振れ幅の広さはこれまで以上ながら、フレッシュ&ソリッドな空気が全編を包む、グループ史上最もダイレクトで焦点の絞られた傑作。
Morgan Fisher - Morgan's Organ 05


ミラー 『(a)spera』 (epcd 050)

Mirah

リッキー・リー・ジョーンズ、ブロッサム・ディアリー、ノラ・ジョーンズにも通じるソフト&テンダーなコケティッシュ・ヴォイスを基盤に、さらに熟成されたソングライティングと、スペクトラトーン・インターナショナルとのコラボレーション・アルバムで展開されたトラッド、アフリカン、ジャズ、クラシックら様々なエッセンスが溶け合うアコースティック・サウンドとが見事にブレンド。世界各地の楽器で彩られた、キャリア史上最も滋味深いタイムレス&エリアレスな傑作。
Morgan Fisher - Morgan's Organ 05


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