パリのIna-GRM(国立視聴覚研究所・音楽研究グループ)との協力関係のもとでフランスと日本の音楽文化交流をしてきた“音と音楽・創作工房116”(ACSM116)と日仏学院が共催するコンサート『CCMC2009(Contemporary Computer Music Concert 2008)』が、2月14日と15日に東京日仏学院エスパス・イマージュにて開催される。
毎年行われているこのコンサートは「CCMC2009」公募入選曲の演奏と、電子音響音楽家リュックフェラーリ、大阪芸術大学大学院芸術制作研究科教授で作曲家でもある上原和夫、映画監督で作曲家でもあるミッシェル・シオンの曲をアクースモニウム・ライブ・コンサートとして聞くことが出来る。
アクースモニウムとは、スピーカーのために作られた電子音響音楽(テープ音楽、ミュージック・コンクレート/アクースマティック、電子音楽など)をコンサートで発表するための多次元立体音響装置の事で、1974年にフランスの作曲家フランソワ・ベルが発案した。コンサート空間に自由に配置された複数(通常は16個以上)のスピーカーを、ミキサー上のフェーダー操作することによって、様々な音響空間が自由に表現できる。
スピーカーのオーケストラとも呼べるアクースモニウムの指揮者は、最適な音響のバランスを取るためだけのエンジニアではなく、パラメータをライブでコントロールし、異なるタイプ(大きさ、音圧、音色)のスピー カーの集合体を使い空間のコントラストを強調することが可能になる。 通常のコンサートでは体感できない、大小のスピーカー達が織り成す化学反応が楽しめるかもしれない。
■リュック・フェラーリ Luc FERRARI(1929-2005) PROFILE
器楽、電子音響音楽、アクースマティックなどの音楽作品や、書き物、ルポ、映画や舞台芸術など、多様な表現で知られるリュック・フェラーリは、A.コルトー、A.オネゲルやO.メシアンに学んだ後、フランスとドイツで輝かしいキャリアを築く。1957年にミュージック・コンクレート研究グループ (GRMC)に入り、P.シェフェールとともに音楽研究グループ(GRM)の創立に携わる。G.パトリと組んで、現代音楽番組のシリーズ「Les Grandes re´pe´titions-大リハーサル(ヴァレーズ、シュトックハウゼン、カジェル、テイラーの作品を紹介した番組)」を制作、日本でも上演された。 1982年にはラジオ番組と音楽の制作スタジオ「La muse en circuit - ラ・ミューズ・アン・シルキュイ」を設立する。
■上原和夫UEHARA Kazuo (1949年生まれ)PROFILE
作曲家/大阪芸術大学大学院芸術制作研究科教授。1973年にニューヨークで個展を開催、ニューヨーク・タイムズ紙で好評を得る。1983年ブールジュ国際電子音響音楽コンクール入賞。1984年アルスエレクトロニカにて作品上演。1990年ニューヨーク州芸術評議会のグラントを得る。ICMC94コミッション賞審査員。ICMC96香港審査員。CCMC2006審査員。近年、国際交流基金の派遣等により、ポーランド、ブラジル、ロシア他で公演を行い好評を得る。CDに「COSMOS I」(Air)「禅問答」(Moon Bridge)「10時間」(サンフランシスコ現代美術館)、著作に「コンピュータ・ミュージックの世界」等がある。■ミッシェル・シオンMichel CHION (1947年生まれ)
作曲家、教育者、映像作家、映画監督、映画評論家であり、映像と音の関係についての研究や理論書の出版も行っている。1971年から1976年まで、音楽研究グループGRMのメンバーとして、ラジオ番組制作や文献出版を担当する。1981年から1986年にかけては、「カイエ・ド・シネマ」の批評を行う。ジャンヴィゴ賞、クレルモンフェラン大賞、モントリオール賞などを受賞。1993年からパリ第3大学の映画学科で教える。音楽作品では、耳のための映画、メロドラマ・コンクレートという作風で、物語性の高い作品がある。今回、上演される「レクイエム」は代表作であり、1978年にフランス・レコード・アカデミーのグランプリを受賞している。東京日仏学院公式サイト
CCMC2009公式サイト
CCMC2009
Contemporary Computer Music Concert 2008
マルチ・チャンネル・スピーカー・オーケストラによるライブ公演
2009年2月14日(土)・15日(日) 14:00開場/14:30開演
会場:東京日仏学院エスパス・イマージュ[地図を表示]
(東京都新宿区市谷船河原町15)
料金:一般 : 1,500円、2,500円(二日通し券)
会員 : 1,000円、1,500円(二日通し券)