幕開け。小太りの女がスナックらしきカウンターに独り。大きなせんべいを噛み砕き頬張る。
最高に下品だ。オープニングなのだから何かこの芝居全体を表すことなのだろうけど、品が無いのは頂けない。暗転が多い。多過ぎて感情が途切れる。引き込まれようとするのだけれども、ノッキング状態になってしまい残念。客席から舞台前ツラが角度的に見えないのでストレスが溜まる。尺上げれば良かったのではないのだろうか。近頃、大義の無い演劇が多い中では、良く書かれたホンだとは思うのだけど、ホンだけの台詞芝居になっていて、役者の身体から発せられる何かが消されてしまっている。ほぼ説明台詞だけの芝居だ。なので、ほとんど台詞の無い谷村好一の、無言の凄みと色気だけが救いになった。練り直して再演したらどうだろうか。
しつこいようだが、最後にもひとつ。
「奇妙な果実」というタイトルを使う覚悟はあったのだろうか。
いろいろと疑問の残る芝居であった。